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【F1第6戦無線レビュー(2)】「失うものはないから、やってみよう」土壇場の1ストップ作戦をやり遂げたベッテル
2020年8月19日
今年の第6戦スペインGPのレースにおけるドライバーとチームとの無線のやりとりで、緊張状態となったもうひとりのドライバーが、セバスチャン・ベッテルとフェラーリでベッテル担当のレースエンジニアを務めるリカルド・アダミとの無線交信だった。
ベッテルとアダミがレース中に無線でやりあうのは、今回が初めてではない。その前の70周年記念GPでは、ベッテルが「キミらが僕のレースを台無しにした」とチームを公然と批判していた。
今回のスペインGPでは、レース後半に戦略を巡って、無線がヒートアップした。48周目に、まずベッテルがチームに、レース戦略を確認する無線を送る。
ベッテル:ペース、どうしたらいいか教えて
フェラーリ:了解
このときベッテルは5番手だったが、それは周りのドライバーが2回目のピットインを行い、彼はまだ1回しかピットに入っていなかったためだ。1回目のピットストップを終えた段階でベッテルのポジションはスタートときと同じ11番手。おそらくベッテルのレース前でのプランAは2回ストップだったと考えられる。
ならば、2回目のタイミングはもうそろそろ。オーバーカットするためにはここでプッシュしておかなければならないが、もしオーバーカットが無理で1回ストップに切り替えるなら、タイヤを労って走らなければならない。
ところが、チームからの返答が来たのは、2周後の50周目だった。
フェラーリ:このタイヤで最後までいくことについてどう思う?
ベッテル:はあ? *****。さっき聞いたよね。もう3周もプッシュしちゃったよ
フェラーリ:ああ、わかっている。ただ確認しただけだ
オーバーテイクが難しいバルセロナ-カタロニア・サーキットでのレースでは、ピットストップ戦略が非常に重要になる。それはフェラーリだけでなく、どのチームも同様であるため、スペインGPではその時のポジションと履いているタイヤ、そしてそのタイヤのデグラデーションを見ながら、どの戦略にすべきかを1ラップごとに確認しながら戦う。
したがって、本来であれば、ドライバーが戦略を尋ねてくる前にチームはドライバーに伝えなければならないにもかかわらず、フェラーリはドライバーからの質問にも即答できないという失態を演じてしまったわけで、ベッテルが怒るのも無理はなかった。
それでも、ベッテルはチームのためにベストを尽くそうと頭を切り替えて、こう聞き返した。
ベッテル:わかった。状況次第だ。あと何周、このタイヤで走ればいいんだ?
フェラーリ:16周だ。でも、レース前の計算では、5周前に終わってしまう
ベッテル:(2回目のピット)ストップした周りの人たちのペースは?
フェラーリ:1分22秒6だ
ベッテル:つまり、その作戦を成功させるためには、僕はどうすればいい?
フェラーリ:ちょっと待って、折り返す
ここでも、フェラーリは成功させる答えがないまま、戦略を1ストップにしようとしていたことがうかがえる。ただし、今度はすぐに返事が来た。
フェラーリ:1分23秒4から1分23秒5のペースで走り続けてほしい
そして、ベッテルはこう答えた。
ベッテル:それならやれる。僕たちは失うものはないから、やってみよう
フェラーリ:そうだ。君はいまP5。だから、尋ねてみたんだ
その直後の51周目、ベッテルは1分23秒467と、チームの指示どおりのラップタイムで周回するとその後も、以下のように精密機械のような正確さでペースをコントロールしていく。
51周目 1分23秒467
52周目 1分23秒356
53周目 1分25秒144(ハミルトンの周回遅れ)
54周目 1分23秒434
55周目 1分23秒760
56周目 1分24秒557(ストロールに抜かれ6番手)
57周目 1分23秒560
58周目 1分23秒695
59周目 1分25秒977(フェルスタッペンの周回遅れ、サインツに抜かれ7番手)
60周目 1分24秒140
61周目 1分24秒033
62周目 1分24秒787(ボッタスの周回遅れ)
63周目 1分24秒111
64周目 1分24秒407
65周目 1分24秒668
そして、チェッカーフラッグ。
フェラーリ:P7、P7、よくやった
ベッテル:タイヤはもう完全に終わったよ。僕はこのタイヤで何周走った?
フェラーリ:37周も走った
ベッテル:ありがとう
このレースでドライバー・オブ・ザ・デーにも選出されたベッテル。今シーズン限りでフェラーリのシートを失い、まだ来年のシートが発表されないようなドライバーとは思えない、ドライバーとしても人間としてもレベルの高い走りを披露した。
(Masahiro Owari)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 362 |
2位 | ランド・ノリス | 315 |
3位 | シャルル・ルクレール | 291 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 251 |
5位 | カルロス・サインツ | 240 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 189 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 177 |
8位 | セルジオ・ペレス | 150 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 566 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 537 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 512 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 366 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
7位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 36 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 14 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |