メルセデス:フロントサスペンション

【】F1スペインGP技術解説(4):控えめなアップデートで完勝したメルセデス

5月22日

 F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズがスペインGPの週末に見つけたメルセデスとルノーの注目アイテムを紹介、分析する。

●メルセデス

(1)なぜか大幅アップデートを見送ったメルセデス

メルセデス:フロントサスペンション


メルセデス:フロントサスペンション

 メルセデスはスペインGPでの改良版投入に関しては、非常に慎重だった。われわれが目にした数少ない変更点のひとつは、フロントサスペンションのアッパーアームに付いた小さなデフレクターだった。しかしこれはザウバーC37が、すでに開幕戦から装着しているものだ。

(2)メルセデスもディフューザーを最適化
 フェラーリやマクラーレン同様、ディフューザーにも変更を加えている。黄色矢印で見て取れるように、縦方向のプレートが1枚加わっている。

メルセデス:ディフューザー(旧)


メルセデス:ディフューザー(新)

●ルノー

(3)じっくり時間をかけるルノーのアプローチ
 ルノーはアゼルバイジャンGPで低ダウンフォース仕様のリヤウイングと新形状のサイドボードを投入していたが、今回はフロントウイングに顕著な改良を施している。メインプレートと翼端板の間に、2枚のデフレクターを加えたのだ。正面からの空気の流れを両脇に逃がす『アウトウォッシュ効果』を起こすことで、前輪が起こす乱流を極力抑えることが目的だ。

 ちなみにアゼルバイジャンでテストしたサイドボードは、今回もレース本番には用いられなかった。
「新パーツは基本的にフリー走行で試して、結果が良ければそのままレースに投入する。しかし今回のように、いくつものGPでテストし続けるケースもある」と、ボブ・ベルは説明している。(Translation:Kunio Shibata)