【】ペナルティポイントの基準とは?

8月14日



 若いドライバーによる接触事故などの増加を受けて、F1では昨年からペナルティポイントというものが導入されています。1年間で12ポイントを科された場合、1レース出場停止という重いペナルティが科せられることになります。

 最近でいえば、オーストリアGPでフライングスタートをしたマーカス・エリクソンに2ポイント、カナダGPで赤旗中に追い越しをしたセバスチャン・ベッテルには3ポイント、モナコGPでロマン・グロージャンに追突したマックス・フェルスタッペンには2ポイントといったペナルティポイントが科されています。

 では、どのような基準でポイントが科されているのかというと、明確な基準はありません。各レースのスチュワード(競技会審査委員会)が判断して決めることで、レースによって基準にずれが生じているのも事実です。

 前出のベッテルのように、安全に関するものは厳しく取り締まられる傾向はあるものの、どのような行為ならタイムペナルティのみで、どういうことをやればペナルティポイントが付加されるのかといった点は、その場その場のスチュワードの心象と判断に大きく左右されています。
 スチュワードは3名で構成され、うち1名は開催地の国籍を持つ委員、1名はF1を中心に相応のレース経験のある元ドライバーが任命されています。2006年と07年には全戦に帯同する常任チーフスチュワードという役職を導入し、レースごとのスチュワード裁定のブレをなくそうという動きも見られましたが、現在ではこれも消滅しています。これに対して、ジャッキー・スチュワートのように「裁定の一貫性を保つために常任スチュワードを復活させるべきだ」と唱える人もいます。

 ただし、3人のスチュワードのうち1名は常にFIAのレギュラーメンバーである4名のスチュワードから選任されており、これによってある程度の一貫性は保たれています。うち1名はかつて常任スチュワードを務めていたギャリー・コネリーです。

 また、マーシャルを訓練するプログラムがあるように、FIAはF1やGP2、DTMなどを初めとした国際格式のレースにふさわしいスチュワードを育成するためのプログラムを推進しており、すでにその卒業生であるスペイン人女性スチュワードのシルビア・ベロットが年間数戦のスチュワードとして勤務しています。

 実際のところ、ペナルティポイントはそれほど乱発されてはおらず、運用開始から1年半が過ぎた現在でも最多ポイントは5で、もちろんある程度の抑止力にはなっているはずですが、ドライバーたちも元々はペナルティを科せられるようなドライビングを望んでするわけではありませんし、出場停止に至るようなことはなさそうです。