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「役立たず」と自嘲する日々から完全復活。41歳ハミルトンが新世代F1マシンで蘇った軌跡【F1コラム】
2026年7月3日
ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、バルセロナ・カタルーニャGPでフェラーリ移籍後初優勝を挙げたルイス・ハミルトンに焦点を当て、復活の要因を探った。
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■苦しみを乗り越え、自信を取り戻した王者
「毎回、俺のせいだ。役立たずだ。俺は本当に役立たずだ」
ルイス・ハミルトンは、2025年F1ハンガリーGPの予選後にそう語った。フェラーリのチームメイトのシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得したのに対し、ハミルトンはQ2で敗退し、12番手に終わったのだ。
昨年のハミルトンの状況は、彼自身がそう自嘲するのも仕方がないと思わせるようなものだった。メルセデスでの最後の年はジョージ・ラッセルに後れを取り、フェラーリに移籍した2025年もシーズンを通してルクレールの後塵を拝していたのだ。
7度の世界王者は、マクラーレン時代の1995年のナイジェル・マンセル、メルセデス時代の2010〜2012年のミハエル・シューマッハー、アストンマーティン時代の2021〜2022年のセバスチャン・ベッテルに似た存在になりつつあった。キャリアの黄昏期を迎えた偉大なドライバーが、新たなチームで過去の栄光を再現できずに苦しむ、という構図である。
数カ月前までのハミルトンは、現役に長くしがみつきすぎている元世界王者のように見えていた。しかし今は状況が一変した。
ここ数週間で、41歳のハミルトンは誰よりも多くのポイントを獲得している。モントリオールとモンテカルロでの2位表彰台に続き、バルセロナではフェラーリ移籍後初勝利(そしてチームにとっても1年半以上ぶりの勝利)を挙げ、レッドブルリンクではルクレールより上の5位を獲得した。フェラーリ移籍という決断が、次第に意味を持ち始めているようだ。

「フェラーリに加入するという自分の決断を、心から信じていた。このチームが成し遂げられること、そして一緒に達成できることを、心からに信じていたんだ」とハミルトンはバルセロナ・カタルーニャGPでの勝利の後に語った。
「最初は大きな期待と興奮があった。しかしその後、1年を通して多くの疑念やネガティブな声が続いた」
「昨年、僕を本当に救ってくれたのはファンの皆さんだったと思う。いつでもそばにいてくれた家族や友人たちもそうだ。そして、新しいシーズン、新しい年を迎えるにあたり、舞台裏では多くの変化が起こり、それによって今日の自分の位置まで戻ってくることができた」
「今は大きな感謝と誇りを感じている。そして、一緒に働いている人々を本当に誇りに思う」
スペインでのシャンパンは、特別に甘く感じられたはずだ。長期間にわたる不振、メディアからの批判、そして前年のハンガリーでの発言にも表れていたように、自分自身の能力への疑念を乗り越えた末の勝利だったからだ。
「僕もひとりの人間だ。もちろん、周囲が何を言っているのかを目にしてしまう瞬間もあるし、それが自分の中に深く入り込んでしまった瞬間も確かにあった。昨年のような1年を経験すると、『もしかすると、ある年齢に達したら衰えるというのは本当かもしれない』と思う瞬間もあった」
「でも、そうではないと証明した。力は常に自分の中にある。あとは努力次第だ。粘り強さが必要だし、自分自身を信じ続け、自分の内面にあるものにアクセスし続け、自分を生き生きと保ち、身体を良い状態に維持することが必要だ」
「今は身体的にも素晴らしい状態だと感じている。19歳の若いドライバーたちと戦い、彼らは本当に素晴らしいと思うけれど、僕自身も最高の状態だと感じられるんだ」
■フェラーリの変化が後押し。チームがハミルトンの声に応えた

揺らいでいた自信は、2026年シーズンに向けて激しいトレーニングを行うことで消えていったという。再構築された自信は、ハミルトン復活を説明する大きな要素だが、チームが変化したことも大きいだろう。
フェラーリでの最初のシーズンは困難だった。レースエンジニアであるリカルド・アダミとの連携も、当初の計画どおりには進まなかった。ハミルトンは多くのことを変える必要があると感じ、それが2026年に向けて実現した。
「彼らは本当に耳を傾けてくれた。そして、パフォーマンスを向上させるために懸命に働き、革新的であろうとしてくれた。今年は革新がすべてだ。リヤエキゾースト部分の新しいアイデアを投入し、リヤウイングの“マカレナ”も取り入れた。こうしたことは、僕が昨年まさに求めていたことだ」
「このチームはそうした分野でリーダーでなければならない。彼らは実際にそれができるということ、これからもやり続けるということを示してくれた」
■バスール代表との信頼関係と新エンジニアがもたらした転機

