日曜日のマクラーレン・ホンダは、予期せぬ事態が次々に訪れた一日となった。
「朝にMGU-Hにちょっとした不安要素が見つかりました。フリクションが少し大きくなっていて、トラブルでいますぐ交換しなければならないという状況ではなかったんですが、安全を期して交換することにしました」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語る。
じつは、ストフェル・バンドーンのMGU-Hは金曜日から少しずつ劣化が進行していた。ただし、それは想定内の劣化だったため、アメリカGPのレースは走りきれるとホンダは踏んでいた。しかし、日曜日の朝に、エンジンをかけてデータを見たら、予想していたよりも劣化傾向が進んでいて、このままレースを完走できない可能性があることが判明した。
そこでホンダはマクラーレンと協議し、MGU-Hとターボを交換することにした。ICEも一緒に交換したのは、時間的にユニットごと交換しないとスタートに間に合わなかったからだった。ユニットごと交換すれば、さらなるグリッドペナルティを受け、最後尾からスタートすることになるが、それでもポイントを狙えないことはないので、トラブルなく確実にレースを走り切ることを選択した。
一方、フェルナンド・アロンソのトラブルに関しては、「原因は不明だ」(長谷川総責任者)と言う。チーム関係者によれば、「MGU-Hの冷却水の圧力が落ちてターボの回転が落ちたため、フェイルセーフ(安全制御)が作動して、ターボの回転が落ちた」という。
次戦メキシコGPには、トラブルが起きたものとは違う中古のスペックを使用することになる模様だ。
しかし、終盤戦で最大のチャンスとなるはずだったアメリカGPでの、まさかのトラブル。
「レースペースは良かったので、ルノーやフォース・インディアと戦っていたことを考えると、フェルナンドは悪くても7位、うまくいっていれば6位。ストフェルもレース前にPUを交換せずに14番手からスタートしていれば、十分にポイント争いはできていた。信頼性の問題で入賞できるチャンスを逃したことは非常に残念です」と、長谷川総責任者も落胆していた。
レース後のミーティングでは、アロンソはかなり辛辣な言葉でホンダを口撃したという。そして、その言葉をホンダは黙って受け止めるしかなかった。
(Masahiro Owari)