真の紳士のままで強さを身につけたジェンソン・バトン XPB Images
【】連載「FACES」第4回:ジェンソン・バトン
1月12日
ずっと応援しているドライバーでも、なかなか素顔はわからない。すっかりベテランとなり、「日本が大好き」だと言うジェンソン・バトンのことを私たちは、どれくらい知っているだろうか。ニッポンに興味を持った意外なきっかけ、飾らない性格と共存する繊細な気づかい、過去と現在ともに戦うホンダへの言葉──パドックで愛され、尊敬されるチャンピオンの“顔”を、今宮雅子氏が描き出す。
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「正直、フェルナンドのことは、あまりよく知らないんだ」
アロンソとの関係について、こんなふうにジェンソン・バトンは話し始めた。このひとことだけ聞くと、ふたりには仕事上の最小限の交流しかないのかと誤解する人もいるかもしれない。
「一緒に出かけることもないし、レースのあと偶然バーで出会ったことがあるくらいかな……」
でも、これは何事も大げさに飾らない、バトンらしい素直な言葉だ。
「フェルナンドとよく話していたのは、僕より父のほうだ」と続くところに、ふたりのドライバーの、絶妙の距離感が表れた。
「そうそう、いちばん密に一緒に過ごしたのはルノー時代、フラビオ・ブリアトーレの施設でトレーニング合宿したときだった。あのころと比べると“やんちゃ”な一面は減ったけど、フェルナンドの人間性は変っていないよ。ずっと同じフェルナンドのままだ」
まるでクラスメイトのことを話すように締めくくった。だから、ドライバーとしてのアロンソに最大限の敬意を口にするときも、バトンの言葉は真実味があって心に響いてくる。