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1965年当時をリスペクトしたグレーのシャツを着用したホンダのスタッフ。走行後には角田も笑顔に/現場写真日記特別編

2025年11月3日

 ホンダが1965年にメキシコでF1初優勝を挙げてから、今年で60年になる。この初優勝から60周年を記念して、F1メキシコシティGPでは角田裕毅が優勝マシン『RA272』のデモランを行った。当日の様子をF1ジャーナリストの尾張正博氏がお届けします。

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 今年のF1メキシコシティGPは、ホンダがF1で初優勝した1965年から60年目の節目の年。ということで、メキシコシティGPが開催されたエルマノス・ロドリゲス・サーキットで日曜日の朝に、60年前に初優勝を飾ったホンダRA272によるデモ走行イベントが行われた。そこで今回は現場写真日記特別編として、RA272の走行イベントの模様をお伝えしよう。

現場写真日記
角田裕毅が『RA272』でデモラン

 午前9時20分過ぎ、ピットロード出口のテントからホンダのメカニックによってRA272が押されてくる。

現場写真日記
ホンダRA272が登場

 ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長とRA272を見ているのは、角田裕毅のPUシステムエンジニアを担当している久保哲宏。

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HRCの渡辺社長と、角田のPUシステムエンジニアである久保哲宏

 RA272のメンテナンスを担当するメカニックたちと会話しているのは、レッドブルでHRCのチーフメカニックとして仕事している吉野誠。RA272を見にきただけでなく、かつて一緒に仕事した仲間たちとの再会を喜んでいた。

現場写真日記
HRCのチーフメカニックの吉野誠もかつての仲間たちとの再会を喜んだ

 HRCの折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)も食い入るように見つめていた。「いまのF1マシンと違って、メカメカしくて格好いいなあと思ってみていました。レッドブルでチーフエンジニアを務めるポール・モナハンも土曜日に見ていたらしく、その後、私に『こんなにすごいマシンなんだ』とRA272の仕組みを熱弁していました」(折原)

現場写真日記
RA272を見つめるHRCの折原GM

 このイベントのために日本から駆けつけた本田技研工業の三部敏宏社長(左から6人目)らホンダの首脳陣たちは、1965年当時にメカニックたちが着ていたグレーのつなぎに合わせて、お揃いのグレーのポロシャツを着用していた。

現場写真日記
1965年当時に合わせて、グレーのポロシャツを着用

 そのRA272のステアリングを託されたのは、ホンダが育てた現在ただひとりの日本人F1ドライバーの角田裕毅。

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三部社長も見守るなか、RA272のステアリングを握る角田

 ホンダのメカニックから、ドライビングするうえでの注意点を再確認を受ける。

現場写真日記
ホンダのクルーから指示を受ける角田

 RA272Eに火が入り、いよいよメカニックに押されてRA272が1.5リッターV12の甲高いホンダ・ミュージックを奏でながらコースへ向かう。

 途中で止まるシーンもあったが、無事にスタジアムセクションに帰ってきた角田が駆るRA272。グランプリ期間中はスケジュールがタイトだったため、予定していた走行をすべて完了することなく、イベントはここで終了となった。

 いつもの日曜日より少し早起きとなった角田だが「早起きしてでも乗りたいほど楽しいマシンだった」と走行後もこの笑顔。もう少し走りたかったようだ。

「ホンダのF1初勝利から60年という我々にとって記念すべき日。来年からホンダはワークスとしてF1に参戦します。この思い出の地から再び歴史を作るという意味も含めて、とても重要なイベントになったと思います。そのイベントでわれわれが育てた角田選手がRA272を運転するというのは、ホンダにとっても喜びでもあります。今シーズンはまだ終わっていないので、角田選手にはこれからも頑張ってほしい」と三部社長。

 このイベントはメキシコの人たちにも関心が高く、イベント後はマーシャルたちが角田を囲んで記念撮影していた。

 長年にわたってホンダ・コレクションホール所有車のテストを担当してきた宮城光さんによれば、途中で止まったのはギアが2速にうまく入らなかったからだが、帰ってきてマシンを確認したところ、トラブルではなく、きちんと作動していたという。


「RA272はかなりクセが強くて、本来であれば、そのクセを事前にドライバーに伝えるのだが、今回はF1メキシコシティGP期間中ということで、角田選手にうまく伝えきれなかった。そのような状況の中で角田選手もマシンを無事に走らせてくれて感謝しています」(宮城)

 RA272がメキシコの地を走るのは1965年以来初めてのこと。その記念すべきイベントを企画し、成功させた関係者の方々の尽力を改めて讃えたい。



(Text&Photo : Masahiro Owari)


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