ニコ・ヒュルケンベルグ フォース・インディアVJM09 XPB Images

【】新車分析/フォース・インディアVJM09:サイドポンツーンの形状に「偶然の一致」

2月28日

 技術ウォッチャーの世良耕太氏が、バルセロナ合同テストに登場したフォース・インディアの新車をチェック。気になるポイントに絞って解説する。

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 まだザウバーの新車は出ていないけれども、 2016年のF1に参戦する11チーム中、ロングノーズを採用したのはハースとフォース・インディアの2チームで決まりと言ってよさそうだ。ハースは潔いロングノーズ(突起レスなのは見事)な一方、フォース・インディアは鼻孔のような開口部を設けた仕様で、2015年第9戦イギリスGPで投入した「Bスペック」の形状を受け継いでいる。

 なぜハースとフォース・インディア以外のチームがショートノーズを採用しているのかといえば、ノーズの下にクリーンで大量の空気を導くためだ。「空気を通す」ことが目的なら、何も短くする必要はない、という発想で設計したのがフォース・インディアの穴あきロングノーズである。

 ショートノーズに比べて空力的な効果は小さくなるものの、厳しいクラッシュテストをクリアするためのハードルは低くなる。リソースの限られたチームが下した苦渋の決断に違いないが、身の丈に合ったクレバーな判断でもある。2016年型のVJM09が、穴あきロングノーズを採用したVJM08Bスペックとほとんど変わらない姿形をしているのは、レギュレーションが大きく変わる2017年に向けた開発に軸足を移しているからだ。

2016年:フォース・インディアVJM09

(c)Sutton


2015年:インディアVJM08B

(c)XPB Images


 数少ない変更点のうち、目立つのはサイドポンツーンの形状だ。前端開口部が前年型の横V字形から横U字形に変わっている。同じメルセデス製パワーユニットを搭載するウイリアムズも前年型から今年型にかけて同様の変更を施したが、単なる偶然の一致だろうか。

(世良耕太/Text : Kota Sera)