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フェルスタッペン3位を実現したセット変更とタイヤ戦略。新人が速くなるために理解しなければならないこと【中野信治のF1分析/第21戦】
2025年11月16日
インテルラゴス・サーキットを舞台に開催された2025年F1第21戦サンパウロGPはランド・ノリス(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを飾りました。ピットレーンスタートから3位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の戦い、そして自身最高位となる2位を獲得したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)の成長について、元F1ドライバーでホンダの若手ドライバー育成を担当する中野信治氏が独自の視点で綴ります。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
16番手で予選Q1敗退からセットアップを変更し、決勝でピットレーンスタートを選択したフェルスタッペンがキレッキレの走りを見せて3位表彰台を掴みました。レースペース、オーバーテイクのタイミングに駆け引き、すべてが完璧でした。
フェルスタッペンのクルマが予選から決勝へ向けて、何が変わったのかは気になるところです。予選のオンボード映像を見るとタイヤにグリップ感がなく、アンダーステアが強いためコーナリングスピードを乗せられず曲がらないクルマでした。曲がらないクルマなので、コーナー出口でアクセルを踏めないといけない、という悪循環に陥り「一体どうしたの?」と思ってしまうほどのクルマになっていました。
予選のクルマに比べれば、スプリントのクルマの方がバランスが良く見えました。そして、決勝ではピットレーンスタートとなることを受け入れてセットアップを変更したことが、レッドブルRB21というクルマを正しい方向に導き、クルマのバランスは見違えるように変わりました。
決勝のフェルスタッペン車は、タイヤのデグラデーション(性能劣化)も大きくなく、タイヤに優しいクルマでありながら、スピードもしっかりとある強いクルマでした。それだけに予選終了後から決勝を迎えるまでに、クルマのどこをどのように変えたのかは知りたい部分ですが、ここがレッドブル陣営的に一番言いたくない部分でしょうから、推察することしかできません。
ただ、フェルスタッペン車は決勝前にセットアップ変更に加えて、パワーユニット(PU)も交換しています。その影響かレコノサンスラップの際にフェルスタッペンが「バイブレーションが減った」と無線を飛ばしていましたが、予選での不調はPUとは関係がなかっただろうとは感じています。

また、セットアップ変更だけではなく、フェルスタッペンの戦い方そのものが見事でした。ハードタイヤを履いてスタートを迎えた際には「やりすぎじゃない?」 と思いましたが、決勝序盤のVSC(バーチャル・セーフティカー)中にミディアムタイヤに履き替える戦略でした。フェルスタッペンは「コース上に散乱した大量のデブリを踏んで、タイヤがパンクして」とコメントしていましたが、個人的には本当にパンクだったのかは疑問ですね。
今回決勝のスタートタイヤはソフト8台、ミディアム8台、ハード4台(レッドブル勢&アストンマーティン勢)と分かれました。決勝日は気温・路面温度が低く、特にハードタイヤには熱が入りにくいですし、ペースの面でもスタートタイヤとしては最適ではありません。ただ、スタート直後のセーフティカー(SC)が入る可能性も鑑みて、早めにタイヤ交換義務を終わらせておけば、そのあとはより自由にアクションを起こせるようにという意図があったからこそ、4台はハードタイヤを履いたのだと思います。
それだけに、フェルスタッペンのVSC中の緊急ピットインは、戦略的なものだったと感じています。フェルスタッペンの前にあれだけクルマがいたのに、フェルスタッペンだけがデブリを踏んでスローパンクチャーになる可能性もゼロではありませんが……(笑)。

また、私が気になるのは『最後にソフトを履かず、2セット目のミディアムタイヤのままチェッカーまで走り切っていればどうだったか』です。フェルスタッペンは34周目に2度目のタイヤ交換で(2セット目の)ミディアムタイヤを履きました。ただ、このタイヤで走りきる選択をせず、54周目にソフトタイヤに履き替えて、4番手から最後のスティントを走ることになり、結果的にノリス、アントネッリに続く3位となりました。
ただこの最後のピットストップの前に、フェルスタッペンはタイヤ交換義務を終えた上でトップに浮上していました。そのため、2セット目のミディアムタイヤでトップを走りきるという選択もできる状況でした。ソフトに履き替えてからオーバーテイクできたのはジョージ・ラッセル(メルセデス)だけだったこともあり、ミディアムのままノリス、アントネッリの猛追を受ける展開となっていたらどうだったのかは、気になりますね。
ミディアムタイヤのデグラデーション状況から考えると、残り5周あたりでノリスに追いつかれ、アントネッリには残り2周で追いつかれるという計算でしたから、レッドブル、フェルスタッペンとしても難しい選択だったと思います。個人的には、アントネッリを抑え続けることができ、2位となっていた可能性も少なくなかったのではないかと考えており、その展開も見てみたかったですね。

