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英国人ジャーナリストによる2021年F1ルーキー紹介(2)ミック・シューマッハー:父ミハエルに似て超がつくほどの努力家

2021年2月3日

 2021年F1には3人のルーキードライバーがデビューする。角田裕毅、ミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピンはどのようなドライバーでありどのような若者なのか、F1に加えてF2選手権の取材実績があり、彼らの走りをつぶさに見てきた英国人ジャーナリスト、クリス・メッドランド氏が紹介する。第2回は7度のF1チャンピオンであるミハエル・シューマッハーを父に持つミック・シューマッハーだ。


 ドイツ出身、1999年3月22日生まれ、現在21歳のミックは、2008年にカートを始め、2015年にフォーミュラデビューし、ADAC F4選手権に参戦。2016年にはF4のドイツ選手権およびイタリア選手権に出場し、両方のシリーズでランキング2位を獲得した。2017年にFIAヨーロピアンF3選手権にステップアップ、2018年にタイトルを獲得した。2019年、フェラーリ・ドライバー・アカデミーのメンバーになるとともにFIA-F2選手権にデビューし、参戦2年目の2020年にチャンピオンとなった。2021年に向けてハースF1チームと契約、F1にデビューすることが決まっている。


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 ジュニアカテゴリーで走るドライバーが注目を集めるとすれば、目覚ましい結果を挙げたとき、あるいは有名な名字を持っている場合だ。ミック・シューマッハーにはそのどちらにも当てはまる。


 ミックはレースを始めた当時は母親の旧姓を使い、その後『ミックJr.』と名乗った時期もあった。そしていよいよシューマッハーの名前を使うことを決めたわけだが、それによって彼は多くのチャンスを得ると同時に、世界中から注目され、とてつもないプレッシャーにさらされることになった。そういう難しい環境のなかで、ミックはここまで戦ってきたのだ。


 ミックがF1シートにふさわしいドライバーであることは明らかだ。独自のアプローチでキャリアを重ねていき、過去3年のなかで、FIAヨーロピアンF3とFIA-F2でタイトルを獲得した。F1にステップアップをするのに十分な経歴だ。

2020年F2ロシア 優勝したミック・シューマッハー
2020年F2ロシア 優勝したミック・シューマッハー

 この戦績が示すように、ミックには“シューマッハー”という有名な名字がもたらす困難と付き合っていけるだけの才能がある。それだけでなく彼はひとりの人間としても非常に成熟している。注目を浴びても冷静に対応することができ、集中をかき乱されて走行中のパフォーマンスが低下するようなことはないのだ。全くないとは言わないまでも、めったにない。


 近年のシューマッハーに何か弱点があるとすれば、それは予選パフォーマンスだろう。タイトルを獲得した2020年、彼は一度もポールポジションを獲っていない。一方でライバルだったカラム・アイロットと角田裕毅は複数回ポールポジションを記録している。確かにミックは、レースパフォーマンスを重視するスタンスをとっている。だが、アイロットと角田はポール・トゥ・ウインを達成し、予選と決勝の両方で速さを発揮した。


 それでもミックは自分のアプローチでタイトルをつかんだ。彼はゆっくりと着実に進歩を果たしていく。F3とF2のタイトルを獲得したのは、いずれも参戦2シーズン目だった。2年目にはデビューイヤーよりも少しだけ好調なスタートを切り、その後、シーズンが経過するなかで強さが増していくのだ。


 F3ではランキング2位以下に大差をつけてタイトルを獲得した。F2の2年目は、開幕戦から速さを見せていたものの、アイロットと優勝争いしていた際に犯したミスが高くつき、シーズン前半は追う立場で過ごさなければならなかった。しかし、その安定したパフォーマンスによって最終的にはチャンピオンの座に就いた。

ミック・シューマッハーのF2タイトル獲得を祝うフェラーリ首脳陣
ミック・シューマッハーのF2タイトル獲得を祝うフェラーリ首脳陣

 シューマッハーは、地道な努力によって、一貫したパフォーマンスを発揮する力を身につけた。生まれつきの才能は驚異的なレベルではない。ただ、仕事に対する真摯な姿勢は父親と同じだ。ミックはエンジニアと長い時間を過ごし、チームのなかに溶け込もうとする。そうしているうちに、チームのスタッフは彼のためにできる限りのことをしてやりたいという気持ちになる。


 彼は何をすれば自分のパフォーマンスが改善するかを常に考えており、そのためには何でもする人間だ。1ラップのペースが並外れているわけではなくても、シューマッハーは常に向上し続けるために、人からは見えない部分で長時間取り組み、努力を重ねている。


 ドライバーとしての彼の魅力のひとつは、レースでの戦い方だ。彼は真のレーサーであり、闘争心が極めて強いが、レース中はそれをうまく抑制しながらバトルをする。慎重に行動すべきときに過度なアグレッシブさが出てしまうこともある。だが、大抵の場合は正しい判断を下しつつ冷静に走り、なおかつ難しい場面であっても戦うことを恐れない。


 バトルの際のシューマッハーの防御の仕方は、父ミハエルと似ている部分がある。ぎりぎりまで粘るが、決してやりすぎないところが素晴らしい。今年、競争力の低いハースのマシンで走るなかで、彼のこの技術が役立つ場面が多いのではなかろうか。


 シューマッハーがF1デビューシーズンに世界をあっと言わせるようなことはないだろう。闘争心の強さからミスを犯すこともあるに違いない。だが彼は時間を与えられればF1で大きな結果を出す能力を持っている。今年は少なくともそういうポテンシャルを垣間見ることができるはずだ。

ミック・シューマッハー(ハース)
2020年F1アブダビテスト ミック・シューマッハー(ハース)



(Chris Medland / autosport web)




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