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今宮純の決勝インプレッション:3年目のレッドブルリンクが、荒れ狂った理由

2016年7月4日

 金曜フリー走行1回目にマックス・フェルスタッペンのクラッシュで始まり、日曜決勝はニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンの接触アクシデントで終わった第9戦オーストリアGP。他にもスピン、事故などが多発、荒れ狂う3日間だった。


 縁石の問題もクローズアップされた。FIA公式発表によると各コーナーで追加、変更されたところが16カ所もあった。2014年に新装レッドブルリンクになる前、旧A1リンク/エステルライヒリンク時代から、このコースは縁石カット走法が攻略ポイントとされてきた。やりすぎるとサスペンションやホイール、タイヤに不具合が生じるが、巧く縁石を使わないとタイムアップにつながらない。


 今年、相次いで起きた混乱事象を見ていて、このショートコースの“いやらしさ”を思い出した。荒れた原因は、縁石問題とは別にもあったのではないか。第8戦ヨーロッパGPでは狭いコース幅、近い壁、超ロングストレート、公道バンプ路面などが騒がれ、ドライバーたちは「かなり慎重に」レースをした。GP2で起きたような混乱を回避し、F1ドライバーは若きボーイズとは違うところを披露した。そして、ここは高速クラシック・サーキット、コースは広々、ランオフエリアもたくさんあって、壁などない。窮屈な初めて通る街中の道路から、よく知っているマウンテン・コースへ。レーサーなら誰だってアドレナリンが湧く。


 もうひとつ、全面新舗装が行われたことも関係しているだろう。標高660メートルの山間地域にあるコース周辺はスキー場が多く、豪雪地帯に近い。雪国にあるサーキットは冬の積雪によって路面に細かな凹凸やバンプができてしまう。3年目の今年、レッドブルリンクは大規模改修を実施して、見るからに滑らかでグリップする路面を完成させた。いきなり昨年のポールポジションタイムが破られ、予選では13年ぶりに最速レコードが更新された。平均235.151km/hは昨年ベルギーGPの予選PPスピードに匹敵する。この超高速化現象が、みっつめの原因と考えられる。


 またまたフェルスタッペンの前方で起きたメルセデスふたりの“突っ張り合い”によって、彼はスペインGPに次ぐ表彰台2位を頂戴できた。最強チームの最速マシンに事が起きたとき、すぐ後ろにいた18歳。幸運というよりも好機をしっかりつかみとる「レース力」を感じる。


 背後に閉じ込められたのは、またもフェラーリのキミ・ライコネン。フェルスタッペンは15周目から長距離走行してきたソフトでベテランを抑え切る。「自分がミスをしなければ守れると思っていた」。このコメントの裏には「相手には抜けるだけの勢いはない」と見切ったフェルスタッペンの透徹な観察眼が潜む。18歳の“ベテラン”は、また銀の矢が折れて欠けると、すくいとるところに、ちゃんといた。


 悲運だったのはセバスチャン・ベッテルで、無得点レースは非常に痛い。バーレーンGPは出走できず、ロシアGPリタイアに続き、今季3度目だ。6レースで得た96点は昨年の同時期135点を大幅に下回る。せめてもの救いは首位ロズベルグとは57点差、昨年の首位ハミルトンとの59点差と、ほぼ同じだ。フェラーリ陣営は惜しまずさらにトークンを使い、残りは3トークン。パワーユニットの開発に集中する一方でギヤボックスなど信頼性に陰りがちらつく。レース中に起きたタイヤ・バースト事故の詳細原因は、いまだ不明。いい流れに乗りそうで乗れない、モヤモヤしたフェラーリ。そして再び、ぎくしゃくしはじめたメルセデスをあざ笑うかのように、レッドブルは自分たちの庭で2位をかすめとった。



(Text : Jun Imamiya)




レース

4/19(金) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 16:30〜17:14
4/20(土) スプリント 12:00〜13:00
予選 16:00〜
4/21(日) 決勝 16:00〜


ドライバーズランキング

※日本GP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン77
2位セルジオ・ペレス64
3位シャルル・ルクレール59
4位カルロス・サインツ55
5位ランド・ノリス37
6位オスカー・ピアストリ32
7位ジョージ・ラッセル24
8位フェルナンド・アロンソ24
9位ルイス・ハミルトン10
10位ランス・ストロール9

チームランキング

※日本GP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング141
2位スクーデリア・フェラーリ120
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム69
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム34
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム33
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム7
7位マネーグラム・ハースF1チーム4
8位ウイリアムズ・レーシング0
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー0
10位BWTアルピーヌF1チーム0

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