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レーキ角の変更に伴い、16ものアップデートが必要だったアストンマーティン【チーム・フォーカス/F1第11戦】

2026年7月30日

 夏休み前の最後の1戦となったF1第11戦ハンガリーGPで、優勝争いをしているトップチームにも負けないほど注目を集めていたのが、コンストラクターズ選手権10位のアストンマーティンだった。


 その理由は、トップチームにも負けないほどの大規模なアップデートを投入したからだ。たとえば、ハンガリーGPで今シーズン初優勝したマクラーレンはトップチームで最多となる5つのアップデートを投入していたが、アストンマーティンはその3倍以上となる16点ものアップデートをハンガロリンクに持ち込んだ。

 その内容は、ノーズ(アストンマーティンAMR26のアップデート(写真1)/1)、フロントウイング(写真1/2)、フロントウイング翼端板(写真1/3)、フロントコーナー(写真1/4)、サイドポッドインレット(写真1/5)、リヤウイング(写真1/8)、フロアフェンスアストンマーティンAMR26のアップデート(写真2/10)、フロアエッジ、ディフューザー、エンジンカバー(写真2/12)、フロアボディ(写真2/13)、クーリングルーバー(写真2/14)、リヤサスペンション、リヤコーナー、ビームウイング、リヤウイング翼端板(写真2/15)となっている。

【チーム・フォーカス/F1第11戦】
アストンマーティンAMR26のアップデート(写真1)
【チーム・フォーカス/F1第11戦】
アストンマーティンAMR26のアップデート(写真2)

 これだけでも目を見張るのだが、アストンマーティンは国際自動車連盟(FIA)が発表していない部分にも改良の手を加えていた。サイドミラーを支えるステーのデザインを一新(写真1/6)。ベルギーGPまであったコクピット脇の垂直のフェンスがハンガリーGPではなくなっていた(写真1/7)。またフロントウイング翼端板の外側に付いているカナードのデザインも変更されていた(写真2/9)。


 モノコックは新しくなっていないため、正確にはBスペックとは呼べないものの、空力的にはベルギーGPまでとは似て非なるものとなったという意味では、AMR26Bと呼んでもいいほどの大変更だった。


 なぜ、このような大変更を施さなければならなかったのか。その答えは横からの写真(写真2)に写し出されている。ベルギーGPまでの車体に施されていたリヤの車高が持ち上がった高いレーキ角がBスペックでは、ほぼ水平にまでなくなっていた。レーキ角はそのマシンの空力特性を左右する大きな要素。そのレーキ角の角度を大きく変えたBスペックはAMR26とはまったくキャラクターが異なるマシンとなった。そのためには、ノーズからリヤウイングまでの空力パーツを一新する必要があったのだと考えられる。


 そのパフォーマンスは予選でフェルナンド・アロンソが今シーズン初めてQ2へ進出したことでも大きく向上していたことがわかる。予選Q1のトップとの差をアロンソのタイムで比較すると、スペインGPで3.190秒(+4.22%)だった差が、ハンガリーGPでは1.849秒(+2.36%)まで短縮している。タイムにして1.341秒、改善率にして1.86%の性能向上を果たした。


 空力以外にも軽量化もパフォーマンスアップに大きく貢献。ベルギーGPまではキャデラックに対して予選で2秒以上後れていたのに対して、ハンガリーGPの予選ではキャデラック勢だけでなく、ウイリアムズ勢とハースの1台も上回った。


 チーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイはこう語る。


「今回のアップグレードにより、非常に心強い第一歩を踏み出したことは明らかだ。この進歩は、シルバーストーンにあるキャンパスで仕事しているスタッフをはじめ、チーム全員が懸命に努力した結果だ」


「もうひとつの明るい材料は、パフォーマンスがシミュレーションと一致していたことだ。アップデートしたシミュレーションツールと実走データとの間に良好な相関関係が見られたことは力強い。これは、短期的にも長期的にも、我々が正しい開発の道筋を進んでいることを強く示唆している。今日得られた貴重な知見により、夏休み明けのザントフォールト(オランダGP)でもさらなるアップグレード投入したい。それがうまくいけば、強力な基盤を築くことができるはずだ」


 アストンマーティンのBスペック投入で、第2集団の勢力図は大きく様変わりしそうだ。

エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン)
2026年F1第11戦ハンガリーGP アストンマーティンのマネージングテクニカルパートナー兼チーム代表エイドリアン・ニューウェイ


(Text : Masahiro Owari)


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