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アップデート順の決め方から考えるレーシングブルズの“中間試験”と、ローソンの擁護【代表のコメント裏事情】

2026年7月24日

 2026年F1第10戦ベルギーGPでレーシングブルズがひとつしかないアップデートをアービッド・リンドブラッドのマシンだけに投入した。その理由は、7月18日掲載の『レーシングブルズ、フルアップグレード・パッケージをリンドブラッド車のみに投入した理由を説明』でも報じている。

【代表のコメント裏事情】
2026年F1第10戦ベルギーGP アップデートを投入したアービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)のマシン。インダクションポッドの形状が従来のような逆三角形型ではなく、四角くなっている

 これは国際自動車連盟(FIA)の金曜日の会見に出席したアラン・パーメイン代表によって明らかにされたものだ。FIA会見は前半にFIAが定めた司会者が出席者全員に質問した後、後半に記者との質疑応答という2部構成になっている。記者との質疑応答は、事前に質問を提出することはないが、前半の司会者とのやりとりは会見をスムーズに回すために、ある程度事前に申し合わせが行われている。

 パーメインがアップデートパーツをリンドブラッドのみに投入したという話をしたのは、前半の部。FIAが選定した司会者から質問を受ける形で答えたものだった。


 なぜパーメインはこの話題を会見で明かしたのか。そこにはふたつの可能性が存在しているように思う。ひとつ目はチーム内の融和だ。F1ではチームメイトが最大のライバルと言われるほど、ドライバーはチームメイトを意識する。しかも、スパは空力が重要なサーキット。いかなる理由であれ、チームメイトと異なる仕様でベルギーGPを走ることになったリアム・ローソンの胸中は穏やかでなかったはずだ。

【代表のコメント裏事情】
2026年F1第10戦ベルギーGPを旧仕様で走ったリアム・ローソン(レーシングブルズ)

 パーメインはその理由をメディアに明らかにすることで、リンドブラッドに遅れをとることになるだろうローソンのプライドを守りたかったのではないか。そして、次にアップデートを投入するときは同じやり方でなく、ローソンに使わせると明言し、無用なチームメイト同士の争いを避けた。


 では、なぜベルギーGPのアップデート投入からそうせず、最初はイギリスGPの予選で速いほうのドライバーを優先することにしたのか。会見で、パーメインはこう説明している。


「公平性を保つための極めて単純な案として、スパではどちらのマシンにもアップデートを適用せず、2台分の準備が整うハンガリーGPで両方に適用するという提案をした。しかし、それは私の本心ではなく、彼らも同意しなかったので、その案はすぐに却下された。そのうえ私が提案したのは、コイントスで決めるか、あるいはイギリスGPの予選で上位につけた方がアップグレードを受けられるというものだった。そして、ふたりともそれに賛成した」


 パーメインがイギリスGPの予選でふたりを競わせたかったのは、アップデートを投入するドライバーを決定するためではない。2027年以降のドライバーを選定する材料にしたかったのではないか。


 ベルギーGPを終了した時点で、ドライバーズポイントは10位のローソンが39点であるのに対して、リンドブラッドは22点で11位となっている。数字的にはローソンが上回っているが、それはシーズン序盤の3戦でリンドブラッドがポイントを獲得できなかったことが大きく響いており、リンドブラッドの真の実力を示したものではない。シーズン中盤のイギリスGPの予選で同じ仕様のマシンでふたりを競わせることで、現時点でのリンドブラッドの実力を把握しようとしたのではないか。つまり、イギリスGPの予選はリンドブラッドにとって、中間試験のようなものだったのではないだろうか。


 その試験でリンドブラッドはローソンに競り勝ち、及第点をもらった。だから、レーシングブルズは次にアップデートを投入するときに、追試をやる必要はなくなったのである。


 ふたりのドライバーの気持ちを逆撫ですることなく、かつふたりに悟られないよう現時点での実力を試す。チーム代表初年度とは思えないパーメインのナイスアイディアだった。

【代表のコメント裏事情】
2026年F1第10戦ベルギーGP FIA会見に出席したレーシングブルズのアラン・パーメイン代表(写真右端)


(Text : Masahiro Owari)


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