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FIA F2で7勝、それでもF1に届かない。メルセデス育成“忘れられた逸材”の現実【F1コラム】
2026年7月17日
ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、ナイガード氏と同じデンマーク出身のフレデリック・ベスティに焦点を当てた。ベスティは2023年FIA F2でランキング2位を獲得、2年のキャリアで7勝を挙げながら、F1レギュラーシートをつかめず、メルセデスF1チームのリザーブドライバーの座にとどまっている。
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今のF1にはデンマーク人ドライバーがいない。デンマーク出身の私は、そのことをもどかしく思っている。ケビン・マグヌッセンがF1を去ってまだ2年しか経っていないが、すでに遠い昔の出来事のように感じられる。彼は2014年のデビュー戦でいきなり2位を獲得しながら、その後はそれ以上の成果を生み出せずに終わった。
ジュニアカテゴリーで戦っているデンマーク出身の若手ドライバーは存在する。レッドブルリンクで行われたF3フィーチャーレースでノア・ストロムステッドは見事な優勝を飾った。だが彼が来年FIA F2に昇格できる保証はない。17歳のフェラーリ育成ドライバー、アルバ・フルップ・ラーセンは、F1アカデミーで時折優勝争いをしているが、F1マシンのステアリングを握るチャンスが与えられるまでには、長い道のりがあるだろう。
F1にもっと近い位置にいるデンマーク人ドライバーがひとりいるが、残念ながら彼はほとんど忘れ去られた存在になってしまっている。
■F2で実績十分、それでもF1への扉は開かなかった
フレデリック・ベスティは2023年のFIA F2でランキング2位を獲得した。この年のチャンピオン、テオ・プルシェールがわずか1勝だったのに対し、ベスティは6勝を挙げている。2022年の1勝も含めたFIA F2での実績を考えれば、彼はF1シートを与えられるのにふさわしい存在だった。

2023年シーズン終了後、F2からは8人のドライバーがF1へ昇格している。2023年にプレマ・レーシングでベスティのチームメイトを務めたオリバー・ベアマンは、F2で7勝を挙げてハースのF1シートを獲得した。その他の7人と優勝回数は以下のとおりだ。
フランコ・コラピント(1勝)、ジャック・ドゥーハン(6勝)、リアム・ローソン(5勝)、アンドレア・キミ・アントネッリ(2勝)、アイザック・ハジャー(4勝)、ガブリエル・ボルトレート(2勝)、アービッド・リンドブラッド(3勝)。いずれもベスティより少ないF2勝利数でF1入りを果たしている。
ベスティは2021年にメルセデスのジュニアプログラムへ加入し、現在はチームの公式F1サードドライバー(メルセデスによるとリザーブドライバー)を務めている。
しかし、輝かしくはあるもののやや過去の実績となったF2での成績と、6年間にわたるメルセデスへの忠実な貢献だけで、24歳のベスティは今後F1へたどり着けるのだろうか。
彼とマネジメントは、F2卒業後にやや不可解なキャリア選択をしてきた。2024年ヨーロピアン・ル・マン・シリーズLMP2でランキング9位という成績は、F1チーム代表たちの目に留まるものではなかった。2025年にはキャデラックのハイパーカーチームにおいてIMSAシリーズで2勝を挙げ、その万能ぶりを証明したが、新たなF1ドライバーがアメリカのスポーツカーレースから採用されることはほとんどない。今年もキャデラックで勝利を挙げているものの、F1レギュラーシートへの距離は縮まっていない。

■バルセロナでのFP1走行は物足りない結果に
バルセロナ・カタルーニャGPでベスティは、メルセデスから自身5度目となるFP1走行の機会を得た。若手にとってFP1走行は輝きを放つ絶好のチャンスだが、過去4回(2023年と2025年のメキシコシティ、2023年のアブダビ、2025年のバーレーン)と同様、その走りは堅実ではあったものの、目を見張るものではなかった。
スペインでベスティが託されたのはアントネッリのメルセデスW17だった。このマシンは2026年シーズンのグリッドで最高の競争力を誇っている。それを考えると、ベスティの15番手という結果は、果たして十分だったのかという疑問は当然生じる。

