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【特集】次にF1にステップアップするのは誰だ? 英国人ライターが選ぶ注目F2ドライバー5人
2021年8月19日
2021年F1にはルーキードライバーが3人登場した。次にF1にステップアップを果たすのは誰なのか、英国人ライター、クリス・メッドランド氏が、今年FIA-F2選手権で走るドライバーたちから有力な若手をピックアップして紹介する。
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2021年、FIA-F2カレンダーは大きく様変わりした。昨年のカレンダーは、COVID-19パンデミックによって組み直され、短期間に多数のレースが詰め込まれた。今年は、それよりも長い期間にわたって行われるが、ラウンド数は減らされている。
その理由は、今年はF2とF3のスケジュールが分離されたからだ。つまり、F1の週末にはどちらかのカテゴリーのレースしか開催されない。その結果、昨年のF2は12ラウンドで各2レースが実施されたが、今年は8ラウンドで各3レースが行われる。
夏休み前に12レースが開催されたものの、開催地は4カ所であり、以前よりも中間地点でのレビューを行うのが難しい。それでも現時点で高い将来性を感じさせる若者が何人かいるので、近い将来F1で活躍する可能性があるドライバーたちをここで取り上げてみたい。
■デビュー早々、ランキングトップに立つピアストリ
現ポイントリーダーは、アルピーヌのジュニアドライバー、オスカー・ピアストリ(プレマ)だ。彼はF2に昇格したてで素晴らしい活躍をしているが、アルピーヌの育成プログラム計画の関係で、F1昇格のチャンスを与えられるのは来年ではないかもしれない。アルピーヌは彼に関して長期的なプランを立てているのだ。
今年20歳のピアストリは、2020年のFIA-F3チャンピオンだ。シーズンのなかで優勝回数は2回にとどまったが、大部分のレースをトップ6でフィニッシュし、タイトルをつかんだ。
彼は速さとレーステクニックをいいバランスで発揮するドライバーだ。速さの面だけでみるとトップというわけではない。昨年はポールポジションを一度も獲っていないし、F2でのポールは今のところシルバーストンでの1回にとどまっている。だが今年、他のレースで予選7番手、3番手、3番手といい位置を確保したことが、安定したポイント獲得につながっている。
週末に3回のレースというフォーマットを彼は非常にうまくこなしている。ここまでの12戦のうち、ノーポイントに終わったのは2回だけであり、毎週末、少なくとも1度は表彰台に立っている。彼はアグレッシブなレーサーで、守るより攻める姿勢の方が強いが、戦うべきタイミングとそうでないタイミングが分かるドライバーだ。
■周冠宇、悲願のタイトルをつかめるか
ピアストリの今の好調さを見れば、来年にもF1に昇格するのが当然と思えるかもしれないが、彼が所属するアルピーヌのヤングドライバーアカデミーには、2歳年上の周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)がいる。周は今年、F2に3度目の挑戦をしており、2019年7位、2020年6位という結果を経て、今年は現時点でランキング2位。タイトルを争える位置にいるのだ。
周は速いドライバーだが、少し安定性に欠ける。今年ここまで全ドライバー中最多の3勝を挙げ、ポールポジションも1回獲得している一方で、ノーポイントのレースが5回あり、そのうち2回はリタイアだ。バクーのスプリント2からノーポインが4戦続いたものの、シルバーストン・フィーチャーレースで優勝し、ランキング上位にとどまっている。
アルピーヌは彼を何とかF1に昇格させたいと考えている。中国出身の周には大きな後ろ盾があることも関係しているが、F1カーテストや今年のオーストリアGPのFP1で出走した際に周が優れたパフォーマンスを見せたことが、チームに好印象を与えているのだ。
ただ、アルピーヌF1チームはエステバン・オコンと長期契約を結び、フェルナンド・アロンソも来年は残留する見通しであることから、周をF1デビューさせるには、ウイリアムズかアルファロメオにシートを見つけるしかない。
F1にデビューすれば、周は予選で光るところを見せることができるだろう。彼にはそれだけの速さがあると思う。ただ、一貫して好結果を出せるという確信は持てない。非常に良い週末もあれば、非常に悪い週末もある、そういうシーズンを過ごすのではないだろうか。
■フェラーリ、ザウバー、レッドブルの育成ドライバーたちの現状
■フェラーリ傘下のシュワルツマン
フェラーリの育成プログラムのなかでは、ロバート・シュワルツマン(プレマ)が有力だ。彼はルーキーイヤーの昨年、見事なパフォーマンスを見せた。今年は今のところそれほど順調ではないが、それでもランキング3位に位置しており、2勝を挙げて、ピアストリとは17点差だ。
シュワルツマンがF1へのチャンスをつかむには、チームメイトのピアストリを倒す必要があるだろう。加入できる可能性があるのはアルファロメオのみと思われる。
■期待度大。17歳のプルシェール
アルファロメオのシートを狙うドライバーたちにとって問題なのは、ザウバーが自身の育成プログラムを持ち、非常に優れた人材がそこにいることだ。テオ・プルシェール(ART)は現在17歳、すでに1勝を挙げてランキング6位だ。昨年はF3でピアストリとわずか3点差のランキング2位という結果を出しており、年齢を考えると、今のF2ドライバーのなかで、最も期待できそうなドライバーのひとりといえるだろう。
プルシェールはまだ若く、時間があるため、ザウバーは余裕を持って彼の将来を組み立てることができる。来年のF1参戦が難しければ、あと1年F2で走らせてもいいのだ。最近アルファロメオで行ったF1テストからみても、プルシェールが将来トップレベルのドライバーになるのは間違いないだろう。
■レッドブルジュニアは2022年昇格は厳しいか
レッドブルの育成プログラムにも、将来のF1ドライバー候補が何人かいる。リザルトの面で最も目立つのはユーリ・ビップス(ハイテック)だ。バクーで2連勝を挙げ、現在ランキング5位に位置している。リアム・ローソン(ハイテック)も印象的だ。F2開幕戦で優勝してランキング8位、DTMでも勝利を収めている。ユアン・ダルバラ(カーリン)もレッドブルジュニアメンバーだが、ハイテックのふたりが一歩先んじているといえるだろう。
しかしこの3人にとって問題なのは、来年アルファタウリでデビューするチャンスがほぼないことである。ピエール・ガスリーと角田裕毅が2022年に残留するのはほぼ間違いない。そういう状況のなかでF1行きの可能性をつかむには、F2で圧倒的な強さを見せてチャンピオンになるしかないだろう。ビップスはタイトル争いに絡んではいるが、リードしているわけではない。来季F1のチャンスがない場合、ビップスは、あと1年F2で走ることになるかもしれない。
ビップス、プルシェール、ピアストリは、2023年に再度F1ステップアップを狙うこともできるだろう。だが、周とシュワルツマンは、来年が最後のチャンスかもしれない。
(Chris Medland)
関連ニュース
1位 | マックス・フェルスタッペン | 77 |
2位 | セルジオ・ペレス | 64 |
3位 | シャルル・ルクレール | 59 |
4位 | カルロス・サインツ | 55 |
5位 | ランド・ノリス | 37 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 32 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 24 |
8位 | フェルナンド・アロンソ | 24 |
9位 | ルイス・ハミルトン | 10 |
10位 | ランス・ストロール | 9 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 141 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 120 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 69 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 34 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 33 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 7 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 4 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 0 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 0 |
第5戦 | 中国GP | 4/21 |
第6戦 | マイアミGP | 5/5 |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5/19 |
第8戦 | モナコGP | 5/26 |
第9戦 | カナダGP | 6/9 |