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初開催から30年。F1関係者からも地元住民からも不評だったメルボルンは、今や最も人気ある開催地のひとつに

2026年3月4日

 1996年、F1はアデレードを離れたわずか4カ月後、メルボルンで初めてグランプリを開催した。そこから30年を経て、今やメルボルンはF1のカレンダーのなかで最も人気のある開催地のひとつだ。


 1985年にF1カレンダーに加わったアデレードは非常に人気のある都市で、初年度はケケ・ロズベルグがウイリアムズ・ホンダでの最後のレースで勝利し、またニキ・ラウダ(マクラーレン)は一時レースをリードしたもののクラッシュを喫しキャリア最後のレースを終えた。しかし州政府が当時のF1の最高権威者であるバーニー・エクレストンに対し、彼が断れない提案をしたため、アデレードはメルボルンに敗れた。

 それから30年経った今、少なくとも言えることは、この移転はF1関係者には不評だったということ、そしてメルボルン市民の大部分にはそれ以上に不評だったということだ。F1関係者にとって、アデレードは非常に快適なホストであった。F1がアデレードにやってくると街は5日間のパーティーとなり、事実上の機能停止状態だった。

1985年F1オーストラリアGP
1985年F1オーストラリアGP(アデレード) 隊列の先頭を走るナイジェル・マンセル(ウイリアムズ・ホンダ)

 このサーキットは運転が楽しく、ブラバム・ストレートの終わりには明確なオーバーテイクポイントがあり、何度も歴史的なレースが繰り広げられた。1986年には、ナイジェル・マンセル(ウイリアムズ)はチャンピオンシップ制覇に向けて順調に進んでいた矢先にタイヤが外れ、マンセルのタイトル獲得の望みが絶たれた。1989年のレースでは、悪天候によりアラン・プロスト(マクラーレン)はわずか1周で自主的にレースを終え、視界ゼロのなかでアイルトン・セナ(マクラーレン)とネルソン・ピケ(ロータス)はバックマーカーとの恐ろしいアクシデントに巻き込まれた。


 1991年のレースは大雨の影響により14周で終了となり、翌1992年はマンセルとセナが接触。1994年にはミハエル・シューマッハーとデイモン・ヒルがタイトルを争うなかで接触し、その後両者はリタイア。これにより、シューマッハーの初タイトルが決まった。


 その一方で、メルボルンのトラックレイアウトははるかに平凡で、仮設の設備も当初はアデレードと比べて貧弱だった。最初のレースは、ルーキーのジャック・ヴィルヌーヴ(ウイリアムズ)がレースの大半をリードしたものの、その後ペースダウンを余儀なくされたことを除けば、目立ったものではなかった。


 もしF1関係者がメルボルンへの移転を快く思わなかったのなら、メルボルン市民もそうだっただろう。グランプリでは公共の公園の道路や緑地を使用するという事実は物議を醸し、コースのすぐ外では道路封鎖や抗議活動があった。F1関係者だとわかると、タクシーの運転手やレストランのウェイター、ホテルの従業員は、グランプリをメルボルンに残してほしくないと面と向かって言ったのだ。


 地元の人々の態度が変わるまでには数年かかった。グランプリの経済効果は地域住民全員に恩恵をもたらし、今やこのレースはビクトリア州がメルボルンに人々や企業を誘致するためのプロモーション活動の中心となっている。パドック設備も大幅に改善され、オーストラリアGPはF1関係者の間で最も人気のあるイベントのひとつとなった。1996年の出来事は遠い記憶となり、抗議活動さえも今ではユーモアを持って思い出し、当初の嫌な感情も過去のものとなったのだ。

2025年F1第1戦オーストラリアGP スタート
2025年F1第1戦オーストラリアGP スタート
2025年F1第1戦オーストラリアGP
2025年F1第1戦オーストラリアGP サーキットに到着するドライバーを待つファン


(Text : GrandPrix.com)


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