【】F1らしさが詰まった(?)、フォースインディアのトラブル

8月1日

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 ハンガリーGPではフォースインディアのマシンに立て続けにトラブルが起き、FP-1ではセルジオ・ペレスがリアサスペンション、決勝ではニコ・ヒュルケンベルグがフロントウイングの破損で大きなクラッシュを喫してしまいました。何が起きていたのでしょうか?
 問題はイギリスGPから投入したBスペックパッケージにあったと、フォースインディアでタイヤを初めとしたビークルダイナミクス責任者を務める松崎淳エンジニアは語ります。

「どちらもおそらく縁石から受ける振動が原因ではないかと思われます。どんなパーツにも固有の共振周波数というものがありますから、それに合ってしまうと想定外の負荷が掛かって壊れてしまうこともあるんです。もちろん強度シミュレーションやテストを行なった上で開発をしていますが、実際に走らせてみないと分からないこともあるんです。F1マシンというのは、それだけギリギリの限界を狙って設計しているんです」

 FP-1で事故が起きると、チームはファクトリーと連携してすぐに原因を特定したといいます。リアサスペンションのアームをカーボンで補強し、FP-3から走行を再開しました。

「サスペンションはデータを見て原因がほぼ特定できて、それをファクトリー(のテストベンチ)で再現実験をするとやはりその通りのことが起きました。なので土曜日までに現場でカーボンを巻いて補強をして対策をしました。やってることがF3とかF3000のチームみたいな感じですけどね(苦笑)」

 決勝中には、ヒュルケンベルグの事故を受けてペレス車もピットインさせて旧型のノーズに換えて走行を続けさせました。
 松崎エンジニアはマシンの走行中は常にラップタイムやタイヤ、メカニカル面のデータをリアルタイムでチェックしながらレースエンジニアや戦略担当エンジニアにアドバイス。トラブルが起きた際の車体の解析が即座にできることも、こうしたリアルタイムのタイヤ管理も、F1に搭載された複雑なテレメトリーシステムがあるからこそ可能で、F1でしかできないことなのだといいます。

 今年からスーパーフォーミュラに参戦している小林可夢偉も、「F1ではテレメトリーがあるから、走行中からエンジニアが次にやるべきことをどんどん考えて、ピットに戻るとすぐに次の作業に移れる。スーパーフォーミュラはそれがなくて時間が掛かってしまうのがつらい」と話していました。
 車体への負荷の高いサーキットで破損が起きてしまうのも、それを即座に修正できるのも、F1ならではのことだといえるでしょう。