ハミルトンが2005年にF3ユーロシリーズのタイトルを獲得した時、所属チームのASMで代表を務めていたのが、現スクーデリア代表のフレデリック・バスールだった。ハミルトンは、自身の2026年シーズン好調の理由として、このバスールの存在を強調している。
「彼は、イタリア文化の中でフランス人として働いている。彼が抱えるものは非常に多く、本当に厳しかったと思う。それでも彼は僕を信じ続けてくれた。良き友人であり続け、素晴らしいチームメイトとして、味方として、支えてくれた。そして、僕が変化を求めた時、彼は真剣に耳を傾けて、さらにその変化を実現させてくれたんだ。その変化なしには、今の状況は存在しない」
その変化の一つがレースエンジニアのカルロ・サンティだ。前任者アダミとハミルトンの関係は決して良好ではなく、無線でのやり取りもぎこちないものがしばしばあった。しかし、サンティとハミルトンの相性は明らかに良い。バルセロナ・カタルーニャでコンストラクターズトロフィーを受け取るためにハミルトンとともに表彰台に上がったのも、サンティだった。
「彼と一緒にあそこに立てたことは本当にうれしかった」とハミルトンは言う。
「今年、彼は僕との仕事に取り掛かり、深く関わってくれた。僕たちは出会ってすぐに意気投合したと思う。これまでとは違うエンジニアとつながりを持てるのは素晴らしいことだ。長い間、一人のエンジニアと組んでいたので、その感覚を失いかけていた。ボノ(ピーター・ボニントン)は今、(アンドレア・)キミ(アントネッリ)と組んでいる。カルロとそういう経験を分かち合えるのは、本当に素晴らしいことだ」

■新レギュレーションが本来の速さを呼び戻した

ハミルトンが再び表彰台の頂点に戻った理由のひとつは、2026年のF1レギュレーションである。
2022〜2025年の規則では、グラウンドエフェクトカーが使用され、このマシンではコーナーをU字型のラインで攻めることが最速だった。つまり、比較的早めにブレーキングし、緩やかな長い旋回によってコーナーを走るやり方だ。しかし、ハミルトン本来のスタイルは、より古典的なV字型で、ブレーキングを遅らせて鋭く速く旋回する。
グラウンドエフェクトカーが導入されて以降、ハミルトンはチームメイトから遅れをとり始めた。最初はメルセデスのラッセル、そして昨年はフェラーリのルクレールだった。しかし2026年の規則は、より従来型のF1マシンへの回帰を意味している。そして、それがハミルトンの前線復帰にもつながった。
昨年フェラーリのシートをハミルトンに奪われたカルロス・サインツは、スペインのスポーツ紙『マルカ』に対し、「ルイスは状況を好転させたことを高く評価されるべきだ」と言う一方で、「レギュレーション変更は彼にとって幸運だった。もし昨年のマシンが続いていたら、今のルイスを見ることはできなかっただろう」とも述べている。
フェラーリ副会長であり、創業者エンツォ・フェラーリの息子でもあるピエロ・フェラーリも同じ見方を示した。
「ハミルトンの復活には驚いていない。ルイスがグラウンドエフェクトカーを好んでいなかったことは明らかだった」
■史上初の8冠については「今は考えていない」

イギリスGPを迎える時点で、ハミルトンはランキング首位のアントネッリから46ポイント差につけている。フェラーリはさらなるエンジンアップグレードを予定しており、メルセデスエンジンが弱点を抱えていることも明らかになっている。
ハミルトンが8度目の世界タイトルを獲得し、シューマッハーを超えてF1史上最高のドライバー“GOAT”となる可能性が見え始めた。
「8度目のタイトルについては考えていない」とハミルトンは言うが、かつてのボスで現在最大のライバルであるメルセデスの代表トト・ウォルフは、ハミルトンの反撃を過小評価していない。
「できれば彼とタイトルを争いたくはない。彼に何ができるかを知っているからだ」とウォルフ。
「血の匂いを嗅ぎつければ、彼は突き進む。ルイス・ハミルトンという列車が突然走り出すと、止めるのが非常に難しくなる。そういう場面を、私たちはこれまで何年も見てきたのだ」
(Text : Peter Nygaard)
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| 7/24(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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| 予選 | 結果 / レポート | |
| 7/26(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 219 |
| 2位 | ルイス・ハミルトン | 169 |
| 3位 | ジョージ・ラッセル | 160 |
| 4位 | シャルル・ルクレール | 138 |
| 5位 | ランド・ノリス | 128 |
| 6位 | マックス・フェルスタッペン | 109 |
| 7位 | オスカー・ピアストリ | 92 |
| 8位 | アイザック・ハジャー | 68 |
| 9位 | リアム・ローソン | 43 |
| 10位 | ピエール・ガスリー | 42 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 379 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 307 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 220 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 177 |
| 5位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 66 |
| 6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 61 |
| 7位 | TGRハースF1チーム | 21 |
| 8位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 12 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 11 |
| 10位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 1 |


