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ヨーロッパ取材の2戦目はスパ。華やかなパドックには忘れてはならない事故の記録も展示/現場写真日記

2026年7月17日

 F1ジャーナリストの尾張正博氏がF1第10戦ベルギーGPの現場取材に訪れた。ヨーロッパラウンドは、先月の第7戦バルセロナ・カタルーニャGP以来2戦目。勝手知ったるはずのフランクフルト空港からスパ・フランコルシャン・サーキットを目指したが、出だしからなんとも不思議な感覚に陥ったという。そんな現地の様子をお届けします。

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 バルセロナ・カタルーニャGPから1カ月、今度はスパにやってきた。今年2度目のヨーロッパラウンドで、今年はドイツのフランクフルト空港からスパへ向かうことにしたのだが、空港に到着すると、まるでタイムマシーンに遭ったかのような錯覚に。降機して空港内に入っても、ここがどこか思い出せないのである。

現場写真日記
バルセロナ以来、今度はスパへ

 フランクフルト空港は筆者の人生で成田空港に次いで利用回数が多い、第2のホームエアポート。東京へ通勤しない筆者にとって、東京にある鉄道のどの駅よりも勝手を知っているのがフランクフルト空港だった。しかし、手荷物受取所を出ても、ここがどこかわからない。理由は今年の4月に開業したばかりの新しいターミナル(ターミナル3)に到着していたからだった。

現場写真日記
勝手知ったるはずのフランクフルト空港だったが……

 通常であれば、前のグランプリで駐車券をもらうので、木曜日の朝はホテルからサーキットにレンタカーで直行するのだが、筆者はベルギーGPの前のイギリスGPに行っていないので、今回はレースごとの取材許可証の引き取り場所である『アクレディテーション・センター』で駐車券をもらってからサーキットへ。いつもは通らないフランコルシャン村の中心街を通ったので、一時停止して撮影した。この交差点の一角にはかつて『TAMIYA』の看板を掲げたモデルカーショップがあったが、それももうなくなっていた。

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サーキット最寄りのフランコルシャン村

 みんなは『スパ』と呼ぶが、サーキットの最寄りの街は『フランコルシャン』。だから、サーキットの入口にある案内板もスパの行き先を示す標識がスタブローとマルメディとともに立っている。

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『スパ』をはじめお馴染みの名前が書かれた看板

 前方に見える白い自動車の先に1コーナーのラ・ソースがある。何年か前に、日曜日にメディアセンターに忘れ物をして、月曜日に取りに来たときはここからなかに入ることができ、無事忘れ物も受け取ることができた。その帰りに、ついでにコースを1周したものだった。

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いざサーキットへ

 スパは急勾配なため、ガレージとパドックは階段を使って行き来しなければならない。パドック側からガレージ側へ向かう途中の通路に、今年は8枚の写真が並んでいた。

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スパのパドック

 そのなかにはこのスパで歴代最多の6勝を挙げているミハエル・シューマッハーの写真が数多く掲げられていた。シューマッハーといえば、デビュー戦の1991年のベルギーGPだろう。その年、F1に参戦したジョーダンでいきなり予選7番手を獲得して、トップチームだったベネトンに引き抜かれ、一気にスターダムにのし上がっていった。シューマッハーがデビューするきっかけとなったのは、ジョーダンでレギュラードライバーだったベルトラント・ガショーが、イギリスのロンドンでタクシー運転手と口論になり、催涙スプレーを吹きかけ傷害容疑でイギリスの警察に逮捕されたからだった。代役を探していたジョーダンのオーナーであるエディ・ジョーダンから、スパでレースをしたことあるかを尋ねられたシューマッハーは「何度もレースをした」と答えて、ジョーダンからOKをもらったというが、じつは一度もレースしたことなかった。

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スパの歴史を振り返る8枚の写真が展示されている

 デビュー戦の予選7番手がフロックでなかったことは、翌年の1992年にスパで初優勝していることからもわかる。

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1992年はシューマッハーが初優勝を飾った

 こういう写真はポジティブな面ばかりに焦点をあてることが多いものだが、スパはレースにつきまとうネガティブな面にもスポットを当てている。1992年にはリジェのエリック・コマスがフリー走行中にクラッシュ。一時意識を失い、直後を走行していたアイルトン・セナが自らマシンを降りて駆けつけるほどの惨劇だった。

 コマスは一命を取り止め、1994年までF1を戦っていた。その事故から27年後の2019年、コマスと同じフランス人のアントワーヌ・ユベールがスパで命を落とした。こういう事実を華やかなパドックに展示するあたりが、スパがスパたる所以だろう。スパではグランプリが初めて開催された1925年からF1以外のレースも含めて数十人のドライバーやライダーが命を落としてきた。それでも、レースを続け、いまも多くのドライバーから世界最高峰のサーキットと称賛されているコース。それがスパ・フランコルシャン・サーキットなのである。



(Text & Photo : Masahiro Owari)


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