■F1ルーキーが速くなるために理解しなければならないこと
サンパウロGPではアントネッリの確実な成長ぶりが結果に出ましたね。F1ルーキーとして、この19歳の青年は正しいラーニングカーブを描けているように感じます。アントネッリはシーズン開幕からチームメイトのラッセルとの差が大きく、苦しんでいるという印象を抱くこともありました。ただ、F1は簡単なものではなく、しかもチームメイトという最大のライバルが経験も実力もあるラッセルですから、アントネッリが簡単にチームメイトを上回ることは、正直不可能に近いと感じていました。
ただ下位カテゴリーで見せてきたように、アントネッリはスピードセンスがあるドライバーです。そのスピードセンスをF1で発揮するためには『クルマをどのように作り上げていくか』、『速く走るためにどういうクルマを作らなければいけないのか』を理解する必要があります。ただ単にスピードセンスや感覚だけではどうにもできない世界がF1で、さらにいえば『クルマをどのように作り上げていくか』を理解するまでの時間も掛かる複雑な世界です。

アントネッリはシーズン序盤も時折速さを見せることがありましたが、その時点ではおそらく『なぜ自分が速いのか』もしくは『なぜ自分が遅いのか』を理解しきれてはいなかっただろうと感じます。ただ、シーズンが進むにつれてさまざまな経験を重ね、そして今回のサンパウロGPでは、スプリント予選からスプリントレース、予選、決勝レースと2番手、2位をキープし、常にラッセルの前でセッションを終えました。安定した好成績を続けた仕事ぶりから、アントネッリは理論的に『クルマをどのように作り上げていくか』を理解しつつあるなと感じます。
また、インテルラゴス・サーキットは若手ドライバー向きのサーキットです。コース全長が4.309kmと短く、コーナー数も15と少なめ。さらにいえば、高速コーナーがターン13〜14くらいで少なく、低速コーナーが多めです。特にセクター2はコーナーとコーナーの間が短く、レーシングカート用のコースレイアウトに近い感覚となります。つまり、反射神経や目という部分で若さが生きてくるサーキットです。若手ドライバー向きのコースだったことも、アントネッリの好走を後押しをしたかもしれません。

【プロフィール】中野信治(なかの しんじ)
1971年生まれ、大阪府出身。無限ホンダのワークスドライバーとして数々の実績を重ね、1997年にプロスト・グランプリから日本人で5人目となるF1レギュラードライバーとして参戦。その後、ミナルディ、ジョーダンとチームを移した。その後アメリカのCART、インディ500、ル・マン24時間レースなど幅広く世界主要レースに参戦。スーパーGT、スーパーフォーミュラでチームの監督を務め、現在はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS鈴鹿)のカートクラスとフォーミュラクラスにおいてエグゼクティブディレクターとして後進の育成に携わり、インターネット中継DAZNのF1解説を担当。
- 公式HP:https://www.c-shinji.com/
- 公式Twitter:https://twitter.com/shinjinakano24
(Shinji Nakano まとめ:autosport web)
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| 3/6(金) | フリー走行1回目 | 10:30〜11:30 |
| フリー走行2回目 | 14:00〜15:00 | |
| 3/7(土) | フリー走行3回目 | 10:30〜11:30 |
| 予選 | 14:00〜 | |
| 3/8(日) | 決勝 | 13:00〜 |
| 1位 | ランド・ノリス | 423 |
| 2位 | マックス・フェルスタッペン | 421 |
| 3位 | オスカー・ピアストリ | 410 |
| 4位 | ジョージ・ラッセル | 319 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 242 |
| 6位 | ルイス・ハミルトン | 156 |
| 7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 150 |
| 8位 | アレクサンダー・アルボン | 73 |
| 9位 | カルロス・サインツ | 64 |
| 10位 | フェルナンド・アロンソ | 56 |
| 1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 833 |
| 2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 469 |
| 3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 451 |
| 4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 398 |
| 5位 | アトラシアン・ウイリアムズ・レーシング | 137 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 92 |
| 7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 89 |
| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 79 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 70 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |


