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F1第2戦木曜会見:「こういう不具合が起きたのは初めてで驚いた」バッテリーやECUが故障、サインツは信頼性を懸念

2023年3月17日

 2週間前の開幕戦バーレーンGPは、はっきりと明暗の別れる結果となった。レッドブルとアストンマーティンが強さを発揮した一方で、フェラーリは信頼性の問題で、そしてメルセデスは戦闘力不足から、彼らに対抗できなかった。


 司会者はまず、フェラーリのカルロス・サインツに質問を投げた。


Q:カルロス、バーレーンでは予選4番手、決勝4位という成績でした。あの週末をどう振り返っていますか?
サインツ:タフな最初の週末だったけど、自分たちができる最大限のことをやったと思う。シャルル(・ルクレール/フェラーリ)がいきなりペナルティを受けたことは、もちろん大きな痛手だ。でもシーズンは始まったばかりだし、開発を続けて、できる限りマシンを改良する。それだけだよ。


 そうコメントするサインツの声は少し枯れていて、しゃべりにくそうだ。司会者も、当然気づいていた。


Q:声が少し、ミスファイヤしているみたいですね。
サインツ:ミスファイヤ(笑)。先週末にこんなふうになって、でも完治したはずだった。ところが昨日の朝、また声が出なくなってしまって、まだ戻ってこないんだ。


Q:ルクレールは早くも10グリッド降格ですが、フェラーリの信頼性についての懸念は?
サインツ:正直なところ、けっこう心配している。開幕戦でバッテリーやECUが壊れて、第2戦でいきなりペナルティというのは、最上のスタートとはいえないからね。ただこの種の不具合が起きたのは初めてで、そこも驚いている。


Q:ここでは昨年、フェラーリが2台とも表彰台に上がりました。今年も少なくともどちらかが、表彰台に上がるペースがあると思いますか?
サインツ:そう思っている。というか、そう思いたいね。バーレーンとはコースがまったく違う。路面舗装、超高速のコース特性、すべてがバーレーンと比べて少し違っているし、もう少し競争力があると感じている。あんなレースの後は、もっと楽観的になりたいしね。

ランド・ノリス(マクラーレン)&カルロス・サインツ(フェラーリ)
2023年F1第2戦サウジアラビアGP FIA会見 ランド・ノリス(マクラーレン)&カルロス・サインツ(フェラーリ)


 性質は違うとはいえ、メルセデスの不振もかなり深刻だ。


Q:ルイス、2週間前のバーレーンは5位でした。(レッドブルには)昨年より近づいていると感じますか?
ルイス・ハミルトン:ノーだね。


Q:レッドブルとの差は大きくなっていると感じていると。
ハミルトン:うん。そう答えるしかないよ!


Q:具体的に、コース上で負けていると感じるのはどこですか?
ハミルトン:ストレートではないね。昨年の僕らは、とてもドラッグが大きかった。すごく大きなウイングをつけなくてはいけなくて、それなのにストレートだけでなくコーナーでも負けていた。一方で今年は、ストレートは速いと思う。でもコーナー出口での彼らは、ずっとリヤエンドがしっかりしてる。おそらく前回のレースで、彼らはプッシュしていなかったと思う。だから実際より、ずっと速いはずだ。1周あたり1.5秒とか、それくらいの違いはある感じだね。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2023年F1第1戦バーレーンGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 ハミルトンは笑顔を見せてリラックスした風だが、スタッフやチーム上層部には相当不満をぶつけたという報道も出ている。勝てそうにないと思えば、当然モチベーションにも影響は出るだろう。


Q:これだけの実績を築いてきたあなたにとって、この不振はモチベーションにどう影響するのでしょう?
ハミルトン:何もないよ。ただエネルギーの方向を変えるだけだ。最初はもちろんタイトル獲得を目指して頑張る。でもそうじゃないと気づいたら、そのエネルギーを、チームを作り直し、強化し、できる限りみんなをサポートすることに振り向ける。そういうことだ。でもだからといって、レッドブルやアストンマーティンにもう追いつけないと、諦めているわけじゃない。このチームでは、誰ひとりとして挑戦から逃げたりはしない。挑戦することを楽しんでいるよ。


Q:開幕戦の後、クルマのある問題に関してチームがあなたの意見を聞いてくれなかったと感じたと語っていましたね。具体的にどういうことなのでしょう。
ハミルトン:あの発言は、言葉の選択がベストではなかった。もちろんチームメンバーと意見が合わないことはある。大切なのはコミュニケーションを取り続け、力を合わせ続けることだ。そして僕は今でも、このチームを100%信じている。彼らは僕の家族であり、だから他の場所に行くつもりはない。


Q:ゼロポッドというコンセプトはギャンブルで、うまくいくかもしれないし、本当にうまくいかないかもしれないということを、チームは認識していたのでしょうか?
ハミルトン:僕が事前に聞いていたのは、突然トップを独走するようなことはないにしても、そこそこの位置にいるはずだというものだった。だから明らかにそうでなかったときは、ちょっとショックだった。自分たちが正しい位置にいないことがすぐにわかった。初めて新車を見る瞬間は、いつも緊張するものだ。でも、いい感じだった。カラーリングもよかった。速ければ、どんな色でもいいんだけどね。いつかは勝てるクルマに仕上げていきたいね。


 ハミルトンの不満は、チームがゼロポッドコンセプトを今季も継続したところにあるようだった。しかし会見でのハミルトンは、あくまでチームの団結を強調していた。しかしレッドブル、フェラーリに加えて、アストンマーティンという手強い伏兵が出てきた今季、戦闘力の立て直しはかなり困難なことは、ハミルトンも内心では十分わかっていることだろう。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2023年F1第2戦サウジアラビアGP FIA会見 ルイス・ハミルトン(メルセデス)



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


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