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F速分析:王者空回りの最終戦。勝てない焦り

2015年11月30日

 しかし、ハミルトンはなぜ10周もピットインを遅らせたのでしょうか? いくらタイヤに良い感触を得ていたとはいえ、当時のロズベルグとのペース差は1周あたり1秒以上。追いつかれるのは時間の問題で(ハミルトンが走行を続けていれば、おそらく45周目頃にロズベルグが真後ろに迫っていたはずです)、そのまま最後まで走り切ったとしても、ハミルトンの勝機はほとんど無かったと言っても過言ではありません。しかし、もしハミルトンが2回目のピットストップでスーパーソフトタイヤを履いていたならば……ハミルトンの勝ちだったかもしれません。

 今回のアブダビGPに持ち込まれたタイヤはソフトとスーパーソフトでした。そしてスーパーソフトの方が1周あたり1秒前後、ソフトよりも速いペースで走ることができることが、前日までのフリー走行で確認されていました。ただ、スーパーソフトタイヤはデグラデーション(タイヤの性能劣化によるレースペースへの影響)が大きく、レースで使うには不向き。しかし、ハミルトンの2周前に2回目のタイヤ交換を行ったフェラーリのセバスチャン・ベッテルは、スーパーソフトで最後まで走り切ることに成功し、上位との差を大きく縮めています。つまりハミルトンも同様に2回目のピットストップでスーパーソフトを履いていれば、そのまま最後まで走りきり、ロズベルグに追いつくことができていた可能性が高いと思われます。

 実際にハミルトンも、1ストップで走り切るか、もしくは2回目のピットストップでスーパーソフトタイヤに交換することを希望したようです。しかしそれは、前述の通りチームが許しませんでした。今季ここまで“ふたりの戦略を統一する”という戦い方をしてきた結果、ハミルトンがチャンピオンを決め、ロズベルグが敗れたわけです。その前提を反故にしてしまえば、ロズベルグの反発は必至であり、チームの輪を乱すことになってしまい兼ねません。これは、前戦のブラジルGPやその前のメキシコGPでも言及したことと、まったく同じです。

 つまりハミルトンは、ピットインを遅らせることでロズベルグに勝つことは、チームが戦略変更を許さないという状況下では、どうやってもできなかったはずで、同様の“反抗”を2度のみならず3度も犯したという点は、理解に苦しむところです。

 ハミルトンが勝利を得るための最良の選択は、ロズベルグの2回目のピットインの翌周にピットインすることだったと思います。そうすれば、ハミルトンはロズベルグの数秒遅れでコースに復帰し、2台による同条件下での接近戦が繰り広げられ、非常に見応えあるレース終盤となったはずです。

 結果としてハミルトンは、自らの判断ミスと勝利への執着心により、逆転勝利の可能性を放棄してしまったということになろうかと思います。チャンピオンを獲得したとはいえ、ハミルトンには試練の今季終盤戦。その焦りから来る“空回り”が見えた、メキシコ〜アブダビの3戦でした。

 一方のロズベルグは、タイトルを失ったとはいえ、来季に向けて非常に良い形でシーズンを終えることができたと言えそうです。来季、再び相見えるメルセデスAMGふたりの戦いはどんな展開になるのでありましょうか? 今から、2016年シーズンの開幕が待ち遠しい限りです。





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