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F1 Topic:前戦イギリスGPでガスリーが語った「0.9秒を失っている」の真意

2018年7月22日

 前戦イギリスGP予選の直後にエナジーステーションで開かれたトロロッソの記者会見で、ピエール・ガスリーが「僕たちは、ここの予選で0.9秒を失っていた」と、珍しくマシンの戦闘力に対して不満をぶちまけた。


 その後、この「0.9秒」はさまざまな形で報道され、ひとり歩きしているので、ここでその情報を整理し、分析してみたい。 


 まず、「だれ」に対して、0.9秒失っていたのか、だ。イギリスGPのガスリーの予選タイムは1分28秒343。ここから0.9秒を引くと1分27秒443となり、同条件のQ2だとハースの2台が最も近いタイムとなる。しかし、ガスリーは「フォース・インディアとザウバーに対して語ったものだった」と明言している。


 だが、Q2でのシャルル・ルクレールのタイムは1分27秒790。フォース・インディアはエステバン・オコンが1分27秒843で、セルジオ・ペレスは1分27秒928だった。つまり、Q2での差はルクレールに対し約0.6秒、ザウバー勢とは約0.4〜0.5秒だった。


 これはガスリーの「0.9秒」発言が1周あたりではないからだ。では、どこで失ってたのか?


 それは『ストレート区間』だ。


「GPSデータを見れば、コーナーでは僕たちは彼らよりも速い。でも、ストレートで0.9秒も負けている。これでは戦えない」とガスリーは語っている。


 現在のF1のパワーユニットに10馬力あたりのタイム感度は、1周あたり約0.2秒。0.9秒遅いということはメルセデスやフェラーリ約45馬力劣っていることになるが、それは1周の話でガスリーが言うように、ストレート区間だけで、0.9秒遅いとなると、その差はさらに広がることになる。


 ただし、タイムはドラッグ(空気抵抗)やトラクションのかかり具合によって異なるため、タイムだけで単純に馬力を比較できない。同じパワーユニットを搭載していてもラップタイムがチームによって異なるのは、それが理由だ。


 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも、ガスリーの「0.9秒」発言に対しては、「ストレートで0.9秒失っているのは、事実です」と、数値は認めながらも、それがすべてではないとも語った。


「イギリスGPのレース後、ドライバーも含めたチームのミーティングでも話し合いました。ただ、いかにタイムを出すかというのはチームによって考え方が違って、それによってエアロパッケージも変わってきます。したがって、サーキットの1部分(ストレート)の速さだけを見て、コンマ9秒遅いというのはちょっと違うということは、チームのみんなも理解しています」


 ドイツGPの予選でガスリーの最高速は時速317.9kmで13位だった。しかし、4コーナーの立ち上がりにあるセクター1の通過スピードは時速216.0kmで最下位だった。つまり、トロロッソのマシンには低速コーナーの立ち上がりでのトラクション不足という問題も抱えているのである。


 ドイツGPは21戦中6番目のパワー感度が高いサーキット。そこでフェラーリ勢のハースとザウバーが好調だったことは、フェラーリPUの性能によるところが大きいことは間違いない。そして、ホンダが依然として3社の後塵を拝していることも事実だ。


 だが、パワーユニットは単体では性能は発揮できない。車体に搭載して初めて性能を発揮する。メルセデスやフェラーリが強い理由のひとつは、その点をきちんと理解してマシン開発を行っているから。トロロッソはワークスチームとしてのアドバンテージをまだ活かしきれていない。



(Masahiro Owari)


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