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【F1第19戦無線レビュー】「ついてこいと伝えて。奴らをやっつけよう」ハミルトン、レッドブルを追うべくボッタスを鼓舞

2021年11月18日

 2021年F1第19戦ブラジルGPの決勝レース。チャンピオンを争うマックス・フェルスタッペンは2番手からスタートし、ポールポジションのバルテリ・ボッタスを抜いて首位に立った。さらにセルジオ・ペレスもボッタスをパスしてレッドブルが1-2体制を形成。一方ルイス・ハミルトンは10番手からのスタートで、序盤からオーバーテイクを連発し、フェルスタッペンを追う展開となった。ブラジルGPを無線とともに振り返る。


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 ブラジルGP決勝日は、快晴。路面温度はスタート時点で54度まで上がっていた。レースでは、タイヤをいかに持たせるかが焦点になるのは確かだった。


マッティア・スピニ:マシンバランスはどうだい?
角田裕毅:アンダーステアが大きいね。特に高速のターン6。最後のラップは、どんどんアンダーが大きくなっている感じだ
スピニ:了解した

2021年F1第19戦ブラジルGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第19戦ブラジルGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)


 同じようなアンダー傾向は、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)もレポートしていた。ただしこの日のような高温コンディションでは、周回を重ねるごとにリヤタイヤが垂れてオーバーステア傾向がひどくなっていく。ボッタスはその辺りを見極めて、ウイングの調整はせずにスタートに臨んだ。


リカルド・ムスコーニ:(フロント)ウイングは上げた方がいい? そのままで行く?
ボッタス:そのままで行こう


 スタートの時点では、ポールシッターのボッタスを含む奇数グリッドの上位数台は、グランドスタンドの影になっていた。


ムスコーニ:グリッドが影になっている。グリップに問題が出るかもしれない


 その懸念が的中したというべきか、ボッタスはスタート加速が鈍く、まずマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に、続いてセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)にも抜かれていった。後方では、ランド・ノリス(マクラーレン)とカルロス・サインツ(フェラーリ)の接触事故が発生していた。


ノリス:パンクチャーだ


サインツ:ランドとの接触を避けられなかった。はさまれていたんだ!

2021年F1第19戦メキシコGP スタートシーン
2021年F1第19戦メキシコGP スタートシーン


 そして5周目には同じターン1で、ランス・ストロール(アストンマーティン)のインを突いた角田が接触、両者はマシンにダメージを負い、角田はピットに向かった。


角田:全然ミラーを見てない!


ストロール:ひどいアンダーだ。ダメージでダウンフォース失っている
ブラッドリー・ジョイス:左側にダメージを受けている。でも大丈夫だ。そのままプッシュしろ
ストロール:フィーリングは最悪だよ!

2021年F1第19戦ブラジルGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触
2021年F1第19戦ブラジルGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触


 4周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜いて早くも4番手に上がったルイス・ハミルトン(メルセデス)に対し、ボッタスは5周目にすぐに順位を譲った。


ハミルトン:ありがとう、バルテリ


 3番手に上がったハミルトンは、「ふたりでレッドブルをやっつけよう」と、ボッタスを鼓舞した。


ハミルトン:バルテリについてこいと伝えてくれ。奴らをやっつけよう


 上位2台のラップタイム差はフェルスタッペンが1000分の1秒速い。4秒近い差は縮まらず、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。しかしふたりのタイヤは、ともにタレ始めていた。


フェルスタッペン:滑り始めた


ハミルトン:リヤが滑っている

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第19戦ブラジルGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 40周目にフェルスタッペンが、先手を打って2度目のピットイン。それ受けてハミルトンの担当エンジニアが、こんな打診をした。


ピーター・ボニントン:もう1回止まるんだったら、どのタイヤがいい?
ハミルトン:スイッチの色で判断してくれ


 無線で答えて、レッドブルに聞かれることを恐れたのだろう。43周目に入ったハミルトンにチームはハードタイヤを用意したが、本人は露骨に不平を鳴らした。ボニントンがそれをたしなめた。


ハミルトン:俺が頼んだタイヤじゃない
ボニントン:ミディアムは厳しいんだ


 48周目、ターン4のブレーキングでハミルトンがアウト側から被せていったが、抜き切れず。2台はコース外に出ながらコーナーを抜けていった。ハミルトンはフェルスタッペンに押し出されたように見えた。すかさずレッドブルのスポーティングディレクター、ジョナサン・ウィートリーが、FIAレースディレクターのマイケル・マシに連絡を入れた。

2021年F1第19戦ブラジルGP 首位争いのなかでコース外に出てしまったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第19戦ブラジルGP 首位争いのなかでコース外に出てしまったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)


ウィートリー:マイケル、これが自由にレースさせるってことだよね
マシ:その辺りをチェックしているところだ。いずれにしても、貴重な意見をありがとう


 マシにしてみれば、いちいち念押ししてくるなという思いだろう。最後の「ありがとう」は、いうまでもなく嫌味たっぷりの挨拶だった。そしてスチュワードはこのインシデントについては、「調査の必要はない」という判断を下した。


ボニントン:調査の必要さえないとのことだ
ハミルトン:そりゃ、そうだろう


 DRS規定違反で失格裁定を受けたハミルトンにしてみれば、この週末はスチュワードから徹底的にイジメられているという思いだっただろう。そしてそれが逆に、ハミルトンの闘志に火をつけたのかもしれない。


その後も両者は1秒以内の僅差で周回を重ねる。しかしハミルトンは49周目の裏ストレートでフェルスタッペンを捉えると、鮮やかに抜き去っていった。最後の抵抗を試みたフェルスタッペンだが、なすすべもなかった。


ジャンピエロ・ランビアーゼ:ブレーキングで蛇行したということで、黒白フラッグが出された
フェルスタッペン:彼らに、よろしくと伝えといてくれ


 ついにトップに立ったハミルトンは、フェルスタッペンとの差をみるみる拡げていった。


ハミルトン:バルテリはどこだ?
ボニントン:P3だ
ハミルトン:グッジョブ!


 最終的に10秒以上の大差をつけてチェッカー。ハミルトンとメルセデスの完勝だった。


トト:こうやって20倍のハンディキャップを跳ね返したんだ
ハミルトン:いや、25倍だよ


フェルスタッペン:やれることは、全部やったんだけどね。僕らは十分速くなかっただけだ
クリスチャン・ホーナー代表:素晴らしいダメージコントロールだった。ペレスも最速タイムを出したぞ
フェルスタッペン:グッジョブだった



(取材・まとめ 柴田久仁夫)




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ドライバーズランキング

※中国GP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン110
2位セルジオ・ペレス85
3位シャルル・ルクレール76
4位カルロス・サインツ69
5位ランド・ノリス58
6位オスカー・ピアストリ38
7位ジョージ・ラッセル33
8位フェルナンド・アロンソ31
9位ルイス・ハミルトン19
10位ランス・ストロール9

チームランキング

※中国GP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング195
2位スクーデリア・フェラーリ151
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム96
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム52
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム40
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム7
7位マネーグラム・ハースF1チーム5
8位ウイリアムズ・レーシング0
9位BWTアルピーヌF1チーム0
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

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