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【2021年F1マシン変更点】空力バランスを大幅に変える車体後部が簡素化。最低重量も増加へ

2021年2月7日

 2021年のF1は、いろいろな意味で2020年シーズンの続きと見ることもできるかもしれない。しかし2021年シーズンはそれをはるかに超えるものであり、またしても魅力的で予測がまったくつかないチャンピオンシップになる可能性を秘めている。


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2020年のF1世界選手権の開幕が遅れただけでなく、新テクニカルレギュレーションの導入も延期された。そして緊急の新ルールが施行され、2021年マシンは昨年の改良版ではあるものの、新シーズンにも継続して使われることになった。


 チームは2020年に使用したほとんどすべての機械部品を保有しなければならない。“アップグレードトークン”システムによって許可されている変更はごくわずかだ。そのため、昨シーズンのシャシー、サスペンション、ブレーキ、ギヤボックス、そしてパワーユニットの大部分が2021年も再び使用される。


 いくつかの変更は許可されているので、たとえばチームはロールフープを取り替えることはできる。しかし、その他のものやギヤボックスのケーシングの変更はトークンシステムの範囲に収めなければならない。だが別の抜け穴がある。


 もしチームが2019年のカスタマー部品を2020年に使用していたら、トークンをひとつも使うことなく2020年版にアップグレードできる。たとえば、アルファタウリは2020年仕様のレッドブル製トランスミッションを、2021年にトークンを消費せずに使うことができる。もしくは、アストンマーティンは2020年仕様のメルセデス製ギヤボックスをペナルティなしで使用できる。


 これらのチームには、フェラーリやマクラーレンといったチームに対してちょっとしたアドバンテージがある。フェラーリやマクラーレンはそうした部品をアップグレードするのにトークンを使わなければならないからだ。マクラーレンの場合、新しいトランスミッションを導入する以外の選択肢はない。マクラーレンの2021年マシンである『MCL35M』は、もともとルノーのパワーユニットを使用することを考えて設計されたものだが、彼らはメルセデスのパワーユニットを使用することになる。このふたつのパワーユニットの形状は、かなり異なる。


 メルセデスはスプリットターボチャージャーを使用し、コンプレッサーがV6のブロックの前にあり、タービンは後部にある。一方ルノーのユニットは従来のレイアウトで、コンプレッサーとタービンは両方ともブロックの後方にある。つまり、マクラーレンはメルセデスのユニットに合う新しいギヤボックス・ケーシングをどうしても導入しなければならない。

2021年からパワーユニットをメルセデスに変更するマクラーレン
2021年からパワーユニットをメルセデスに変更するマクラーレン


 新マシンが、実際は旧マシンの改良版であることをマシンの名称が反映しているケースがいくつかある。たとえば、レッドブルは2021年マシンを『RB16B』と正確に呼んでいる。しかし、ほかのチームは2021年のデザインを2020年マシンとは違うものとして扱おうとしているようで、実際にそれは違うものだ。


 フェラーリはこのアプローチをとり、2021年マシンを『SF21』と名付けた。おそらくは酷くお粗末だった2020年マシンの『SF1000』から距離を置こうという試みだろう。とはいえ、現実にSF21はSF1000を多少改良したものにすぎない。


 ふたつのチームはマシンの名称変更だけでなく、チーム全体も変更した。ルノーはアルピーヌになったためシャシーの名称も変更した。実はこれは同じ車体につけられた3番目の名前となる。『R.S.20』は実際には『R.S.19』を改良したものなので、今年のアルピーヌのマシンはR.S.19の改良版ということになる。


 さらにいっそう興味深いのはアストンマーティンの話だ。アストンマーティンはレーシングポイントの『RP20』の改良版を使用することになるが、このマシンは物議を醸したメルセデス『W10』のコピーだ。

