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【現地情報】フェルスタッペン参戦でニュルにファン殺到。厳戒態勢下でミッション完遂、早くも次戦出場のうわさも
2025年9月18日
まだ9月の半ばというのに、すでに秋の気配が強く漂うニュルブルクリンクに人だかりができた。今季2025年もレッドブルF1で3勝を挙げる活躍をみせる4度のワールドチャンピオン、マックス・フェルスタッペンが、ニュルブルクリンクの上級ライセンス“Permit A”を取得するために9月13〜14日の週末にニュルへ現れるだろうというドイツメディアの記事をきっかけに、さまざまなうわさがSNSで拡散されたのだ。
■坪井翔も同じ週末にNLSデビュー
果たしてうわさは現実のものとなり、超多忙なスケジュールを割いてニュルへやってきたフェルスタッペン。この週末に開催されたNLSニュルブルクリンク耐久シリーズの第7戦『第65回ADAC ACASカップ』に、彼は以前使用した“フランツ・ヘルマン”という偽名ではなく、本名でエントリーした。エントリーしていた。
なお、同じ週末にグレードAライセンスを取得するため、第8戦『第64回ADACライノルドス耐久レース』を含む週末の2レースに参戦した、トヨタ・ガズー・レーシングの坪井翔らが出席した金曜11時からの座学に現F1王者は現れず。個別講習を受けた模様だ。
フェルスタッペンは15時半ごろ、ライオンスピードGPのトランスポーターにぴったりと横付けされたオランダナンバーの黒いメルセデス・ベンツのVクラスから降りると、ファンの声援に手を挙げて応えながら足早にトランスポーターの中へと姿を消した。
大勢のファンがピットの前で出待ちするなか、しばらくしてトランスポーターからピットへと個人ガードマンやマネージャーらに囲まれて入っていったフェルスタッペンは、ライオンスピードGPのクルーに挨拶を済ませ、いよいよコースレクチャーへ。すでに今年の5月に『フェラーリ296 GT3』でのノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)の走行経験はあるものの、ライセンス取得に必要とされるすべての工程をひととおりこなす必要があるためだ。

ニュルブルクリンクのチーフインストラクターでドライビングアカデミーの代表を務めるアンドレアス・ギュルデンの運転する白いバンがピット前に停まり、コースレクチャーのためにマネージャーらと一緒に乗り込んだフェルスタッペン。コースレクチャーの後には、ギュルデンのドライブするメルセデスAMG GTの後ろに続き、紺色にオレンジカラーのフェルスタッペン・ドット・コム・レーシングとレッドブルのロゴが施された『ポルシェ718ケイマンGT4 CS』を駆り、実際のドライブレクチャーを経てフリー走行時間内に4ラップを走り込んでこの日の走行は終了した。
NLSのレースには直接関与していないフリー走行枠のある金曜日の午後には、レースタクシーや一般ドライバーのフリー走行なども行われているため、それを見学する多くの人々がピットロードへも訪れるだけに、フェルスタッペンのピットの前はいつもにも増してカメラを持った多くの人だかりができていた。
ギュルデンによると、フェルスタッペンは事前にシミュレーターでノルドシュライフェを走り込んでいて、コースの細部まで頭と身体にインプットしていたという。そのうえでシミュレーターでは具体的なドライブフィーリングが判別できにくい部分やウエット時のアスファルトの状況や縁石などのほか、ニュル特有のルールを確認する意味で熱心に質問をしていたと語った。ノルドシュライフェやレースが本当に好きで仕方がないという感じで、F1ドライバーということを除けば、その年齢相応の落ち着いた好青年という印象を受けたという。
■雨の予選後に満面の笑み
NLSは8時半からの予選を経て、正午スタートの決勝レースという1日完結のレースフォーマットとなっているが、いよいよフェルスタッペンが公式戦デビューをするこの日は、予選時の気温が約10℃と、9月半ばにしては非常に気温が低く、冷たい雨の降る中でセッションがスタートした。
980号車ポルシェ718ケイマンに乗り込んだフェルスタッペンは4ラップを走り、総合27番手(カップ3クラス6番手)で予選を終えた。マシンから降りると、非常に興奮した様子を見せ、満面の笑みでチーム関係者らとアタックの状況を語っているのが確認できた。
正午の決勝スタートを前に、スタートグリッドではフェルスタッペンを一目見ようと数多くのファンが彼の718ケイマンGT4 CSを囲んだ。予選を終える頃には雨はすっかり止み、時折日差しも見えるが風が非常に強く、低気温がさらに身に染みる晩秋のような気候となった。

