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予選前に完成した“週末のベースライン”。入賞果たすも、力不足が露呈したカナダ【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第6回】
2026年6月4日
今年で11年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄代表。第5戦カナダGPでは、前戦マイアミで見送ったアップデートを実施し、その効果はしっかりと確認できたという。日曜日のレースではオリバー・ベアマンが入賞を果たしポイントも獲得したハースだったが、その一方で、チームの力不足な点が見えた週末だった。今回はそんなカナダGPを小松代表が振り返ります。
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■2025年F1第5戦カナダGP
No.87 オリバー・ベアマン スプリント予選15番手/スプリント18位/予選16番手/決勝10位
No.31 エステバン・オコン スプリント予選14番手/スプリント13位/予選17番手/決勝14位
前回のコラム(編注:規則修正で予選は一歩前進。アップデートなしのマイアミは「いい意味で驚き」【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第5回】/2026年5月14日掲載)の最後に書いたとおり、第5戦カナダGPではクルマのアップデートを実施しました。しかしカナダではアップデートがどうこうというよりも、週末の出だしがすごく悪かったこととサーキットの特性がVF-26の弱点を露呈させたことが一番の問題でした。
週末の出だしが悪かったのはまさにチームの総合力不足が原因です。特にスプリントの週末では、クルマのセットアップでも何でも、FP1からいい状態で走行を始めなければいけません。ジル・ビルヌーヴ・サーキットはモナコのように壁が近く、ドライバーが最初から自信を持って走れないと攻められないコースですが、こういうサーキットで本当にドライバーが安心して攻められるクルマではなかったということです。空力規則が大きく変わり、クルマはグラウンドエフェクトカーからそうでないものになったので、課題も昨年とは全然違います。カナダではすべてが後手に回ってしまいました。もちろん3度の赤旗中断もありましたけど、そういうことも全部含めて、今後こういうことにならないようにするというのが一番大きなこれからの課題です。

僕は初日を終えて「答えよりも疑問の方が多い初日だった」とコメントしましたが、その理由がまさにこれでした。スプリント予選ではエステバンが14番手、オリー(編注:オリバー・ベアマンの愛称)が15番手という結果だったので、普通に戦ってもポイントは獲れません。この時点では疑問の方が多く、うまくいかなかった原因を見つけなければいけない状況だったので、「もしセットアップを変えて走ることで、少なくとも方向性が見つかるなら、スプリントはピットレーンスタートでもいい」とチームに伝えました。
土曜日の朝になって、チームの方から「ある方向性のセットアップを試したい」と言われ、それを試すことで何がわかるのかというのもはっきりしたので、オリーのクルマのセットアップを変えることにしました。この時はかなり極端な方向にセットアップを振ったのですが、その結果いくつかあった問題のうちのひとつが解決し、残った問題のうちのいくつかはさらに悪化してしまいました。オリーのコメントを聞いてデータを調べて、そこで「この方向性では妥協点を見つけられない」ということが判明し、予選に向けてさらにセットアップを変えることにしたのです。

そして予選Q1になって、ようやくクルマが週末のベースラインとなるレベルになりました。でも本当はFP1の開始時点でこのレベルにないといけないんです。
■秒単位で変わった雨量。“その瞬間”の判断でスタートタイヤを選択
アップデートに関しては、ダウンフォースが増えていることは確認できました。今回エステバンはスプリント後の本予選の前にアップデートを投入したのですが、その際に「すべての限界値が高くなっている」とコメントしましたし、データにも表れているので効果は疑っていません。
ただ、アップデート前の状態でもアップデートをした後の状態でも、VF-26はとにかくカナダではどうやっても乗りにくいクルマでした。それは、今回のように気温が低くてグリップもあまりせず、フロントタイヤがなかなか機能しないようなところで、それに加えて縁石やバンプのある安定しないこのコースで、VF-26のハンドリング特性の弱点が顕著に現れてしまったからです。この2点、つまり準備が不完全だったことと、クルマの弱点が露呈したことのふたつが、この週末がうまくいかなかった原因です。

レースはほとんど雨も降らずに終わりましたけれど、スタートについては、もちろん僕たちもインターミディエイトタイヤでのスタートする可能性を考えていました。当時の状況を振り返ってみると、現地時間午後4時のスタートに合わせて、ピットレーンは3時20分に開きます。僕はその10分ほど前からピットレーンで雨の状況を見ていて、分単位どころか秒単位で雨量と路面は変わっていました。霧雨のような時もありましたし、グリッドに行く頃にはしっかり雨が降っていて、そうかと思えば数分で止んだり、といった感じでしたね。
路面はスムーズで元々グリップが高くないので、ちょっとでも雨が降ると路面の上にフィルムを被せたようにツルツルになります。そこで生き残ることができるかどうかが一番重要ですが、刻々と分単位で雨量が変わるような状況では、この後どうなるかなんて完全にはわかりません。だからこれからどうなるかを考えるのをやめて、スタートタイヤを決めなければいけない瞬間の判断でドライタイヤと決めました。ドライバーとも話したところ、エステバンははっきりドライだと言った一方で、オリーの方は怖がっていましたけどね。でも、もしインターでスタートして雨が強くならなかった場合はすぐにドライタイヤに交換しなければいけないですし、それまでにピットストップ1回分のギャップを作ることはできません。ですので、ドライタイヤでいくしかありませんでした。

結果的にオリーが10位に入賞し1ポイントを獲ることができましたが、エステバンの方は厳しいレースでした。先に書いたとおりこのコースがVF-26の弱点を露呈し、日曜日は気温も路面温度も低かったので、フロントタイヤが機能しにくい状況でした。何とか機能させようとしても、クルマが安定せずしっかりとタイヤを使うことができず、そこで安定させようとするともっとフロントタイヤに入力されない、という悪循環にはまってしまったレースになりました。
それから、レース中は3回のピットストップのうち2回でミスがありました。オリーのピットストップと、エステバンの2回目のピットストップで、問題があったのは2回とも同じ右のリヤタイヤでした。原因は結構複雑なもので、次の第6戦モナコGPに向けて対応策を練っているところです。


(Text : Ayao Komatsu)
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| 6/5(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
| フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
| 6/6(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 6/7(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 156 |
| 2位 | ルイス・ハミルトン | 90 |
| 3位 | ジョージ・ラッセル | 88 |
| 4位 | シャルル・ルクレール | 75 |
| 5位 | オスカー・ピアストリ | 60 |
| 6位 | ランド・ノリス | 58 |
| 7位 | マックス・フェルスタッペン | 43 |
| 8位 | アイザック・ハジャー | 29 |
| 9位 | リアム・ローソン | 26 |
| 10位 | ピエール・ガスリー | 26 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 244 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 165 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 118 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 72 |
| 5位 | BWTアルピーヌF1チーム | 41 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 39 |
| 7位 | TGRハースF1チーム | 21 |
| 8位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 11 |
| 9位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 2 |
| 10位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 1 |


