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大きく外したレースのなかった2025年。最終戦は無得点も“選手権6位確保を前提にした戦い”を展開/レーシングブルズコラム
2025年12月15日
2025年のF1最終戦アブダビGPを前に、レーシングブルズには笑顔が多かった。
アイザック・ハジャーがレッドブル移籍を決め、リアム・ローソンも残留を決めた。そして第23戦カタールGPからチームに帯同していたアービッド・リンブラッドがレギュラーシートを確保。エンジニアたちと密に連携を取ってチームを支えてきた岩佐歩夢も、リザーブとしてこのチームに残る。このチームに関わる人たちのほぼすべてが、多かれ少なかれハッピーな来季を迎えられることが決まったからだ。
「レッドブルはドライバーにかなりのプレッシャーをかけて、そのなかで結果を出せるかどうかを見るチームとして知られている。僕らはジュニアの頃からずっとそういう環境でやってきているし、僕も17歳でここに加わってから6年間、若いうちからそういうプレッシャーを経験してきて、今はそれに感謝している。今年1年間のプレッシャーも、今まで乗り越えてきたのと変わらないと感じられたからね」(ローソン)


そんな背景もあって最終戦にはリラックスムードが漂っていたが、そうはいってもシーズンはまだ終わっていない。
コンストラクターズランキング6位のレーシングブルズは、最後の3連戦を迎えた時点で7位アストンマーティンとは10点差、8位ハースとは12点差、9位ザウバーとは20点差。第22戦ラスベガスGPとカタールでは好走を見せ、カタールでのハジャーのパンクで6位を獲り逃しはしたものの、結果的に7位アストンマーティンとの差は12点、8位ハースとは19点差、9位ザウバーとは24点差で最終戦を迎えることになった。
今年のアブダビは異例なほどの低グリップコンディションで、アスファルト自体のグリップレベルはラスベガスと比べても低く、全サーキットで最低レベルだった。もちろん路面温度がラスベガスほど外れてはいないためトータルのグリップレベルではラスベガスを上回るものの、それでもグリップが低いことは事実であり、マシンのスライド量は異常だった。
その結果、右フロントタイヤには激しいグレイニングの発生が見られた。今年はタイヤのメカニカル耐性強化でグレイニング耐性が上がり、ほとんどのサーキットでグレイニングが出ることがなかった。これがグレイニングを苦手とするレーシングブルズにとって今シーズンを通して大きな追い風になったことは間違いなかった。そのグレイニング対策のためにセットアップ面で妥協を強いられることが少なかったからだ。

しかし最終戦でまさかのグレイニング。金曜はかなり苦戦を強いられることとなったが、予選に向けてなんとか打開策を見つけ出すことができた。予選は前代未聞の僅差のなか、ハジャーがQ3に進んで9番手、ローソン13番手につけた。
「ドライビング面で大きく前進を果たすことができたんだ。そのおかげでQ3に進むことができた。Q2のその完璧なラップをQ3で再現することはできなかったけどね。それでも自分たちにやれる限りのことをやれたから悔いはないよ。カタールと同じく、僕らのマシン特性に合わないサーキットで最大限やれたことに満足だ」(ハジャー)
ローソンはQ1で3セットの新品のソフトタイヤを使ってしまったことでQ2では1セットしか使えず、0.043秒差でQ3進出を逃してしまった。
「マシンに速さはあったのにQ1で必要以上にコンサバにいってしまったんだ。そのせいでQ2で(新品のソフトタイヤが)1セットしかなくて僅差でQ3進出を逃してしまった。(新人枠で岩佐歩夢に譲らなければならず)FP1で走ることができなかったこともあって、慎重になりすぎてしまった。結果論ではあるけど、来年に向けていい学びになったと言える」

決勝もグレイニングが発生すれば2ストップ作戦になるが、上手くマネージメントできれば1ストップ作戦で走り切ることができる。追い抜きが難しく、前走車をフォローすればダーティエアでタイヤが余計に苦しくなるヤス・マリーナ・サーキットだけに、各車ともマネージメントに徹したレースになる。逆に言えば、過去10年間はすべてポール・トゥ・ウインという結果が示しているように、予選結果がかなりのウェイトを占める。
アストンマーティンのフェルナンド・アロンソに予選6番手を取られ、ハースのエステバン・オコンが8番手と先行を許したが、自分たちもしっかりと入賞圏内で戦える位置に付けており、よほど想定外のことが起きない限りは12点差や19点差がひっくり返ることはなさそうだった。
ハジャーは6番手アロンソを先頭とした中団グループ集団で走行したが、10周目以降は前に着いていくことができなかった。
「期待しただけのペースがなかった。なぜ予選で9番手になれたのかも分からない、とにかく遅かった」
耐えきれず14周目にピットインしたが、序盤にピットインしたソフトスタート勢にアンダーカットされ、そこから最後まで走り切る長い第2スティントでもペースに苦しんでフレッシュタイヤの後続勢に次々と抜かれ、気付けば17位。ローソンも1周目のオリバー・ベアマンに対する押し出しで5秒加算ペナルティを科され、ピットストップで順位を下げた後はどうすることもできず18位だった。

後方のランス・ストロールに入賞チャンスを生み出すためにアロンソが後続を抑え込んだなかで、アストンマーティンのチームプレイに対してレーシングブルズも戦っていた。
「僕らはランキング6位を確保するために、それを前提としたレースをやったんだ。レース前半は(ランス・)ストロールを抑えることにしたけど、結果的に言えば速さが足りなかったし戦略もよかったとは言えない」
追い抜きが難しくトラックポジション重視のアブダビで、なおかつアロンソが後続を抑えて集団をひとまとめにしていたがゆえに、ペース不足やペナルティはいつも以上に重くのし掛かってしまった。アロンソには6位入賞を許し、チームプレイでストロールも9位フィニッシュ。ペナルティでストロールは10位に降格となったが、3点差で逃げ切ってラキング6位を確保することに成功した。

結果だけを見れば、ある意味で悪い時のレーシングブルズを象徴するようなレースになってしまったが、裏側ではランキング6位を意識したレースをしていた。そして今年は大外しのレースが少なかったことがコンストラクターズランキング6位という、2019年や2021年と並ぶチーム史上最高の結果に繋がった。その背景にはレッドブルとの関係を強化し、イギリスの空力部門をミルトンキーンズに移転してシミュレーション部門も含めてレッドブルとの提携を強化したことも大きい。
チーム全体として飛躍を果たした1年であったことは間違いない。その恩恵として、ハジャーとローソンの来季も切り拓かれた。
2026年は完全に新たな時代のスタートとなる。マシンも変わり、パワーユニット(PU0も変わり、ドライバーラインアップも変わる。そこでもレーシングブルズが今季と同じように競争力を発揮できるか否かが、2025年に果たした成長の真価が問われることになるだろう。


(Text : Mineoki Yoneya)
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| 12/5(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
| フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
| 12/6(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 12/7(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ランド・ノリス | 423 |
| 2位 | マックス・フェルスタッペン | 421 |
| 3位 | オスカー・ピアストリ | 410 |
| 4位 | ジョージ・ラッセル | 319 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 242 |
| 6位 | ルイス・ハミルトン | 156 |
| 7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 150 |
| 8位 | アレクサンダー・アルボン | 73 |
| 9位 | カルロス・サインツ | 64 |
| 10位 | フェルナンド・アロンソ | 56 |
| 1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 833 |
| 2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 469 |
| 3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 451 |
| 4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 398 |
| 5位 | アトラシアン・ウイリアムズ・レーシング | 137 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 92 |
| 7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 89 |
| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 79 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 70 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11/22 |
| 第23戦 | カタールGP | 11/30 |
| 第24戦 | アブダビGP | 12/7 |


