4カ月に渡るオフシーズンが終わり、今週末のオーストラリア・グランプリから2005年F1シーズンが始まる。これは単なる開幕戦ではなく、新しい時代の幕開けだ。今年から、ドライバーはレース距離を1セットのタイヤで走りきることが義務づけられ、このような走り方でF1が戦われるのは1980年代初め以来となる。
開催地のアルバートパークは常設サーキットではないが、傑出したレースの伝統を持ち、1950年代からノンタイトルGPを何度か開催している。その勝者にはイギリスの伝説的ドライバー、スターリング・モスも名を連ねている。しかし50年代後半からレーシングコースとしては休眠し、復活するのはメルボルンがF1世界選手権オーストラリア戦の開催権を獲得した1996年からとなる。
オーストラリアGPそのものは、ミシュランがF1参戦第1期を終えて1年後の1985年からアデレードで始まっている。今年のイベントは、世界選手権としてオーストラリアGPが開催されるようになって21回目、メルボルンでの開催はちょうど10回目となる。
2001年にF1復帰したミシュランは、アルバートパークで1度勝利を挙げ、2003年のデビッド・クルサード(ウェスト・マクラーレン・メルセデス)を先頭に、ミシュラン1-2-3フィニッシュが達成された。しかし、昨年のミシュラン勢最上位は、フェルナンド・アロンソ(マイルドセブン・ルノーF1チーム)の3位だった。
ピエール・デュパスキエ(ミシュラン・モータースポーツディレクター):
「メルボルンでの開幕戦にむけては未知の要素が数多くある。最新のタイヤレギュレーションが摩耗率にどう影響するのか、激しい競り合いになったときにタイヤがもつのか、日曜日の午後にチェッカーフラッグが振り下ろされるまでわからない」
「スペインで行われた開幕前テストの終盤は、なかなか手応えがあり、いいラップタイムが出た。しかしメルボルンで実際にどうなるかは、やってみるまでわからない」
「アルバートパークのコースは、普段は一般車両が走る道なので、F1マシンが最初に走り出すときには路面は汚れて滑りやすいのが通例だ。F1タイヤのラバーが乗るにつれて、グリップレベルが急速に上がっていくのが昨年までのパターンだったが、今年はその上がり方がゆっくりになるだろう。レースで使えるタイヤが1セットに制限されたため、私たちは硬めのコンパウンドを使わざるをえず、そのため路面にラバーが乗りにくいのだ。その結果、金曜日から日曜日にかけてのコンディションの変化は緩やかになるだろう」
マーク・ウェバー(BMWウイリアムズF1チーム):
「新レギュレーションでは、タイヤメーカーはとても苦労すると思う。予選とレースを1セットのタイヤで走りきらなくてはいけないから、タイヤ選択はとても難しい。メルボルンは、他のサーキットと同じようにグリップが必要だけど耐久性もとても重要だ。つまり、最後まで走りきれるような硬めのコンパウンドが必要になる。ミシュランとウイリアムズチームはそのために徹底的に努力してきた」