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“自作ミニチュアF1”STEM Racingの国内初全国大会が開催。『Team Hayate』と『WindBreaker』が世界大会への切符掴む

2026年6月14日

 6月13〜14日、東京都千代田区有楽町駅近くのTokyo Innovation BaseでSTEM Racing(旧称F1 in Schools)の国内初となる全国大会が開かれた。国内の頂点を決める大会が開催されたのは初めてのことで、トップ2チームは10月のシンガポール世界大会への切符を掴んだ。


 STEM Racingは、F1が支援する国際的なSTEM(Science/Technology/Engineering/Mathematics)教育プログラムで、6〜19歳の学生がF1チームを模した組織をつくり、マシン設計、空力解析、製造、チーム運営、スポンサー獲得、プレゼンテーションなど多岐にわたる工程を自ら担う。

 このSTEM Racingでの勝敗はレース結果のみならず、マシンの技術レベルや会場ブースのクオリティ、マーケティング手法、チームアイデンティティなど、多岐にわたる総合的な審査を経て決する。現状ではインターナショナルスクールの参加が多く、各チームのブースデザインやプレゼンテーションは基本的にすべて英語で行われていた。


 レース形式は、CO2(二酸化炭素)カートリッジを動力とする全長20cmほどの小型マシン(各チームがレギュレーションに沿って設計)を使い、専用のレーシングレーン(20m)を1対1で競うスプリント。レーンにはスタートからゴールまで1本の糸が渡らせてあり、その糸をマシン底面の穴に通すことで、各車はレーンをまっすぐに走ることができるという仕様だ。


 各チームからは代表選手1名がレースに参加し、CO2カートリッジに衝撃を与えるトリガーの起動スイッチを操作。スタート時はF1と同様、ライトで示されるタイミングに選手が反応し、トリガーを起動してマシンがレーンを駆け抜ける。すべてのマシンは大会期間中、シリーズの技術部門によって一括管理され、スタート時刻直前のレーンセットまで技術チームの手によって行われ、チームメンバーが操作するのはトリガースイッチを押すのみとなっている。


 このSTEM Racingは世界65カ国以上、約29000校以上(100万人以上)の学生が参加しているが、ホンダおよびホンダ・レーシング(HRC)は2023年からこのプログラムを継続的にサポートしており、F1やモータースポーツ産業で求められる技術力・企画力・コミュニケーション力を若い世代が実践的に学べる場として、その教育的価値に共感して支援を続けている。


 今回の全国大会は、STEM Racing Japanとして初めて開催された国内決勝イベントで、文部科学省・経済産業省・デジタル庁も協賛。最上位のプロフェッショナルクラスでは文部科学大臣賞が授与され、さらに上位2チームが10月のシンガポールで行われる世界大会に日本代表として出場することができる。


 会場となったTokyo Innovation Baseには、ホールにレーシングレーンが設置され、各チームや協賛企業のブースも並んだ。HRCは3基の実物F1エンジンを持ち込み、88年に16戦中15勝を記録した1.5リッターターボ『RA168E』、91年のV12『RA121E』、そして2019年にフェルスタッペンがオーストリアでホンダに久しぶりの優勝をもたらした『RA619H』、いずれも実物を展示し、学生たちは興味津々に視線を注いでいた。


 競技は技術レベルに応じて4クラスに分かれており、プライマリーは紙工作、エレメンタリーは標準パーツに3Dプリントボディを組み合わせ、デベロップメントではCADやCFDを用いた設計が可能となり、プロフェッショナルではCNC加工までが許可される。年齢や経験に応じて段階的にステップアップできる構成で、国内でも参加チーム数が年々増加している。


 大会は2日間で行われ、1日目にはタイム計測、ブース展示審査、口頭プレゼン、技術審査インタビューが会場内の複数エリアで同時進行した。2日目には、プロフェッショナルクラスの決勝が用意され、1日目の計測タイムをもとに近いタイムのチーム同士が組まれ、まずはノックアウト(勝ち抜き)レースへ進んだ。


 2日目に残ったプロフェッショナルクラスは8校で、1戦ごとに2レース(レーンを入れ替えて1レースずつ実施)で勝敗を決めていった。中には、ゴール前にタイヤが外れてしまいノータイムとなるチームが出たり、0.001秒単位の同タイムとなる接戦もあり、アクシデントも含めて緊迫したレースが続いた。


 最後に残ったのは、東京都調布市にあるインターナショナルスクール、アメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)高等部の生徒によって結成された『Team Hayate』と、タイから来日して参加していた『Firebolt Racing』。いざ決勝レースが行われると、Team Hayateが2本ともに勝利をあげ、レーストーナメントの頂点に立った。


 ただ、最終的な順位は、設計・技術・プレゼンテーション・展示・計測タイムなどを総合的に評価して決定。その結果、レースでも頂点に立った『Team Hayate』がブースクオリティやプレゼンテーションなどを含む多くの賞を手にし、総合優勝を達成。2位には、東京を拠点とする女子チームの『WindBreaker』が入り、レース結果を見事に逆転する形となった。


 シンガポールでの世界大会は10月に開催される予定で、今回の全国大会を制した『Team Hayate』と2位に入った『WindBreaker』は、日本代表としてその舞台に挑むことになる。全国から集まったチームの頂点に立った2チームが、世界の強豪たちとどのように渡り合うのか。新たに始まった日本の若手たちの挑戦に注目が集まる。



(Yuya Yamaura / autosport web)


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