F速

  • 会員登録
  • ログイン

黄旗規則をおさらい。データで証明できる減速をしたラッセルと、疑問が残るシングルイエロー提示/新時代のF1解説第7回

2026年7月5日

 2026年F1第8戦オーストリアGPの予選は、Q3の終盤に起きたクラッシュ時に出された黄旗を巡って、ちょっとした混乱が起きた。最後のタイムアタックでフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが立て続けにトップタイムを更新し、暫定でフロントロウを独占した。


 マクラーレン勢2台のタイムが伸びず、残るはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とメルセデス勢2台の3人だけとなった。メルセデス勢2台の前でタイムアタックを行っていたフェルスタッペンだったが、9コーナーでマシンにトラブルを抱えスピン。コースアウトしてバリアにクラッシュする。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2026年F1第8戦オーストリアGP 予選でクラッシュを喫したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ここでレースコントロールは9コーナーに黄旗を出す。フェルスタッペンの次にタイムアタックを行っていたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は黄旗区間で大きく減速し、自己ベストを更新できないまま予選を終了。フェラーリのガレージでもスタッフたちが自チームのフロントロウ独占を信じて喜びを分かち合っていた。


 ところが、一番最後にタイムアタックを行っていたジョージ・ラッセル(メルセデス)が暫定ポールポジションにいたルクレールのタイムを更新。1分6秒113を記録して、逆転でポールポジションを獲得した。

2026年F1第8戦オーストリアGP 予選
2026年F1第8戦オーストリアGP予選 PPジョージ・ラッセル(メルセデス)、2番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、3番手ルイス・ハミルトン(フェラーリ)

 なぜ、ラッセルは黄旗が出ていたにも関わらず、自己ベストを更新でき、かつペナルティの対象にもならずにポールポジションを獲得することができたのか?


 まず、黄旗が振られた場合のルールをおさらいしよう。レース中の旗に関する決まりは『国際モータースポーツ競技規則 付則H項』の第2章の2.5.5『マーシャルポストで使用される信号』のなかに記されている。黄旗はその中のb)にあり、「黄旗には2通りの意味をもってドライバーに表示される」と書かれている。


▼シングルイエロー(黄旗1本振動)
「速度を落とし、追い越しをしないこと。進路変更する準備をせよ。コース脇、あるいはコース上の一部に危険箇所がある。ドライバーがスピードを落としたことが明らかでなければならない。これは、ドライバーが、手前で制動したこと、および/またはそのセクターで速度を著しく落とすことを意味する」


▼ダブルイエロー(黄旗2本振動)
「速度を大幅に落とし、追い越しをしないこと。進路変更する、あるいは停止する準備をせよ。コースが全面的または部分的に塞がれているような危険箇所がある。またはマーシャルがコース上あるいは脇で作業中である。フリー走行および予選中は、ドライバーが有意義なラップタイムを達成しようとしていないことが明らかでなければならない。これは、ドライバーが当該ラップを放棄するべきであることを意味する(次のラップで走路が十分片付いている場合がありうるので、ピットへ入らなければならないことを意味するものではない)」


 フェルスタッペンがクラッシュした直後に出されていたのは、シングルイエローだった。その後、ダブルイエローとなったが、メルセデスの2台が通過したときはシングルイエローだった。つまり、ドライバーは当該区間で減速する必要はあったものの、タイムアタックを中止する必要はなかった。


 では、「ドライバーがスピードを落としたことが明らかでなければならない」というのは、どれくらいの減速なのか? これは通常のラップよりもわずかにアクセルをオフしたことがテレメトリーのデータで提示できればいいことになっている。

 似たようなケースは2012年の日本GPの予選でも起きていた。Q3の最後のアタックでキミ・ライコネン(ロータス)がスプーンでスピンし、コースアウトした。ここでレースコントロールはシングルイエローを提示。直後にタイムアタックを行っていた小林可夢偉(ザウバー)は、ペナルティを避けるため、その区間でDRSとKERSを使用して自己ベストを更新しない処置をとったものの、自己ベストは更新して予選4番手となった。


 したがって、オーストリアGPの予選でラッセルがとった行動に問題はなかった。では、シングルイエローが妥当だったのか? この判断には少し疑問が残る。というのも、前述の通り、レースコントロールはまずシングルイエローを提示したものの、直後にダブルイエローに変更していたからだ。市街地コースであれば、誰かがクラッシュすれば躊躇することなく、ただちにダブルイエローを出せたのだろうが、レッドブルリンクの9コーナーは外側に広いランオフエリアがあるため、状況を確認するまでに時間を要したのかもしれない。


 ほかのスポーツであれば、何かあればプレーを止めてビデオ判定できるが、コース上を複数のマシンが走行しているモータースポーツでは時を止めることができない。それがモータースポーツの難しさであり、そういう状況も含めて、それがモータースポーツなのである。オーストリアGPの状況はまさにそうだった。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2026年F1第8戦オーストリアGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)


(Text : Masahiro Owari)


レース

7/24(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
7/25(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
7/26(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※ハンガリーGP終了時点
1位アンドレア・キミ・アントネッリ219
2位ルイス・ハミルトン169
3位ジョージ・ラッセル160
4位シャルル・ルクレール138
5位ランド・ノリス128
6位マックス・フェルスタッペン109
7位オスカー・ピアストリ92
8位アイザック・ハジャー68
9位リアム・ローソン43
10位ピエール・ガスリー42

チームランキング

※ハンガリーGP終了時点
1位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム379
2位スクーデリア・フェラーリHP307
3位マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム220
4位オラクル・レッドブル・レーシング177
5位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム66
6位BWTアルピーヌF1チーム61
7位TGRハースF1チーム21
8位アウディ・レボリュートF1チーム12
9位アトラシアン・ウイリアムズF1チーム11
10位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム1

レースカレンダー

2026年F1カレンダー
第11戦ハンガリーGP 7/26
第12戦オランダGP 8/23
第13戦イタリアGP 9/6
第14戦スペインGP 9/13
第15戦アゼルバイジャンGP 9/26
  • 最新刊
  • F速

    2026年5月号 Vol.3 日本GP号