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“意識の変化”でオペレーションが改善/2度目の富士F1テストはクルマも人も『近く』で【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第8回】

2026年7月16日

 今年で11年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄代表。オペレーションの改善を目標に臨んだヨーロッパでの2度目の連戦は、その目標通りの成果が見えたという。クルマの問題の解決には時間がかかると小松代表は認めたが、その一方でうまくやれていることと改善点を両立して考える“一貫性”があるとチームを評価した。また7月末に富士スピードウェイで行うTPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)については、あるテーマを持って開催すると明かした。今回はそんなオーストリアGPとイギリスGPを小松代表が振り返ります。

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■2026年F1第8戦オーストリアGP
No.87 オリバー・ベアマン 予選13番手/決勝14位
No.31 エステバン・オコン 予選15番手/決勝16位


■2026年F1第9戦イギリスGP
No.87 オリバー・ベアマン スプリント予選17番手/スプリント14位/予選14番手/決勝12位
No.31 エステバン・オコン スプリント予選18番手/スプリント16位/予選17番手/決勝13位


 オーストリアGPと、バンベリーに拠点を置く僕たちにとってホームレースでもあるイギリスGPが終わりました。イギリスGPはシルバーストン・サーキットまで自宅から通えるという最大のメリットがありますが、その反面1年で最も忙しい週末のひとつです。ホームですし、F1の中心地というだけあって関係者が一番多く来ますからね。


 あと今年はファンの数もすごかったです。それに、やっぱりみなさんF1をよく知っているなと思います。僕はF1をやりたくてイギリスに来て、今ではもう32年住んでいます。イギリスにお世話になっているからという言い方が正しいかどうかわかりませんが、イギリスのファンを見ていると、大勢の熱心な方々が見に来てくださって素直に嬉しいという思いが一番です。

オリバー・ベアマン&エステバン・オコン(ハース)
2026年F1第9戦イギリスGP木曜日 オリバー・ベアマン&エステバン・オコン(ハース)

 それからイギリスGPでは、木曜日にヒストリックF1カーのドライブもしました。グランプリの週末にシルバーストンでF1をドライブするなんて僕にとってはすごいことで、かなり感激しました。僕が乗ったのは、ユーロブルンの1988年の『ER188』です。昨年このクルマのオーナーの方と知り合ったのがきっかけで、ずっと「乗ってほしい」とオファーを受けていて、木曜日に時間が取れたので乗ることができました。


 練習走行もできずぶっつけ本番だったので、かなり緊張しましたよ。昨年グッドウッドでVF-23に乗った時よりも緊張しました。あの時は事前にテストもできましたし、現代のF1は電気で制御できるのでゆっくりとドライブするのはそれほど難しくないのですが、1980年代のクルマはそうじゃないですし、もしハンガーストレートなんかで止まったらどうしようと考えながらのデモ走行でした。最初に走りながら何回かギヤを変えてみて、問題なく走れることがわかって、落ち着いて楽しむことができました。もちろんテレメトリーも搭載されていないクルマなので、万が一の場合に備えて無線だけ用意してもらい、3周ほど走りました。


 デモランの前には、ジョン・ワトソン(編注:イギリス人の元F1ドライバー)に話しかけられて、「ストールだけはするなよ。恥ずかしいから」なんて言われました。僕もそうなってほしくないから緊張していたんですけどね……。とにかく、イギリスGPの週末にシルバーストンを走るというのはとても光栄で、ありがたいことでした。

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第8回】
2026年F1第9戦イギリスGP木曜日 ユーロブルンの1988年型マシン『ER188』を、この車両のオーナーと小松礼雄代表が走らせた

 さてこの2連戦を振り返ろうと思います。前回のコラム(編注:「電気に気を取られずに」戦えたモナコ。年1回の“特殊性”とバルセロナでの悔しさ【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回】/2026年6月25日掲載)の最後に『オペレーションの精度を上げていくことが次のオーストリアGPでの目標です。』と書いたとおり、オペレーションを改善することができました。今のところクルマの性能はよくないのですが、みんなが目を覚ましてオペレーション面の問題点を改善できたのはポジティブなことです。


 もちろんそのためにプロセスも改善しましたけど、それよりもみんなの意識が変わったのだと思います。何もできない人が突然何かをできるようになるなんてことはないので、やはり意識の変化でしょうね。ただし、これからずっといい状態が続くとは楽観はしていられません。毎回「これが新しいベースラインだから、日々より良いものにしていこう」と伝えています。


 パフォーマンスに関しては、エステバンもオリー(編注:オリバー・ベアマンの愛称)もよくやってくれています。イギリスGPでのエステバンは、予選Q1ではイエローフラッグが出て減速するまでオリーより速かったですし、土曜日にはクルマもかなり満足できる状態に仕上がっていました。オリーの方は、感覚的にはそれほど悪くないのですが、クルマに根本的な問題があるので、それを解決するまではなかなか難しい状況です。それでも一生懸命ほぼすべてを出し切ってくれていますけどね。ただ、今はクルマの競争力が足りないので、ポイント獲得という結果に繋げられていません。


