【】ホンダF1田辺TD予選後会見:今季初ポールは嬉しい結果「パフォーマンス向上を目指してきた努力が、ひとつの形になった」
12月13日
F1第17戦アブダビGPの予選。0.025秒の超接近戦を制し、マックス・フェルスタッペンが今季最初で最後のポールポジションを獲得した。レッドブル・ホンダとフェルスタッペンにとって、通算3度目のPP。今季ここまでの16戦はすべてメルセデス製パワーユニット(PU)搭載車がポールを獲ってきたなか、最終戦でホンダが一矢報いた形となった。
さらに他3台のホンダPU搭載車もトップ10内に入った結果に対して田辺豊治テクニカルディレクターは、「メルセデスに追いつけ追い越せと1年間やってきた成果が、ある程度は出たのかな」と、素直に喜んでいた。
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──2020年最後の予選で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がポールポジションを獲得しました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):今季ここまで、メルセデス製パワーユニット(PU)勢しか獲れていなかったPPを獲れました。残り3台もトップ10内に入れて、いい予選でした。ラップタイムを見ると非常に僅差で、1秒以内に10台がせめぎ合うような状況で何とかこの結果を出すことができた。メルセデスに追いつけ追い越せと1年間やってきた成果が、ある程度は出たのかなと思っています。
──2015年にホンダが復帰して以来3度目のPPですが、これまでと今回で何か違いを感じていますか。コース的な差異はもちろんで、以前から平地のコースでPPを獲りたいと言っていましたが。
田辺TD:去年は暑いとか標高が高いとか、そういう部分でアドバンテージがありました。それも含めてパッケージの戦いではあるのですが、今季はずっとPPが獲れずにきた。パフォーマンスの向上を目指してきた努力が、今回ひとつの形になったかなと。もちろんレースで勝つのが一番なのですが、PUメーカーとしては最速タイムを出すのは重要だと考えています。非常に嬉しい結果です。もちろんドライバーにとっては、腕で勝ち獲ったPPであるわけですが。
──今季を振り返って、開発制限がかかっているなかでも、ERSの伸び代はかなりあったのでしょうか。
田辺TD:ハードは変えられませんが、ソフト的な部分、ERSの設定を変えるだとか、ICEの設定を変えるだとかを模索していました。2015年から参戦して、いろんなことを学んできた。6年目になってもなお、見つかるものはありますね。それを検討、検証して、サーキットに持ち込んで確認する。そうやってパフォーマンスの向上を図ってきました。
──予選後にピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が、「明日のレースはほとんどのマシンのPUもかなり疲れた状態にあるので、いっそう厳しい戦いになるだろう」と言っていました。実際にどの程度、厳しい状態にあるのでしょう。17戦を3基ということで、実はそれほどでもないのか。そして実際に疲れているのだとしたら、4メーカーのパフォーマンス差は、さらに顕著に出てしまうものなのでしょうか。
田辺TD:他メーカーの状況は存じていないので何とも言えませんが、ただどのメーカーもこれが最後のレースなので、一番元気なPUを載せているはずです。そうなると、17戦ということもあり、そんなにヘロヘロではないと思います。ある程度、そういう要素はあるとは思いますが。我々ホンダも、想定距離が見えていますから、最高のパフォーマンスを最後まで出して終われるよう、考えてやりくりしてきました。
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
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