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メルセデス、アルピーヌF1チームの株式取得計画を断念。高すぎる提示価格と複数チーム所有問題が理由か

2026年6月2日

 メルセデス社は、投資ファンドのオトロ・キャピタルが売却に出しているアルピーヌF1チームの株式24%を取得する計画を断念したと伝えられている。その理由は、メルセデスが提示価格を非現実的だと判断したためとされるが、おそらくそれだけではない。マクラーレンを筆頭とする他チームがすでにFIAに対し、一企業による複数のF1チーム保有を禁止するよう働きかけていることも、理由のひとつだろう。

■オトロ・キャピタルが狙った“アルピーヌ株高騰”戦略

 オトロ・キャピタルが、アルピーヌ株式の買い手候補の名前を意図的に外部へ漏らし、入札競争を煽って価格を吊り上げようとしていたことは明らかだ。そして、その戦略は実際に効果を上げていたようだ。約2億ユーロ(約372億円)で24%の株式を取得したオトロ・キャピタルは、現在その持ち分に6億2000万ユーロ(約1153億円)という価格を設定しており、投資額の3倍以上の利益を得ようとしている。


 2026年シーズン開幕当初には、トト・ウォルフ自身がオトロ・キャピタルの保有株取得に動いているという報道があった。ウォルフは、2025年11月、メルセデスF1チームの自身の保有株の15%をクラウドストライクのCEOジョージ・カーツへ売却しており、それによって得た利益が、その原資になっているのではないかと見る向きもあった。


 しかしウォルフは中国GP期間中に、株式の取得を検討しているのは自分個人ではなくメルセデス社であると明言し、その理由として、メルセデスがすでにアルピーヌとF1および市販車プロジェクトの両面で協力関係にあることを挙げた。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2026年F1第4戦マイアミGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

■複数チーム所有への反発

 この発言はパドックに警戒感を広げた。というのも、多くのチームが以前から、スポーツの公平性の観点から、レッドブルに対して、ジュニアチームであるレーシングブルズの売却を求めるよう、FIAに働きかけていたからだ。もし新たにもう一組の“親子チーム”が誕生するなら、そのロビー活動に水を差すことになる。


 そのため、マクラーレンのCEOザク・ブラウンは即座に行動を起こし、モハメド・ビン・スライエムFIA会長宛てに長文の書簡を送り、この取引に反対する理由を詳細に述べた。


 ブラウンは、2024年シンガポールGPでの出来事を、提携する2チームが他チームに不利益を与える形で協力し得る好例として挙げた。


 そのレースでは、終盤にマクラーレンのランド・ノリスがファステストラップを保持していた。当時、ファステストラップには1ポイントが与えられていた。するとレーシングブルズは、ポイント圏外を走行していたダニエル・リカルドをピットへ呼び戻し、新品のソフトタイヤを装着させた。リカルドは期待に応えてレースのファステストラップを記録した。


 トップ10圏外だったためリカルド自身にポイントは与えられなかったが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとタイトルを争っていたノリスから、その1ポイントを奪い取ることができた。


 ブラウンが挙げたさらに最近の例は、今年のマイアミGP序盤にレーシングブルズのリアム・ローソンに与えられた指示だった。序盤のスピンから挽回中だったフェルスタッペンを先行させるようチームが命じたのだ。フェルスタッペンは11コーナーで強引に飛び込み、ローソンをコース外へ押し出し、自身もコース外へ出ていた。そのため規則上、ローソンにはポジションを譲る義務はなかった。しかしチームは直ちにフェルスタッペンを先に行かせるよう指示し、ローソンはそれに従った。

リアム・ローソン(レーシングブルズ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2026年F1マイアミGP リアム・ローソン(レーシングブルズ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 FIA会長もまた、ひとつの団体がチームを複数所有することに懸念を示しており、そうした行為の合法性についてFIA法務部門に調査を指示したと述べていた。


 しかし、メルセデスが買収計画を断念したことで、大きな論争が発生することは回避された。一方、オトロ・キャピタルは、アルピーヌF1チームの保有株式について他の買い手を探す必要がある。



(GrandPrix.com)


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