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F1第7戦木曜会見:将来を考えるには時期尚早とガスリー。選択肢は狭まるも「すべてはレッドブル次第だ」

2021年6月18日

 モナコ、アゼルバイジャンに続いて、2年ぶりに開催されるF1フランスGP。木曜会見に最初に登場したのは、自国GP復活を心待ちにしていたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)だった。ガスリーは今季ここまで、6戦中5戦で予選Q3進出、レースでも5戦連続入賞、前回のアゼルバイジャンGPでは3位表彰台と絶好調を維持している。


 そんなガスリーへの最初の質問は、同じフランス人ドライバー、エステバン・オコン(アルピーヌ)の契約延長に絡めたものだった。


「オコンがアルピーヌと、2024年までの契約を決めました。あなたの将来は、どうなんでしょう?」


 ガスリーが今のアルファタウリから、常時優勝を狙えるトップチームへのステップアップを熱望しているのは周知の事実だ。しかし第一志望であるはずのレッドブルは、フェルスタッペン&ペレスコンビが機能し始めたこともあって、今ひとつガスリーに冷たい態度に見える。


 それもあってフランスチームのアルピーヌへの移籍も噂に上がっていたわけだが、そこにオコンの長期契約のニュースが飛び込んできた。ふたつのシートを同国人が占める可能性はもちろん皆無ではないが、ガスリーの選択肢が狭まったことは確かだ。


「将来を考えるのは、まだちょっと早いね」と語り始めたガスリーは、「いずれにしても決めるのはレッドブルだ」とコメントした。


「このままアルファタウリでレースを続けるのか、レッドブルに行けるのか、それとも他のオプションがあるのか、すべてはレッドブル次第だよ」


 これが本当に、ガスリーの本音なのだろうか。自分のドライビングに絶対的な自信を持ち、結果もしっかり出している。それなのに雇い主のレッドブルからの評価は今ひとつで、一方でアルピーヌはオコンと長期契約を結んだ(ちなみにガスリーとオコンは、下位カテゴリー時代の確執から、今も決して仲はよくない)。


「まだほとんど何も話はしていないし、これからの数週間でいろいろ見えてくるんじゃないかな」というコメントからは、ガスリーの揺れる気持ちが透けて見えるようだった。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第7戦フランスGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)


 もうひとり、不透明な将来を抱えているのがバルテリ・ボッタスだ。メルセデスとの契約は、今年末で切れる。しかし今季のボッタスは絶不調で、チームはすでにジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)と来季の契約を結んでいるという噂まで出ている。それについて問われたボッタスは、「毎年、同じような話が出るよね」と、マスク越しにもムッとしているようだった。


「周囲の雑音を完全にブロックできないことはわかっている。同じ質問、同じ噂を毎回聞かされる。でもそれも、このスポーツの一部だと割り切っているよ」


「トト(・ウォルフ/チーム代表)とは頻繁に話をしている。でもこれは断言できるけど、来季以降については何も話していない。とにかくみんな、アクセス数を増やそうとしたいからなのか、根拠のない噂をでっち上げすぎているよね」


 開幕からの6戦でまだ1勝もできず、選手権6位まで後退したボッタスにしてみれば、コース上で結果を残すことしか頭にないということなのだろう。

バルテリ・ボッタス(メルセデス)&キミ・ライコネン(アルファロメオ)
2021年F1第7戦フランスGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)&キミ・ライコネン(アルファロメオ)


 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は今回、ダニエル・リカルド(マクラーレン)と同席した。チーム名はトロロッソからアルファタウリへと変わってしまったが、ふたりはファエンツァのチームの先輩後輩である。そしてもうひとつ、最新の共通点が、前戦アゼルバイジャンGP予選のQ2とQ3で、同じターン3で立て続けにクラッシュした間柄ということだ。


 リカルドはその事故について、司会者から訊かれてもいないのに、愉快そうに話し始めた。


「ブレーキングを遅らせすぎたんだよね。市街地コースでは、よくあることなんだけど。あ〜やっちゃったと思って、そうしたら次のセッションで、ユウキが同じことをやらかした」と、いたずらっ子のような目つきで角田を見るリカルド。


「そうなんだよね。僕もブレーキを遅らせすぎた」と、角田。「自分では行けるはずと思ったんだけど、あとで映像を見直したら、15mは遅かった」

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)&ダニエル・リカルド(マクラーレン)
2021年F1第7戦フランスGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)&ダニエル・リカルド(マクラーレン)


 メディアを前にしたときとは全然違う、実に楽しそうな表情の角田。同じ失敗をやらかした、一種の共犯関係を共有したというだけでなく、やはりリカルドのフレンドリーな人柄もあるのだろう。


 そしてオーストラリア出身のリカルドと日本人の角田は、ともに故国から遠く離れたヨーロッパでF1キャリアをスタートさせた。「まったく違う環境におかれた際に気を付けるべきこと、若い裕毅へのアドバイスは?」と質問されたリカルドは、「一番大事なのは、自分が進むと決めた道を踏み外さないことだ」と即答した。


「ひとりで生きるということは、自由もすごく多い代わりに、誘惑も多い。決断も自分でしなければならない。サーキットを離れれば、パーティへの誘いとか、その他いろいろ山ほどの誘惑が押し寄せてくる。でもそんなときは、自分が本当にしたいことは何なのか、今ここにいるのは何のためなのかを、いつも考えた方がいい」


 イタリアに転居して、改めて自分の生き方を見つめているであろう角田は、「ダニエルの言葉に、100%同感だ」と答えていた。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第7戦フランスGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


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