来週行われる世界モータースポーツ評議会のヒアリングにおいて、2007年のF1界を揺るがしたスパイスキャンダルの問題が再び取り上げられる。これを前にして、バーニー・エクレストンは、スパイ行為は今後もF1からなくなることはないだろうとの見方を示した。
マクラーレンはスパイ疑惑で告発され、9月に厳しい処罰が下されたが、これとほとんど同じ形で、ルノーはマクラーレンの機密情報を所持していたとして告発された。これによって、ルノーは、12月6日に行われるFIA世界モータースポーツ評議会のヒアリングに召喚されている。これに関し、エクレストンは、チームの私的データが他チームへ持ち出されてしまうことを防ごうとしても、現実的には無理な話だと語っている。
「私がF1に関わりだして以来、常にスパイ行為は存在していた」とエクレストンはドイツのアウト・モーター・ウント・シュポルト誌のインタビュー(これはF1の公式ウェブサイトに英語で掲載された)で語った。
「以前よりは少し巧みな方法になっているがね。昔は、誰かを雇って、その人間に情報を持ってこさせていた」
「ある意味では、それは今日でも起こっていることだ。レッドブルはエイドリアン・ニューエイを雇った。なぜ雇ったのか? 彼らがニューエイを加入させたのは、彼が、何をしたらいいのか何をすべきでないのかという何年分もの情報を持っていたからだ。彼が何か図面を持って来たとは思わないが、彼の頭の中には知識があり、それを持ってやって来た。それを止めることはできないんだ」
「もし、私が個人病院を経営しているとすれば、見つけられる中で最高の外科医を雇うだろう。どこかで30例もの心臓移植を経験している人物について耳にすれば、その男を雇うだろう。彼は、それができるということをすでに証明しているのだからね。買うのは知識のみだ。自分のしてきたことをすべて忘れろとは言えないよ」
さらに77歳のエクレストンは、スパイ騒動はFIAが扱うべきことではなく、警察の管轄だと示唆した。そうすれば、一連の”スパイゲート”事件はもっとシンプルな形で解決されていただろうし、さらに重要なことには、このスポーツの評判にこれほどのダメージを与えることもなかっただろうというのだ。
「彼ら(FIA)はそれに関わるべきではない」とエクレストンは訴えた。
「私は(マクラーレンのチーム代表の)ロン・デニスに、この騒動が始まった時に言ったんだ。警察に窃盗事件があったと通報しろとね。盗んだ財産を受け取ったり、買ったりしている従業員がいると通報すべきだと」
「会社の中で何かが進行しているという情報をロン・デニスが入手できるようになった時、彼は(フェラーリのCEO、ジャン・)トッドに電話をして、”聞いてくれ、ジャン、妙なことが起こっているんだ、会って話そうじゃないか”と言うべきだったんだ」
「彼らは会って、双方とも警察に通報すればよかったのだ。そうすれば警察は事件を捜査し、私たちは本当に起こったことを知ることができただろう。そういうふうに処理されていれば、私たちは今年直面したような問題に遭わずに済んだはずだ。警察と法廷の扱うべき問題だったのだ。彼らは、真実を見いだすための、はるかにいい道具を持っているのだから」