 夏が終わるまでは厳しい状況が続くと思いますが、9月の第13戦イタリアGPで次のアップデートをする予定です。とはいえ、そのアップデートが機能するかどうかは保証されていませんし、他のチームがどれくらい進歩するかもわかりません。たとえ僕たちがコンマ2秒改善したとしても、他がコンマ3秒速くなっていたら、相対的には後れをとっていることになります。楽観視できることは何もありませんが、それでもチームの雰囲気はいいですし、チームワークもうまくいっていると思いますよ。状況が悪い時というのは、何もすべてが悪いわけではありません。反対に状況がいい時も、すべてがいいわけではないのです。だからいい時も悪い時も、自分たちは何をうまくやれているのか、同時に何を改善しなければいけないのかを常に考えなければいけません。そういう一貫性がうちのチームにはあると思います。

オリバー・ベアマン(ハース)
2026年F1第9戦イギリスGP オリバー・ベアマン(ハース)
エステバン・オコン(ハース)
2026年F1第9戦イギリスGP エステバン・オコン(ハース)
エステバン・オコン&オリバー・ベアマン(ハース)
2026年F1第9戦イギリスGP エステバン・オコン&オリバー・ベアマン(ハース)

■TPCはF1を“近く”で見て、感じる場に

 前回のコラムでも触れたとおり、今年のTPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)には坪井翔と福住仁嶺を起用します。昨年初めて坪井がF1に乗った時は、彼は全日本スーパーフォーミュラ選手権のチャンピオンであり、富士スピードウェイを走ってタイムが出るのは当たり前なので、だからこそF1をドライブするその瞬間を楽しんでもらうことだけに集中した方がいいと考えていました。福住に対しても同じように考えていますが、彼にはいろいろな思いがあると思います。


 福住はヨーロッパでFIA F2に参戦し、結果が出ず悔しい思いもしたことでしょう。それでも自分のやれることをやって、スーパーフォーミュラではNTT docomo Business ROOKIEで初優勝しました。それが今回のTPCの参加に繋がったということです。やはり何事も諦めてはいけない、ということですね。常に自分のやれることを精一杯やるしかないですし、やり続けていればこういうこともある、という勇気を与えるいい例です。そういったいろいろな意味のメッセージを含んだ走行になると思います。TPCに参加したからといってフルタイムでF1に乗るチャンスがあるわけではないというのは本人もわかっているでしょうし、人生でこれが最初で最後のチャンスかもしれないので、それを思いっきり楽しんでほしいです。


 TPCにはたくさんのファンの方に来てほしいですし、来ていただいた方にはできるだけ近くでF1を見て、感じられるような場を設けたいと考えています。『近く』というのはドライバーもそうですし、クルマもチームもそうです。シルバーストンでデモランをした時にも、コースから観客席を見て、距離があるなと感じました。残念ながらF1は、いろいろな面で遠いところにあるものです。『近く』をキーワードに準備していきますので、この機会を使って、みなさんにはF1を近くで感じてほしいなと思います。

福住が苦難を乗り越え5年ぶり勝利「選んだ道が結果に結びついている」。太田は“天才”と称賛【第5戦鈴鹿決勝会見】
シャンパンを浴びる福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE) 2026スーパーフォーミュラ第4戦/第5戦鈴鹿
ハースF1富士TPCテスト
2日目の走行が終わり、記念撮影後にスタンドのファンに向けて手を振る坪井翔/2025年ハースF1 TPC


(Text : Ayao Komatsu)


レース

7/24(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
7/25(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
7/26(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※ハンガリーGP終了時点
1位アンドレア・キミ・アントネッリ219
2位ルイス・ハミルトン169
3位ジョージ・ラッセル160
4位シャルル・ルクレール138
5位ランド・ノリス128
6位マックス・フェルスタッペン109
7位オスカー・ピアストリ92
8位アイザック・ハジャー68
9位リアム・ローソン43
10位ピエール・ガスリー42

チームランキング

※ハンガリーGP終了時点
1位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム379
2位スクーデリア・フェラーリHP307
3位マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム220
4位オラクル・レッドブル・レーシング177
5位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム66
6位BWTアルピーヌF1チーム61
7位TGRハースF1チーム21
8位アウディ・レボリュートF1チーム12
9位アトラシアン・ウイリアムズF1チーム11
10位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム1

レースカレンダー

2026年F1カレンダー
第11戦ハンガリーGP 7/26
第12戦オランダGP 8/23
第13戦イタリアGP 9/6
第14戦スペインGP 9/13
第15戦アゼルバイジャンGP 9/26
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