スタート直後のケメル・ストレートエンドのレ・コームで、パスカル・ウェーレインに追突されたジェンソン・バトン。なんとか自力でピットインしたが、ディフューザーにかなりのダメージを負っていたバトンのマシンは、リアのグリップが完全に失われていた。ピットの中では「だったら、フロントのダウンフォースを下げてバランスを取ってレースを再開させよう」と言う者もいたが、最終的にチームはガレージの中でリタイアする決断を下した。
これでフェルナンド・アロンソの1台だけとなったマクラーレン・ホンダ。アロンソは予選後に再びパワーユニットを交換して、60番手降格のペナルティを受け、最後尾の22番手からスタートしていた。しかし、スタート直後の混乱をうまくくぐり抜けたアロンソは、1周目のコントロールラインを12番手で通過していた。2周目にはカルロス・サインツJr.がタイヤをバーストさせてリタイア。3周目にはフェリペ・マッサが緊急ピットインをして入賞圏内の10番手まで浮上した。
その時点でトップ10内を走るドライバーでミディアムタイヤを装着していたのは、アロンソだけ。さらなる上位進出に期待がかかったが、9周目に出された赤旗によって、そのアドバンテージは解消されてしまった。
赤旗が出される直前にライバルたちのピットインによって4番手までポジションを上げていたアロンソ。レース再開後は、地力で勝るルイス・ハミルトンと、赤旗前のピットインによって後ろに下がっていたセルジオ・ペレスと、スタート直後の接触で後方に下がっていたセバスチャン・ベッテルに、相次いでケメル・ストレートでオーバーテイクを許した。
これで7番手にポジションを落としたアロンソ。後ろからはウイリアムズ勢2台とキミ・ライコネンが迫っていた。昨年までのホンダであれば、パワーサーキットのスパで、ポジションを守るのは難しかっただろう。しかし、アロンソはウイリアムズ勢とライコネンにオーバーテイクされることなく、7位でフィニッシュした。