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「オトロの連中は公正ではない」株式売却交渉は決裂。ブリアトーレは投資ファンドに不快感示す【代表のコメント裏事情】

2026年6月11日

 2026年F1第6戦モナコGPの金曜日に行われた国際自動車連盟(FIA)の会見で、アルピーヌのエグゼクティブ・アドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは、数カ月に渡って続いていたメルセデスのトト・ウォルフ代表とのアルピーヌの株式売却を巡る交渉が決裂したことを認めた。


 アルピーヌの株式は、親会社のルノーが76%を保有し、残りの24%をニューヨークを拠点とする投資ファンド『オトロ・キャピタル』(以下、オトロ)が保有している。今回ウォルフが買収しようとしていたのは、ルノーの76%ではなく、オトロの24%だった。

「3日ほど前に、その合意が破談になり、交渉全体が頓挫したようだ」


 ブリアトーレは、そう説明した。さらに破談した理由を尋ねられると、次のように説明した。


「簡単な話さ、価格が高すぎたんだよ。ある時点から、相手側が異なる価格を提示してきた。私は、トトは非常に公正だったと思う。そう信じている。オトロ側の連中が公正ではなかった」

フラビオ・ブリアトーレ(アルピーヌ エグゼクティブ・アドバイザー)
2026年F1第6戦モナコGP FIA会見 フラビオ・ブリアトーレ(アルピーヌ エグゼクティブ・アドバイザー)

 海外の報道によれば、オトロが最終的に提示していた金額は7億2000万ドルとも言われ、1ドル160円で換算した場合、日本円で1152億円にものぼる。つまり、アルピーヌ全体の評価額は30億ドル(4800億円)に値することを意味する。トトはアルピーヌの価値をそれより低く、約22億〜24億ドル(3520億〜3840億円)と考えており、約3割の開きがあった。


 不思議なのは、チームのトップであれば、通常はチームの評価額が上がったことを喜ぶのだが、ブリアトーレが真逆の対応だったことだ。しかも、トトは公正であったと語った一方、オトロのことを「相手側」と言ったり、「連中」と表現するなど、敵対視していた。


 ということは、アルピーヌとその筆頭株主であるルノーは、少なくとも24%のオトロの株式をウォルフに買い取ってほしかったわけだ。


 この24%の株式を巡っては、レッドブルの元代表であるクリスチャン・ホーナーをはじめとする投資家グループも関心を示していた。しかし、アルピーヌの支配株76%を保有するルノーは、ホーナーの投資家グループとの取引を阻止するため、拒否権を行使したと言われている。

トト・ウォルフ代表&アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2026年F1第6戦モナコGP トト・ウォルフ代表&アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 なぜ、アルピーヌ(ルノー)はホーナーではなく、ウォルフに売却しようとしているのか。最も有力な説はアルピーヌをメルセデスのBチームすることで、チームを安定化させ、競争力を向上させることだ。


 メルセデスからパワーユニットの供給を受ける今年、アルピーヌは前年のコンストラクターズ選手権最下位から、今年はレッドブルに次ぐ5位に急浮上している(モナコGP終了時点)。メルセデスとの関係を強化することでマシンの戦闘力向上だけでなく、ドライバーの育成やF1コミッションでメルセデスと協力することで政治的な分野で存在感を示すことができるというのがブリアトーレの狙いではないか。


 もし、この仮説が見当外れでなければ、アルピーヌの株式の売却は、オトロの24%で終わらず、ルノーが保有している76%にも及ぶ可能性がある。


「6億ユーロ(約1110億円)も投じて、しかも少数株主になるなんて、現実的ではない。ルノーが下す解決策が何であれ、我々は喜んで受け入れる」(ブリアトーレ)


 アルピーヌの株式を巡る交渉は、これで終わりではなく、ここからが始まりのようだ。

2025年F1第8戦モナコGP クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)
レッドブルのチーム代表を務めたクリスチャン・ホーナー。2025年のイギリスGP終了後にチームを離れた


(Text : Masahiro Owari)


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