この日のNLS第7戦には計116台のエントリーがあり、3グループに分けての時差スタートとなるが、フェルスタッペンは第2グループからのスタートに。現ワールドチャンピオンの駆る718ケイマンGT4 CSは、スタート時にポジションを複数落とした。しかし、フェルスタッペンにとって重要なのは、順位よりも確実にライセンスを取得すること。そのためノーペナルティで自身のスティントを終えようと慎重に周回を重ねていった。
その後、フェルスタッペンは、規定周回の14ラップを無事に走り切りシムレーサーのクリス・ルルハムとドライバー交代。交代直後にふたたびヘビーレインに見舞われるというニュルらしい気候となった。
フェルスタッペンはルルハムのゴールシーンを見守り、その後はチームのトランスポーターにDMSBドイツ・モータースポーツ協会の担当者やNLSのオフィシャル関係者が訪れ、無事にPermitテストの合格が告げられたという。
翌14日(日)の第8戦にはフリカデッリ・レーシングの『フェラーリ296 GT3』をドライブするのではないか、といううわさもあったもののフェルスタッペン一行は土曜日のレース終了後に帰路へ着いた。
ニュルブルクリンク/ノルドシュライフェでは2015年にNLSのレース中に起きた、観客が巻き添えになった死亡事故をきっかけに、24時間レースを含む同トラックでのレース出場条件を厳格化している。一般のサーキットとは異なる特殊なサーキットの性質ゆえ、段階を踏んで安全に楽しいレース活動を目指すためにも段階的にニュルを学ぶ必要があり、FIAのドライバーカテゴリーのプラチナやF1ドライバーが所有するスーパーライセンス所有者にも特例なくPermitの取得が義務付けられている。
トヨタやヴァージン/マルシアで活躍した元F1ドライバーのティモ・グロックも、先週末のフェルスタッペンや坪井の例と同様に、ライセンス取得時には入門マシンに近い『BMW M240iレーシング』をドライブした。当時も物議を呼んだが、グロック自身は気にもとめず一般ドライバーと同じように段階を踏んで上級ライセンスを取得している。
元MotoGP王者で現在はBMWのワークスドライバーとして『BMW M4 GT3エボ』を駆り、WEC世界耐久選手権やスパ24時間レースなどで活躍するバレンティーノ・ロッシも、ニュル24時間レースへの参戦を強く希望しているドライバーのひとりだ。ロッシはグレードAライセンスの取得がネックとなり、まだその道のりが長いことをインタビューで度々語っているが、今回のフェルスタッペンのコンディションや警備面などを考慮すると、ロッシの夢の実現もそれほど遠いものではないのかもしれない。

■2週間後のNLS第9戦で再登場のうわさ
元F1ドライバーで、キャリア引退後はBMWモータースポーツやITRの代表を務め、DTMドイツ・ツーリングカー選手権の運営を担っていたゲルハルト・ベルガーは、自身の経験も踏まえて、若き才能あるドライバーにはひとつのカテゴリに留まることなく、なるべくさまざまなカテゴリを多く経験し、ドライバーとしての引き出しを増やすことを推奨している。
同氏はフェルスタッペンの『真のレーサー』ぶりに一目置いている。というのも、フェルスタッペンはプライベートでは自身が運営するレーシング・チームに所属しているドライバーとともにGT3カーを自らテストドライブをし、シムレーシングには日常的に参戦している。また、NLSのデジタルレース『DNSL』にもスケジュールの許す限り参戦している、根っからの“ニュル好き”であるためだ。
そんなフェルスタッペンだが、早くも次のうわさが立ち上っている。このNLS第7戦の2週間後、9月27日(土)のシーズン第9戦『第57回バルバロッサプライス』にフェラーリ296 GT3で参戦をするのではないかと囁かれ、ファンの期待が高まっている。
もともとNLSはドイツだけではなく、近隣国のファンも応援に駆け付ける人気イベントだが、今回はフェルスタッペン効果で彼の出身国であるオランダからの多くのファンが詰めかけた。それにあわせて、F1チャンピオンが合流したライオンスピードGPのピット入り口の窓や戸、シャッターの窓、さらには両隣のピットの柵にもすべて目隠しがされ、中の様子は窺えないように厳重体制が敷かれたのは、週末のトピックのひとつだった。
これはフェルスタッペンのレースへの集中を保つためにやむを得ない対策で、ファンのなだれ込みなどを防止するために数多くのガードマンや警備員が配置されていた。こうした努力を無駄にしないため、フェルスタッペンは記念撮影やサインの要求に一切応じなかったが、その代わりにボディガードがサインカードを配布するささやかなファンサービスが行われていた。


(Midori Ikenouchi)
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9/19(金) | フリー走行1回目 | 17:30〜18:30 |
フリー走行2回目 | 21:00〜22:00 | |
9/20(土) | フリー走行3回目 | 17:30〜18:30 |
予選 | 21:00〜 | |
9/21(日) | 決勝 | 20:00〜 |


1位 | オスカー・ピアストリ | 324 |
2位 | ランド・ノリス | 293 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 230 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 194 |
5位 | シャルル・ルクレール | 163 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 117 |
7位 | アレクサンダー・アルボン | 70 |
8位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 66 |
9位 | アイザック・ハジャー | 38 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 617 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 280 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 260 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 239 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 86 |
6位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 62 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 61 |
8位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 55 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 44 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 20 |

第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9/21 |
第18戦 | シンガポールGP | 10/5 |
第19戦 | アメリカGP | 10/19 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |

