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【F1チーム代表の現場事情:アストンマーティン】異様な会見からの2戦で改善は見られず。不向きなチームの“顔”が募らせる苛立ち

2026年3月23日

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、アストンマーティンのチーム代表兼マネージングテクニカルパートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイの、開幕戦以来の動向に焦点を当てた。

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 アストンマーティンとホンダによる“黄金時代”は、最悪の形で幕を開けた。シーズン最初の2週間、両者の間に漂う緊張感は、ボディランゲージを読む専門家でなくとも容易に感じ取れるものだった。


 アストンマーティン側のプロジェクトの顔として据えられたアドリアン・ニューウェイは、アストンマーティンを擁護する姿勢に終始している。


 プレシーズンの時点で、アストンマーティンとホンダがどれほど深刻な状況にあるかは明らかだった。彼らのマシンは、F1新規参入のキャデラックを含め、全チーム中で最も少ない周回数しかこなせなかったのだ。オーナーのローレンス・ストロールはバーレーンでの一週間、怒りを露わにパドックを歩き回っていたが、メディア対応に出てきたのは元代表のマイク・クラックとチーム代表代理のペドロ・デ・ラ・ロサだけで、首脳陣は責任を回避しているかのように見えた。

■開幕戦オーストラリアでの異様な会見

エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン)
2026年F1第1戦オーストラリアGP エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン)

 その状況はオーストラリアで変化したが、やや奇妙な形を取った。アストンマーティンは、シーズン最初のメディアデーに、チーム代表兼マネージングテクニカルパートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイとホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長の公開セッションを実施したのだ。その会見に出席してすぐに、チームがそういう体制を取った理由が分かった。ニューウェイがまずマシンの良さや今後の進展について簡潔に語り、その後に渡辺社長がマイクを取り、ホンダはパフォーマンス不足であり責任は自分たちにあると認めるような発言をするというやり取りが、セッション中、何度も繰り返されたのである。


 印象的な発言はいくつもあったが、特に大きな見出しを飾ったのはニューウェイの次のコメントだ。


「(エンジンからの)振動がシャシーに伝わり、いくつかの信頼性の問題を引き起こしている。ミラーが外れたり、テールライトが外れたりといった具合で、それらに対処しなければならない」


「しかし、それ以上に深刻なのは、その振動が最終的にドライバーの指先にまで伝わることだ。フェルナンド(・アロンソ)は、連続して25周以上走ると手の神経に永続的なダメージを負うリスクがあると感じており、ランス(・ストロール)は、15周が限界だという」

エイドリアン・ニューウェイ代表(アストンマーティン)と渡辺康治HRC社長の記者会見
2026年F1第1戦オーストラリアGP エイドリアン・ニューウェイ代表(アストンマーティン)と渡辺康治HRC社長の記者会見

 驚くべき告白だった。ホンダのエンジンは深刻な振動を引き起こし、マシンを危険なレベルで揺らし、ドライバーが身の安全に不安を抱くほどだったというのだ。渡辺社長はその責任の矢面に立たされていた――ホンダは不意を突かれたように見えたが、それも無理からぬことかもしれない。もちろんニューウェイは認めなかったが、実際には別の要因もあった可能性が高い。彼はエンジンを車体に極めてタイトに収めるシャシー設計をすることで知られており、このような問題が発生した際には悪夢のような状況となり得る。


 ニューウェイの発言が注目を集めた一方で、この会見自体、別の意味でも異様だった。聞くところによれば当日の朝にニューウェイ自身が要請したことで、アストンマーティンは、急遽この記者会見を設定したという。そしてこの会見は、どこか滑稽な様相を呈していた。2人が使用したマイクの音声が頻繁に途切れたのだ。マイクが口に近すぎたり遠すぎたり、握り方が悪かったり、あるいは単に機器の調子が悪かったりと、さまざまな理由で、問題が起きていた。


 ただでさえ緊張感とぎこちなさに満ちた会見であったが、マイクのトラブルはその場の異様さを一層際立たせた。特に振動問題が明かされた後は、その様相が強まり、ニューウェイはいら立ちを募らせ、舌打ちしながら首を振る場面も見られた。その様子は、チーム全体の状況を象徴しているかのように見えた。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2026年F1第1戦オーストラリアGP FP2で走行するフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

■混乱は続く。ホンダへの圧力とニューウェイの限界

 その会見以降も、状況は大きく改善していない。ニューウェイはメルボルンでの金曜日の記者会見では、ホンダがレッドブル時代に関わっていた重要な人材がプロジェクトに加わっていないことを、アストンマーティン側は長い間、把握していなかったと主張した。また、ホンダが4基持ち込んだバッテリーのうちの2基をトラブルで失ったとも明かした。


 ニューウェイの現在の役割は非常に興味深い。今年から事実上、チームのトップへと昇格して以降、多くのF1関係者が、この偉大な才能の持ち主に新しい役割が向いていないと感じている。ニューウェイは、マシンを見るだけで空気の流れを頭の中で描けると語る、疑いようのない天才だ。しかし一方で、カリスマ性という点では不足していることも明らかである。オーストラリアでの会見では技術的に非常に興味深い見解を示したものの、彼が大勢の前で話すことを嫌っていることは舞台裏でよく知られている。言葉よりも仕事で示すタイプの人物なのだ。


 中国GPでもアストンマーティン・ホンダは問題を抱え、2台とも完走できなかった。オンボード映像では、アロンソが激しい振動のためにステアリングから手を離さざるを得ない様子が映し出されていた。そして舞台裏では依然としてホンダが大きな責任を負わされ、日本GPまでに根本的な問題を解決するよう強い圧力をかけられている。

ランス・ストロールとフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2026年F1第2戦中国GP ランス・ストロールとフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

 一方で、アストンマーティン内部では、この状況がすでにニューウェイの忍耐を限界まで消耗させていた。彼は、チームの顔として、短期間ではあるが、問題の矢面に立たされたことにすっかり嫌気が差した様子で、テクニカル部門を率い、裏でホンダに圧力をかけるという本来の仕事に専念することを望んでいるようだ。そのため、ニューウェイは、オーナーであるローレンス・ストロールに対し、外部に向けた取り組みの指揮を執るチームボス兼CEOの採用を促したという話だ。


 その候補としてはこれまでさまざまな名前がうわさに上り、元マクラーレンのアンドレアス・ザイドル、レッドブルでマックス・フェルスタッペンのレースエンジニアを務めるジャンピエロ・ランビアーゼについて取り沙汰された後、アウディでチーム代表を務めてきたジョナサン・ウィートリーが浮上した。アストンマーティンが今後、いつどのような形で体制変更について確認するのか、目が離せない状況だ。



(Text : Nate Saunders)


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