アルピーヌF1チーム 2021年型マシン『A521』の冬仕様カラーリング
アルピーヌF1チーム 2021年型マシン『A521』の冬仕様カラーリング

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームのファクトリーに建てられた銘板
アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームのファクトリーに建てられた銘板

■2021年マシンの最も重要な変更点は車体後部

 だが、2021年に新しくなるのはマシンの名称や、ましてやチーム名だけではない。テクニカルレギュレーションに加えられた、一見したところ小さな変更によって、マシンの外観は2020年からかなり異なるものになるはずだ。そしてボディワークの開発は制限されていない。


 最も分かりやすく、そしておそらくは最も重要な変更はマシンの後部に見られる。リヤホイール前のリヤフロアがかなり簡素化され、幅が減らされたのだ。リヤブレーキダクト周辺のウイングレットはサイズが縮小され、ディフューザーのストレーキもサイズが縮小されて簡素化された。


 こうした変更を列挙しても軽微なものに思えるかもしれないが、これらはマシンの空力バランスを大幅に変えることになるし、マシンのフロントエンドにも重要な影響を与える。チームは失われた多くのダウンフォースを取り戻し、マシンバランスをタイヤが適正範囲で挙動する領域内に維持しようと努力している。

2021年のF1マシンで最も重要な変更は簡素化されたマシン後部となる
2021年のF1マシンで最も重要な変更は簡素化されたマシン後部となる


 相変わらずタイヤは未知の部分がある領域だが、ピレリは2021年に新しいコンパウンドとコンストラクションを導入する。また、フロントタイヤの形状が2020年からわずかに変更される。これにより、空力パフォーマンスがさらに複雑になるだけでなく、2020年タイヤ向けにデザインされたサスペンションシステムにも課題がもたらされた。


 パワーユニットは大部分が原則として凍結されるが、マニュファクチャラー4社すべては大幅な変更を行うつもりだ。アップデートはルールで厳しく制限されているが、それにもかかわらずアップデートを導入する方法がある。メルセデスはパフォーマンスを伸ばすために信頼性の改善を図る予定だ。


 一方、ホンダはF1での最終年となる2021年、大きな前進を果たすと考えられている。ルノーのパワー不足のV6エンジンは多少改善されると見られるが、このパワーユニットはおそらく現在のグリッド上で一番競争力が低いもので、使用するのはアルピーヌだけだ。

レッドブル・ホンダの2021年マシンはRB16を発展させた『RB16B』となる予定だ
レッドブル・ホンダの2021年マシンはRB16を発展させた『RB16B』となる予定


 フェラーリも大きな一歩を踏み出すと予想されている。それはFIAとの謎の協定が満了になるからだ。この協定は、2019年に技術規則違反を疑われた結果として誕生したものだが、協定がどのような内容で構成されているかの詳細は明らかにされていない。しかし、フェラーリは2021年仕様のパワーユニットは2020年よりもはるかに強力になるだろうと表明している。


 2021年マシンは最低重量も752kgまで増加される。これは主にパワーユニットの最低重量が150kgに引き上げられるという変更によるものだが、珍しく、そして高価な軽量合金の使用を削減しようという試みの結果でもある。


 現在では、マシンの他の部分に新しい素材を使用することが可能だ。F1において初めて環境に優しい天然繊維複合材が使用できるようになり、以前は禁止されていた麻、リンネル、亜麻、綿は、現在すべて使用が許可されている。


 したがって2021年のF1は、同じマシンを使用した2020年の技術開発競争の続きではある。一方でまったく異なる挑戦でもあり、非常に難しい結果がもたらされることがあり得ると言っても過言ではないだろう。さらに興味深いのは、各チームはシーズン中の競争力を維持しながら、新レギュレーションが導入される2022年向けの新型マシン開発に取り組むリソースを、どのように分けるのかということだ。

2020年シーズンは大苦戦を強いられたフェラーリ
2020年シーズンは大苦戦を強いられたフェラーリ



(Sam Collins / Translation:AKARAG)




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