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【F1コラム】F1はグリーンなスポーツになれるのか。ネットゼロ計画に、カレンダー構成とプライベートジェット問題という課題
2026年8月16日
ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、F1が二酸化炭素の排出量を削減するための『Net Zero 2030』の目標に、現在どれぐらい近づき、どこに課題を抱えているのかを探る。
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F1は、2030年までにネットゼロを達成するという目標に向けて努力を重ねている。ただ、より環境に優しい未来を目指すF1の取り組みが、すべて順風満帆というわけではない。改善の余地はまだ残されている。
■順調な滑り出し ― 2025年の削減実績
まずは、良いニュースから始めよう。
2025年、F1は2018年を基準としたカーボンフットプリントを35%削減した。貨物輸送、物流、放送、レース運営の各分野で大幅な排出量削減を実現し、2024年と比較しても12%の削減となった。
移動に伴う排出量は21、000トンCO2e以上減少し、2018年比で27%の削減を達成した。F1チームが持続可能な航空燃料(SAF)への投資を拡大し、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)がリモート放送を継続することで、移動に伴う排出量は今後も減少していく見込みである。
F1 TVおよび中核となる国際放送は現在、イングランドのビギンヒルにあるメディア&テクノロジーセンターで大部分が制作されている。これにより、スタッフの移動や機材輸送を減らし、CO2排出量を削減している。
その結果、2030年までにF1の現在の放送関連輸送および貨物輸送の50%以上が航空輸送から削減される見通しであり、これは最低限の排出量削減目標を達成するうえで重要なマイルストーンとなる。

■チーム輸送には電動トラックも導入
ヨーロッパラウンドの間は、F1マシン、工具、機材、そして巨大なモーターホームは、何百台ものディーゼルエンジン搭載トラックによって運ばれている。しかし、少なくともそのうち1台は完全な電動車両だ。
まだ小さな一歩ではあるが、メルセデスは今夏の欧州9戦で、通信オフィスや医務室、理学療法室など、主要な運営インフラを輸送するために長距離輸送用大型電気トラック『eアクトロス600』を使用する。
従来のディーゼル車に代わる低排出の選択肢と、長距離輸送用の電動技術の信頼性に対する高まりつつある自信は、メルセデス、そして将来的には他のチームにとっても、カーボンフットプリント削減に役立つだろう。
今後数年間、F1は航空輸送から海上輸送へ貨物輸送を移行し、さらに戦略的に配置された地域ハブを活用する計画を加速させていく。これは、世界規模でスポーツを移動させる方法そのものを根本的に変えていくことになる。
■アストンマーティンとメルセデスの新施設での取り組み
F1全体の排出量の3分の2以上を貨物輸送と移動が占めている一方で、風洞を含む各チームのファクトリーやその他の施設も、カーボンフットプリントに大きく寄与している。
数年前にオープンしたアストンマーティンのテクノロジーキャンパスは、敷地面積37、000平方メートルの規模を誇り、ほぼ20年ぶりに建設されたF1チームの完全な新拠点である。この新本社は、断熱性能の向上、自然光の効率的な利用、そして施設への電力供給を支えるソーラーパネルなどによって、F1の環境面での目標達成に貢献する。
「ここは、このスポーツがこれまで目にした中で、最も持続可能なキャンパスである」と、チームオーナーのローレンス・ストロールは開業時に語った。
メルセデスF1チームも現在、ブラックリーにある本部の改修を進めており、持続可能性を重要な課題として掲げている。
「新しいキャンパスの開発は、世界で最も持続可能なプロスポーツチームになるという、チームのサステナビリティ目標にとって重要なものです」と、メルセデスAMGペトロナスF1チームのサステナビリティ責任者、アリス・アシュピテルは語る。
「排出量を削減できるだけでなく、資源消費も減らすことができる。それは、今後前進していくうえでとても重要なことなのです」
「現在設計している2つの新しい建物は、運用時にネットゼロとなる予定であり、敷地内外の双方で100%再生可能エネルギーによって支えられます。敷地内での発電は非常に重要です。ソーラーパネルによって施設の一部の活動に電力を供給し、自前の安定した再生可能エネルギー源を確保できます。これによって英国の電力網に発電能力を追加し、再生可能エネルギーの供給拡大にも貢献できるのです」
こうした本拠地における持続可能性への取り組みは、すでに大きな成果を上げている。スポーツ全体のファクトリーおよび施設からの排出量は、2024年と比較して37、000トンCO2e以上減少した。2018年比では64%の削減、2024年比でも14%の削減となっている。

