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小松礼雄コラム:予選システム変更、本音は「やめてほしい!」

2016年3月16日

 新生ハースF1チームに移籍し、チーフエンジニアとしてチームのレース部門を統括する小松礼雄氏。2回の開幕前テストではトラブルが発生しながらも問題を解決しながら無事テスト終了することができた。

 今回、合同テストを終えての感想と現時点のドライバーふたりに対する小松氏の評価。また新チームのチーフエンジニアとして開幕戦ではどんな目標設定を定めているのか……。F1速報サイトでしか読めない、小松氏の完全オリジナルコラム第2回をお届けします。

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間に合ったが課題も多かったハース
小松エンジニア的、2016年F1の楽しみ方


 ひとまずですが、無事にクルマを組み立てることができて、2回の開幕前テストを終えることができました。感想としましては、全体として見たらまあまあ。ひどくもなければ、すごく良くもないという感じです。僕が設定していた目標には達していませんが、新チームであることや、イタリアでクルマを組み立てなければいけなかったことなどを考慮すれば、まずは予定どおりフィルミングデーから走行できたのは良かったと思います。

 最悪の場合、フィルミングデーでのシェイクダウンができなかったり、1回目のテストで走れないという状況も考えていたので、そういう意味では最初から走れたことはすごく良かったです。しかし、予想はしていましたが信頼性の問題が多く出てしまったのが痛かったです。

 2回目のテストではシステム系の問題がひとつ、ふたつあり、特に2日目は1周しかできませんでした。3日目は距離こそある程度稼げたものの、また別の問題でパフォーマンスは良くありませんでした。ある意味ではテストで出てくれて良かったし、それを4日目には解決できたことも、チームにとっては自信になりました。


 1回目のバルセロナテストは合計281周と、マクラーレン、マノーよりも多くの周回数を重ねることができて順調でしたが、2回目のテストでトラブルが多く出てたわけですが、なぜ2回目の方がトラブルが多いのかとよく聞かれます。それはたまたまいつかは出るトラブルが走りこんで出てきたということです。

 何もかも新しいので、とにかく片っ端から解決していかなければいけないんです。なにせやることが多いので、走る前に全部細かいところまで確認できているかと言えば、そうではないんです。最初のテストではフロントウイングが落ちる事故もありました。良かったのは、その後のチームとしての対応が早かったこと。まずはなんとか最初、応急処置をして走れました。その間に、ちゃんとした対策品を設計・製造できたので、翌日の午後からはまともに走り始めることができました。

 2回目のテストは1日目と2日目、ほとんど走れませんでしたが、これは車体に問題が出たわけではないので、そこは仕方がありません。ですので、車体に問題が出なかった3日目は79周、4日目は91周。特に問題点を解決した4日目はドライバーをふたりとも走らせての結果なので、ドライバーひとりだったら100周を越えていたはずなので、そういう面ではとても良い形でテストができたと言えます。まあ、僕の当初の目標は達成できていないけれど、新チームということを考慮したら、今回のテストは、まあまあ及第点だと思います。

 今後の課題としてはやはり、みんな新しいチームでごちゃまぜでやっているので、プロシージャー(進行手順)とかオペレーションとか、そういう部分をどんどん良くして行くことですよね。あとはフェラーリとの関係、コミュニケーション、そういうのをもっと良くしないといけないですね。

 ハースに入ってからここまであっという間ですが、一番苦労している部分としてはやはり、イタリアで一号車を作ったのが大変でした。スタッフのみんな、イタリアに出張しっぱなしでした。僕も週に2日はイギリスのオフィスにいて、あとの4日がイタリアにいてというのを繰り返して、そのあとは行きっぱなし。イタリアのダラーラに籠もっていましたが、ダラーラはGP2やスーパーフォーミュラ、F3マシンなどカーボン製の車体製作の実績は多いですが、やはり現在のF1の技術とは差があります。そこは今後、お互いに協力して良くしていくしかありません。

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