【】レッドブル・ホンダ分析:トラックリミットでベストタイム抹消も“貯金”を持って予選へ。感触の良いソフトで戦えるか
12月12日
「今晩のドライバーズブリーフィングで、ほかのドライバーたちがトラックリミットについてどんなコメントをするかわからないけれど、土曜日はトラックリミットがそんなに大きな問題になるとは思っていない」
最終戦アブダビGPの初日を終えたマックス・フェルスタッペンは、3番手で終えたフリー走行2回目後に、そう語っていた。
トラックリミットとは、走行可能なコース幅の限界のことで、コース上よりもコース外を走行した方がタイムが向上してしまう場合には、その場所のトラックリミットを厳しくチェックし、違反した場合にはなんらかのペナルティーが科せられる。
アブダビGPが行われているヤス・マリーナ・サーキットでは、最後のふたつのコーナーであるターン20とターン21で多くのドライバーがトラックリミットを違反し、フリー走行2回目だけでも、15回の計測ラップのラップタイムが取り消されていた。
そのなかには、レッドブル・ホンダのドライバーふたりのラップタイムも含まれていた。しかも、取り消されたラップタイムはフリー走行2回目でベストタイムとされている1分37秒046より速い、1分37秒029だった。
初日2番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)も同じで、2番手となった1分36秒479より速い1分36秒097がトラックリミットによって無効となっている。
つまり、フェルスタッペンとメルセデスの差は、約1秒あるように見える。
ただしフェルスタッペンは「ソフトタイヤでの走行では、ロングランを走る(セルジオ)ペレスに引っかかってしまい、ベストなタイムを出せたわけではない」と、まだポケットに貯金があることを示唆している。
これは決して、フェルスタッペンが言い訳しているのではない。じつはフェルスタッペンのベストタイムである1分37秒046はミディアムタイヤで記録されたもので、ソフトタイヤでのアタックでは1回目のアタックでセルジオ・ペレス(レーシングポイント)に引っかかって、2回目のアタックではトラックリミットによってタイムが抹消されてしまった。
フェルスタッペンのフリー走行2回目のセクター1と2の自己ベストはこのソフトの1回目でマークし、セクター3の自己ベストは2回目のアタックだった。そして、この3つの区間ベストをつなげると、計算上フェルスタッペンのフリー走行2回目は1分36秒651となる。
それでも、ハミルトンの抹消となった1分36秒097までは、まだコンマ6秒あるが、フェルスタッペンは「ソフトタイヤの感触がいいので、予選では問題なく戦えると思う」と、密かに自信を覗かせている。
2020年シーズンの最終戦アブダビGP。その最後の予選でフェルスタッペンがどこまでメルセデスとの差を縮められるか。トラックリミットを超えない、限界ギリギリのアタックを見せてほしい。


(Masahiro Owari)
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