【】F1日本GP技術解説:レッドブルの大型アップグレード(2)開口部の形状を変更。追求し続ける冷却と空力効率のバランス
4月16日
2024年F1第4戦日本GPで、レッドブル・レーシングは今季最初の大型アップグレードを導入した。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルがこれを分析、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。
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RB20のサイドポンツーンのメイン開口部は元々、「メールボックス(郵便受け)」と呼ばれるほど薄かった。しかし今回、追加の開口部を作ったことで、下の画像に見られるように、より小さく薄くすることが可能になった(白、黄色矢印参照)。さらにミラーにも、ディフレクターが追加されている(緑の矢印参照)。
「上部を含むエアインテークの全体的なデザインには、昨年開発を始めた際の原則を継続している」と、チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイは、英国スカイTVに語った。
「そして車の構造や基本コンセプトは、去年から変わっていない。RB18から数えれば、3代目ということになるね。今年のクルマに見られる空力原理は、グランドエフェクト理論がF1に導入された2022年の初めから、私たちが追い続けてきた方向性の一部だ。今回のアップデートも、その原則の中でのひとつのバージョン、進化した仕様にすぎない」
ニューウェイ配下のレッドブルの空力エンジニアたちは、去年から今年にかけてずっとサイドポンツーンの空気取り入れ口のサイズを縮小することを模索している。去年はアゼルバイジャンとハンガリーでそれが実行され、今年はまず今回の日本GPでさらに小さくなった。
レッドブルはチャンピオンチームであるゆえに、風洞使用時間が最も少ないというハンデを背負っており、そのなかでエンジニアたちはこの分野の改良に重点を置いて取り組んでいる。制限のなかで、冷却の改善と空力効率の改善という二律背反の使命をなんとかして達成しようとし、それはかなりの程度うまく行っている。
レッドブルはまた上の写真に見られるように、フロアエッジに小さな垂直ディフレクターを追加した(黄色矢印参照)。
今回のフェルスタッペンのレースは、最初のスティント終わりにオーバーステアの発生を感じた以外は、まるで公園の中を散歩するようにスムーズなものだった。ただ、このマシンバランスの乱れが起きた際、フェルスタッペンと長年コンビを組む担当レースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼの間で、フロントウイングのフラップ修正のやり方においてのやりとりがあった。
「レース中は僕が正しいと思っていたが、結果的に彼のアドバイスに従うべきだった」と、フェルスタッペンは後にコメントしている。
「僕たちの関係は良好だ。時に言い争いをするけど、それは老夫婦の口喧嘩のようなものさ」
王者の揺るぎない強さの中で、この件がほんの些細なスパイスになったことは確かである。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)