バルセロナのFP1には6人の“ヤングドライバー”が参加、そのうち4人がベスティを上回るタイムを記録した。しかも彼らが乗ったマシンは、その時点でメルセデスより遅いとみられるものだったが、レオナルド・フォルナローリ(マクラーレン)、ポール・アーロン(アルピーヌ)、ディーノ・ベガノビッチ(フェラーリ)、岩佐歩夢(レッドブル)は、それぞれ5番手、6番手、8番手、14番手につけた。
メルセデス代表のトト・ウォルフは、ベスティは膨大なシミュレーター作業をこなしているため、誰よりもW17を理解していると強調している。しかし、シミュレーターと実際のサーキットには明らかな違いがある。カタルーニャでFP1最速を記録したジョージ・ラッセルは、ベスティより実に2秒も速かった。
ベスティに課されたプログラムの詳細や搭載燃料の量は、メルセデス関係者以外には分からない。そしてヤングドライバー向けのFP1走行は、多くの場合、データ収集や、シミュレーターとトラックでのマシンの感覚を比較する相関検証に主眼が置かれる。しかしチームの情報によれば、ベスティはラッセルと同じプログラムをこなしていたという。
ベスティ自身は15番手という控えめな結果について、路面コンディションの変化が影響したと説明している。ミディアムタイヤでロックアップを起こし、そのため予定より早くソフトタイヤと少ない燃料での走行に切り替えざるを得なかったという。
確かに、FP1の1時間を通してバルセロナ・カタルーニャ・サーキットの路面は徐々にタイムが出やすくなっていった。したがって、ベスティが自己ベストを記録したのが開始36分後だったことは、タイム上、不利に働いたといえる。しかし実際には、ラッセルはそれよりさらに数分早い段階でFP1最速タイムを記録しているのだ。
■残るFP1で求められるインパクト
ベスティのマネージャーであるドーテ・リースは、メルセデスはベスティをF1レギュラーシートへ送り込みたいと考えていると主張する。しかし、そのためには、パドックで話題になるようなFP1での結果が必要だ。例えば、カタルーニャで初めてのFP1参加ながら5番手に飛び込んだマクラーレンのレオナルド・フォルナローリのようなインパクト。あるいはオーストリアで、アストンマーティンのチームメイトであるフェルナンド・アロンソを0.1秒上回るラップを記録したジャック・クロフォードのような走りである。
ベスティには今年あと3回のFP1走行が予定されている。その機会を生かし、ソフトタイヤと少ない燃料搭載量を生かしたアタックをうまく決めて、人々の記憶に残る結果を残さなければならない。
ベスティはF1のレギュラーシートに値するドライバーだ。速く、真面目で、技術的な理解力にも優れている。ドライバーとしての総合力は非常に高い。おそらく彼は、これまでF1に参戦したデンマーク人ドライバー、あるいはF1に最も近づいたどのデンマーク人ドライバーよりも、F1で走る準備が整っているといえる。
それだけに、彼がほとんど忘れられた存在になりつつあることは、実に残念である。

(Text : Peter Nygaard)
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| 7/24(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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| 7/25(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 7/26(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 219 |
| 2位 | ルイス・ハミルトン | 169 |
| 3位 | ジョージ・ラッセル | 160 |
| 4位 | シャルル・ルクレール | 138 |
| 5位 | ランド・ノリス | 128 |
| 6位 | マックス・フェルスタッペン | 109 |
| 7位 | オスカー・ピアストリ | 92 |
| 8位 | アイザック・ハジャー | 68 |
| 9位 | リアム・ローソン | 43 |
| 10位 | ピエール・ガスリー | 42 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 379 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 307 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 220 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 177 |
| 5位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 66 |
| 6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 61 |
| 7位 | TGRハースF1チーム | 21 |
| 8位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 12 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 11 |
| 10位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 1 |


