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王者メルセデス4連敗。マシンバランスの悪さが招いたリヤタイヤの性能劣化とペース不足/F1第8戦

2021年6月30日

 絶対王者が4連敗を喫した。


 2014年に現行パワーユニットが導入されてから昨年まで、メルセデスはドライバーズ、コンストラクターズの両選手権で7連覇を遂げてきた。そんな絶対的な強さを誇ってきた彼らが8シーズン目の今季、4戦連続未勝利という不名誉な記録に屈した。


 これまでも3連敗はあった。まず2018年。開幕からの2戦でフェラーリのセバスチャン・ベッテルに連勝を許し、第3戦は6番手スタートのレッドブルのダニエル・リカルドに逆転負けした。翌2019年は、シーズン中盤に3連敗。8月末のベルギーGPからフェラーリが3戦連続でポールポジションも勝利も獲得した。


 2014年からずっと勝ちまくってきたイメージの強いメルセデスだが、2018年はフェラーリ、レッドブルが3強を形成し、彼らと勝ち星を分け合っていた。2019年はメルセデスが序盤から8連勝と驚異的な強さを発揮していたが、8月末から突如フェラーリ製パワーユニットの戦闘力が増したのだった。ちなみに、規約違反の疑惑が出て検査が強化されたシーズン終盤にフェラーリは失速した。


 そんな2シーズンを経て、昨年のメルセデスは17戦中13勝と再びライバルたちを圧倒し、7連覇を遂げた。マシン開発に大失敗したフェラーリ、期待した戦闘力を発揮できなかったレッドブルと、ライバルたちの敵失に助けられた面もあった。だが、それ以上にメルセデスの車体、パワーユニットの技術開発力は依然として頂点にある。それを実感させられたシーズンだった。


 しかし、今季はメルセデスの常勝パターンが根本的に変わろうとしている。バーレーンでの開幕戦、第3戦ポルトガル、第4戦スペインと、シーズン序盤こそルイス・ハミルトンが3勝を挙げた。しかし、それらのレースでもレッドブル・ホンダのマシンパッケージの戦闘力がメルセデスにすでに追いつき、ときには凌いでいることは明らかだった。


 それでも、メルセデスがこれら3戦でなんとか勝てたのは、バーレーンとスペインはおもに戦略の秀逸さであり、ポルトガルは新加入のセルジオ・ペレスがまだレッドブルマシンに慣れず、フェルスタッペンが孤軍奮闘を強いられたからだった。

2021年F1第4戦スペインGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第4戦スペインGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 それが、第5戦モナコGP以降から流れは完全にメルセデスからレッドブル・ホンダへと変わっていった。典型的な超低速コースのモナコ、市街地コースながら2km超のロングストレートを有するバクー、低速から中高速、ストレートが満遍なく配され、バルセロナに似た特性のポール・リカール、そしてモンツァに次いでエンジン全開率の高い、中高速コーナー主体の今回のレッドブルリンク。これらコース特性の異なる4戦すべてで、メルセデスはレッドブル・ホンダから勝利を奪うことができなかった。


 もはや戦略の秀逸さや、王者ハミルトンの奮闘だけでは勝てないレベルに来てしまった。メルセデスの今季のマシンパッケージに関してはレッドブル・ホンダに負けている。それが今回のレッドブルリンクでいっそう明らかになったといえるだろう。


 その象徴的なポイントを挙げるとすれば、それは前後のマシンバランスの悪さである。すでにシーズン序盤からW12はフロントタイヤの温まりの悪さが指摘されていた。ハミルトンが今回の予選でフェルスタッペンにコンマ2秒近い大差をつけられ、3番手に終わったおもな原因はこれだった。


 そしてレースでは、逆にリヤタイヤの性能劣化に悩まされた。オーバーヒートによるブリスターも発生した。リヤに負荷のかかるレッドブルリンクでこの傾向がいっそう助長されたということだ。


「この8年間で、これほどペース不足を痛感したレースは初めてだった」と、レース後のトト・ウォルフ代表は無力感を隠そうともしなかった。メルセデスは来季用マシンの開発に集中するため、すでに今季のアップデートは終了している。


※この記事は本誌『オートスポーツ』No.1556(2021年7月2日発売号)からの転載です。

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

auto sport No.1556(2021年7月2日発売号)の詳細はこちら
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(Kunio Shibata)




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