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レッドブル・ホンダ分析:正解とは言えない戦略で奮闘。フェルスタッペンは想像以上に機能しなかったソフトで苦戦
2020年10月26日
「今日はソフトタイヤがなぜかうまく機能しなかったけど、ピットインしてミディアムタイヤに履き替えてからはペースが改善した。でも、そのときにはメルセデスはかなり先を走っていたからどうしようもなかった。だから今日は3位で満足だ」
レース後に開かれたFIAのトップ3記者会見に出席したマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、スタートで履いたソフトタイヤに苦しんでいたことを明かした。
F1では予選Q3に進出したトップ10のドライバーは、Q2で自己ベストを刻んだときに履いたタイヤでスタートしなければならない。そのQ2で履いたタイヤが、レッドブル・ホンダとメルセデスで分かれた。レッドブル・ホンダはソフトを選択したのに対して、メルセデスはミディアムタイヤを履いてQ3へ進出していた。
果たして、レッドブル・ホンダが選択したタイヤや戦略は機能せず、フェルスタッペンが3位に終わっただけでなく、チームメートのアレクサンダー・アルボンはポイント圏外という結果に終わった。
レース後の会見で、冒頭のように語ってフェルスタッペンがコメントし終えると、横にいたルイス・ハミルトン(メルセデス)が、フェルスタッペンにこう質問した。
「なぜ(Q2で)ミディアムにしなかったの?」
フェルスタッペンはこう答えた。
「1セットしか残っていなかったんだ。だから、それを予選で使うというリスクを冒したくなかった。それにそもそもソフトがこんなにレースで機能しないとは想像もしていなかったしね」
今回のレッドブル・ホンダのタイヤ戦略に疑問を持っていたのは、ハミルトンだけではないはずだ。それはQ2でソフトを選択したことだけが理由ではない。そこに至るまでの過程が、どうにも腑に落ちないからだ。
金曜日を終えた段階で、土日に使用するために残されたタイヤのセット数は、レッドブル・ホンダもメルセデスも同じだった。ハード1セット、ミディアム2セット、そしてソフトは6セット。すべて新品だ。つまり、金曜日まではレッドブル・ホンダはメルセデスとほぼ同様にタイヤを使用し、返却していた。
レッドブル・ホンダがメルセデスと異なる戦略を採り出したのは、土曜日のフリー走行3回目からだった。メルセデス勢ふたりがソフトを2セット使用したのに対して、レッドブル・ホンダはフェルスタッペンがミディアムとソフトを1セットずつ、アレクサンダー・アルボンはハード、ミディアム、ソフトを1セットずつ使用した。
フリー走行3回目が終了すると2セット返却しなければならない。メルセデス勢ふたりは使用済みのソフトを2セットを返却。フェルスタッペンも使用済みのミディアムとソフトを1セットずつを返却。アルボンはハードはレース用に最低でも1セットは残しておかなければならないため、使用済みのミディアムとソフトを1セットずつを返却した。
予選前の時点で、手持ちのタイヤのセット数を整理すると、以下のようになる。
ハミルトン:ハード1、ミディアム2、ソフト4
ボッタス:ハード1、ミディアム2、ソフト4
フェルスタッペン:ハード1、ミディアム1、ソフト5
アルボン:ハード1(中古)、ミディアム1、ソフト5
したがって、フェルスタッペンもQ2でミディアムを使おうと思えば使えたが、もしミディアムでアタックしてQ2を突破するに十分なタイムを叩き出せなかった場合、レースでは中古のミディアムしか残らなくなるため、そのリスクを冒したくなかったというわけだ。
■予選でのつけがまわり、2度目のタイヤ交換を強いられたアルボン
そこで疑問となるのが、ならばなぜフリー走行3回目で新品のミディアムを1セット使用したのか。考えられるのは、金曜日の夜にセットアップを大きく変更したため、土曜日の予選前にもう一度ミディアムでのロングランのデータを取りたかったのではないだろうか。
それを物語るのは、フリー走行3回目での走行プログラムだ。通常、予選前のフリー走行3回目では新品タイヤで一発のタイムを出す予選シミュレーションを優先して行い、残った時間でロングラン・メニューも消化する。しかし、フェルスタッペンもアルボンもコースインした後は、どちらのタイヤでもいきなり連続周回を始め、ピットインしないで走り続けていた。
そこまでは戦略ミスとまでは言えないが、引っかかるのは予選Q3でのアルボンのタイヤ戦略だ。Q2をソフトで通過したアルボンはレースではそのソフトを履いてスタートしなければならない。したがって、もし1ストップ作戦を敷くなら、ピットストップで履き替えるタイヤはミディアムかハードしかない。ハードはフリー走行3回目で使用した中古しかないため、できれば新品のミディアムをレース用に残しておきたいところだ。
ところが、レッドブル・ホンダはQ3の1回目アタックで虎の子の新品ミディアムを履かせてアタックに出した。その背景にはアルボンがQ1とQ2でソフトを2セットずつ使用し、Q3で使用できる新品のソフトが1セットしか残っていなかったことが考えられる。
しかしそういう場合は、そもそもQ3で2回アタックをあきらめるか、1回目のアタックはQ1かQ2で使用した中古のソフトを使用するのが定石だ。なぜなら、異なるコンパウンドで1回目のアタックを行うと、2回目はフィーリングの違いに戸惑うことが少なくないからだ。
実際、アルボンは「最後のソフトのアタックは、ミディアムとはパフォーマンスの出し方がまったく異なりドライビングスタイルを変える必要があったので、多少走りのリズムに影響があった」と満足なアタックができていなかった。
しかもレースで使用することになるミディアムが中古になったため、レースではピットストップ直後の新品タイヤのおいしい所を使えず、中団に埋もれたままとなった。逆に予選で5周走行していた分のつけが回り、想定以上に進んだ摩耗によって、46周目に2度目のピットストップを行わなければならなくなり、ポイント圏外へ脱落した。
もちろん、メルセデスと同じタイヤ戦略を採っていても、結果は同じだったかもしれない。しかし、今回レッドブル・ホンダが採ったタイヤ戦略は、少なくともポルトガルGPの週末において、正解ではなかったことは事実だ。
(Masahiro Owari)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 362 |
2位 | ランド・ノリス | 315 |
3位 | シャルル・ルクレール | 291 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 251 |
5位 | カルロス・サインツ | 240 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 189 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 177 |
8位 | セルジオ・ペレス | 150 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 566 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 537 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 512 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 366 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
7位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 36 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 14 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |