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あえての“オーバープッシュ”成功で自信を得た坪井のF1旧型車テスト。「コーナーごとのコミュニケーション」も大きく前進

2026年7月29日

 TGRハースF1チームのTPC(Testing of Previous Cars/旧車テスト)は7月29日、最終日となる2日目のセッションを迎えた。初日はウエットコンディションでしか走れなかった坪井翔も、この日は朝のセッション3冒頭から完全ドライコンディションでの走行を担当。2時間弱に及んだ走行の最後には、新品のミディアムタイヤを2セット使ってアタックを行い、1分17秒914というこの時点での2日間のベストタイムを残している。


 自らの走行を終えてマシンを福住仁嶺に引き継いだ直後、坪井がメディアの前で今回のテストでの感触などを語った。

■昨年と同じコンディションなら「余裕で1分16秒台」

 テスト初日は午前のセッション1冒頭、ウエットコンディションを担当していた坪井。その後、乾いていくコンディションは福住が担当し、再びウエットとなった午後のセッション2も福住が担当していた。


 迎えた2日目午前のセッション3では、最初にハードタイヤを履き、2アウティングを走行。その後にミディアムへと履き替え、アタックを行うというメニューを坪井がこなした。


「昨日の最後に雨が降ってしまって、当然ですが今日の走りだしはめちゃくちゃ路面が悪かったです。ハードで何回かアタックしましたが、(最後に履いた)ミディアムの2セット目くらいにグリップが上がってきました。ちょっとグリップしてきたな、くらいのところで(自分の担当が)終わってしまいました」


 坪井は「昨日も今日も、福住選手のために路面を作るばっかり、みたいになってしまって……(笑)」と冗談めかしたが、フルドライのセッション3でのアタックを含む走行では、得られるものも多かったようだ。坪井は昨年の富士TPCではVF-23(2023年型)をドライブしたが、今年はVF-25(2025年型)とマシンが変わっている。その変化についても、感じ取ることができたという。


「コンディションも悪いし、路温も高すぎて去年のタイム(1分17秒470)には届いていませんが、昨年と同じコンディションであれば、余裕で1分16秒台に入っていると思います。そういった意味では、VF-23からVF-25にかけてパフォーマンスはめちゃくちゃ上がっていると思います」


 セッション3冒頭のアウティングのあと、チームは20分程度をかけてマシンのセットアップを行っていたが、これは坪井のコメントを反映したものだったようだ。


「走り出しは(ドライセットの)車高などもまだ決まっていない状態だったので、そのあたりをコメントして、合わせてもらいました。セットアップも少しずつ変えて、あとはデフを(ステアリング上で)いっぱい調整できるので、僕がコメントしながら提案してもらって、アジャストしていきました。ただ、暑いのでタイヤの温度が上がりやすく、リヤのマネジメントが難しかったですね」

坪井翔
富士スピードウェイをVF-25で走行する坪井翔

 昨年の富士に始まり、シルバーストンでも2回のTPCを経験している坪井は、これまでのテストとは自らのアプローチも少し変え、今回の走行に臨んでいたという。そのカギは「オーバープッシュ」、つまり慎重に走行を始めるというよりは、敢えて“少し攻めすぎ”くらいのところから、走り出すことを心がけていたという。


「初めての時はビルドアップしていくものだと思うのですが、僕はもうそれなりに乗っていますし、積み重ねるというよりはある程度のところからスタートしたいな、と。最初のアウティングから『ちょっとオーバープッシュだよ』と言われるくらい、はじめからポンと行けました。そこは自分がターゲットとしていたところがしっかりできたので、良かったと思います」


「去年の(富士TPCでの)グリップのイメージが染み付いているので、『ここまでいける』と思っていったら、ちょっとオーバープッシュだった、みたいな。路面も悪いので、そこから少しずつ下げていくような感じになったのですが、そういうことがF1でできるところまで自分のポテンシャルがあるんだな、というのを少し感じられるセッションだったので満足しています」


 もうひとつ、坪井はチームとのコミュニケーションの面でも手応えが得られたことを強調した。


「一番のネックはそこだと思っていますが、コミニケーションもいっぱい取れましたし、周りの方もその部分の評価をしっかりとしてくれたので、そこはひとつ自信になったセッションでした」


「去年は、伝えたいことが言葉(英語)に出て来なかったり、慣れるのにいっぱいいっぱいで、コミュニケーションを取るところまで正直、行っていませんでしたが、今年はしっかりコミュニケーションをとってコーナーごとに(スイッチ類を)触って『こうした方がいい、ああした方がいい』という提案に対してちゃんと対応できたので、本当に内容の濃いセッションだったと感じています」


 午前中は富士では不利とされるホームストレート向かい風のなかのアタックとなったこともあり、「午後もショートランができたら……」と坪井は悔やむが、これでアタックを行うメニューは終了。それでも、限られた時間のなかで、充実した経験を積むことができたようで、坪井の表情からは高揚感と満足感が感じられた。



(Kazushi Nakano / autosport web)


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