■課題は残る。カレンダー合理化は完全ではない
しかし、ここからは悪いニュースだ。F1がより環境に優しい未来へのレースをさらに加速させるべき分野について見てみよう。
物流と移動がF1のカーボンフットプリントにおいて大きな割合を占めていることを考えれば、カレンダーの合理化は比較的容易に取り組める分野のはずだ。F1もこの問題に目を向けている。ここ数年は、マイアミへ行き、ヨーロッパで数戦を戦った後、再び大西洋を越えてモントリオールへ向かうという流れが続いていた。しかし今年は、マイアミGPとカナダGPがカレンダー上で隣接する日程となった。
ただし、マイアミとモントリオールのレースの間には3週間の空白があったため、多くのスタッフはヨーロッパへ戻った。それでも、F1マシンとすべての機材については、大西洋を往復する輸送を1回減らすことができたことになる。
カレンダー合理化のための候補は、他にもある。現在、シンガポールは極東で唯一の秋開催レースとなっている。なぜ、オーストラリアの後、中国GPや日本GPと組み合わせて、春に開催しないのか。
オースティンとラスベガスのアメリカ2戦を、メキシコとブラジルの中南米グランプリの前後に配置するのも理にかなっていない。
そして、もしこれほど狭いエリア内で4レースを開催したいのであれば、春にバーレーンとサウジアラビア、シーズン終盤にカタールとアブダビを開催するのではなく、“中東ラウンド”としてまとめてはどうだろうか。
ヨーロッパでは今年、何百台ものチームトラックがオーストリアへ向かい、その後シルバーストンへ移動し、さらにベルギーとハンガリーの連戦へと続いた。レッドブルリンクとハンガロリンクはわずか約400kmしか離れていない。オーストリアGPとハンガリーGPを連戦として開催すれば、何千リットルものディーゼル燃料を節約できる。
現在の契約や、それぞれの都市で開催される他のイベント、さらには天候などを考慮すると、カレンダーの合理化は容易ではないかもしれない。しかし、不可能ではない。
現在のF1の人気により、すべてのレースのチケットが完売している状況にあり、地理的に近い場所でのレースを続けて開催することを避けるという従来の考え方は、もはやあまり意味を持たない。そして、カレンダーへの新規参入を望む国が長いリストを作って待っている状況を考えれば、現在のグランプリ主催者は、日程変更に対して以前より柔軟な姿勢を見せる可能性がある。
■プライベートジェット問題は矛盾するメッセージ

もしF1が本当に2030年までのネットゼロという取り組みに真剣に取り組んでいるのであれば――私はそうだと信じているが――、現在、スポーツの公式プライベート航空サプライヤーとなっているフレックスジェットとの新たなパートナーシップは、明らかに間違った選択だ。
プライベートジェットは航空輸送の中でエネルギー消費が最も激しい形態であり、乗客1人当たりの二酸化炭素排出量は、商業航空便の最大14倍にもなる。このパートナーシップに基づいて運航されるフライトでは、持続可能な航空燃料証書(SAFc)が利用される予定だが、プライベートジェットの利用自体が誤ったメッセージを発信していることに変わりはない。
間違ったメッセージといえば、もう一つある。ドライバーはF1最大のスターである。その意味で、彼らはロールモデルでもあるにもかかわらず、プライベートジェットに乗った自分の写真をせっせとSNSに投稿している。
少し前までなら、こうした振る舞いも格好良く映っていたかもしれない。しかし、F1の新しい若いファン層は、持続可能性や気候変動に対する意識がより高い。若い新世代のファンの多くにとって、プライベートジェットはもはやクールなものではない。
多くのグランプリの前に行われる航空ショーやフライパスも同様だ。スタート数分前、グリッドの上空を自国の空軍機やジャンボジェットが飛び交う光景を目にして、2030年ネットゼロの取り組みを真剣に受け止めるのは難しい。
F1は2030年までにネットゼロという目標を達成できるのだろうか。それは時間が教えてくれるだろう。しかし、2030年までは4年を切っている。そろそろ、我々のスポーツがより環境に優しい未来へ向かうためのレースを、さらに加速させる時期なのではないだろうか。

(Text : Peter Nygaard)
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| 9/4(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
| フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
| 9/5(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 9/6(日) | 決勝 | 22:00〜 |
| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 242 |
| 2位 | ジョージ・ラッセル | 183 |
| 3位 | ルイス・ハミルトン | 183 |
| 4位 | ランド・ノリス | 159 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 155 |
| 6位 | マックス・フェルスタッペン | 112 |
| 7位 | オスカー・ピアストリ | 104 |
| 8位 | アイザック・ハジャー | 68 |
| 9位 | リアム・ローソン | 49 |
| 10位 | ピエール・ガスリー | 44 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 425 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 338 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 263 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 186 |
| 5位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 66 |
| 6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 63 |
| 7位 | TGRハースF1チーム | 21 |
| 8位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 16 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 11 |
| 10位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 3 |


