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F1技術解説:オランダGPでトラブルが続いたメルセデス製パワーユニット

2021年9月23日

 2021年F1第12戦ベルギーGP、第13戦オランダGP、第14戦イタリアGPの3連戦で各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点について解説する。今回は、オランダGPでメルセデス製パワーユニット(PU)に起きたトラブルについて検証する。


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 オランダGPの初日フリー走行で、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が立て続けにパワーユニット(PU)トラブルに見舞われた。いずれも油圧系統のトラブルと見られ、最終コーナーのバンクを立ち上がった直後に発生している。


 オイルによる潤滑に支障をきたせば、エンジンは致命的なダメージを受けてしまう。アストンマーティンに搭載されたメルセデスのパワーユニットM12はまさにそれが致命傷となったが、メルセデスの方は幸いその直前にマシンを止めることができた。2基のPUは、トラブルの原因を究明するために英国ブリックスワースに送られた。


 あくまで想像だが、ザントフォールトのふたつのバンクを通過する際に受けた通常とは違うG、具体的には遠心力と縦方向の複合的なGによって、オイルの潤滑に問題が生じた可能性がある。


 一方で他の6基のメルセデス製PUには、トラブルが出ていない。そのため個体ごとのマイレージの違いによる影響を、指摘する見方もある。


 F1エンジンの潤滑方式は、ドライサンプと呼ばれるものだ。これは潤滑油をエンジン下部のオイルパン(オイル溜め)からポンプで強制的に回収して、オイルタンクに貯める方式を指す。

2019年レーシングポイントのメルセデス製パワーユニット
2019年レーシングポイントのメルセデス製パワーユニット


 上の写真は2019年のレーシングポイント(現アストンマーティン)のものだが、コンプレッサーを挟んだ形で上下にオイルタンクが置かれているレイアウトがよくわかる。オイルタンクの横には油圧ポンプが配置され、クランクやカムシャフト、ピストンを潤滑する。


 オイルはそこから下部のオイルパンに落下し、サイドポンツーンのラジエターで冷却されたのち、オイルタンクへと戻っていく。


 決勝レーススタート直後には、マクラーレンのダニエル・リカルド車が白煙を上げているのも目撃された。ただしエキゾーストパイプからではなく、その横のブリーザー(オイル排出管)から排出されている。バンク通過の際に潤滑不足が起きないよう、オイルタンクから溢れるほどのオイルを注入していたのだろう。

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この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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