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慎重にならざるを得ないマクラーレン勢と、セットアップでもレースでもリスクを取ったフェルスタッペン【トップチーム密着】

2025年9月17日

 第11戦オーストリアGPから続いていたマクラーレンの連勝が『5』でストップした。今シーズン、マクラーレンが優勝を逃したのは、これが4度目。第3戦日本GP(マックス・フェルスタッペン/レッドブル)、第7戦エミリア・ロマーニャGP(フェルスタッペン)、第10戦カナダGP(ジョージ・ラッセル/メルセデス)、そして第16戦イタリアGP(フェルスタッペン)だ。


 マクラーレンが敗れたこの4つのサーキットに共通しているのは、マクラーレンが得意としている回り込むような中低速のコーナーがほとんどないことだ。ただし、今回のマクラーレンの敗戦には、コース特性以外の理由も関係したように思う。その要因とは、マクラーレンのふたりのドライバーにはタイトルがかかっているのに対して、それ以外のドライバーにはそのプレッシャーがないというこだ。

 たとえば、優勝したフェルスタッペンはフリー走行3回目の途中から思い切ってリヤウイングを削った仕様に変更した。低速コーナーでマクラーレンに太刀打ちできない分、ダウンフォースを減らしてストレートスピードを上げる戦略に出たわけだ。ただし、ダウンフォースを減らす変更には、ロングランでリヤタイヤのデグラデーション(劣化)が大きくなるというリスクが伴っていた。


 じつはマクラーレンもフリー走行3回目に、2台で異なるダウンフォースレベルのフロントウイングを試していた。ランド・ノリスが金曜日から引き続き通常のフロントウイングをつけていたのに対して、オスカー・ピアストリはアッパーフラップの上端を削った仕様のフロントウイングを試していた。

【トップチーム密着】
ピアストリがFP3で使用したフロントウイング(写真上段)。ノリスが使用したウイング(写真下段)と比べて、アッパーフラップ上端が削られている

 その後、ピアストリは予選に向けてノリスと同様のフロントウイングに変更。それはダウンフォースを減らさなくとも十分に速いマクラーレンはリスクを取る必要がなかったからだ。


 リスクマネージメントに関するマクラーレンの意思統一はセットアップだけでなく、レースにおけるドライビングでも同様のことが言えた。スタート直後にノリスはフェルスタッペンと、ピアストリはシャルル・ルクレール(フェラーリ)と激しいポジション争いを繰り広げたが、どちらも決して無理はしなかった。

【トップチーム密着】
トップを争ったノリスとフェルスタッペン
【トップチーム密着】
スタート直後にポジションを争ったピアストリとルクレール

 ノリスはその理由をこう語った。


「マックスがターン1でアウト側から僕をオーバーテイクしようとしてサイド・バイ・サイドになったとき、僕はイン側にいたから有利な立場にいた。だから、ブレーキングで限界まで遅らせることも可能だったが、アグレッシブにやりあえば、フロントウイングを失うリスクがあった。いまの僕たちにはどんな小さなダメージも許されないんだ」


 つまり、イタリアGPでのフェルスタッペンの優勝はレッドブルが完全に復活したというわけではなく、リスクを冒すことができないマクラーレン勢の虚をついたレッドブルとフェルスタッペンの戦略が見事に機能した勝利だったとも言える。



(Text : Masahiro Owari)


レース

9/5(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
9/6(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
9/7(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※イタリアGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ324
2位ランド・ノリス293
3位マックス・フェルスタッペン230
4位ジョージ・ラッセル194
5位シャルル・ルクレール163
6位ルイス・ハミルトン117
7位アレクサンダー・アルボン70
8位アンドレア・キミ・アントネッリ66
9位アイザック・ハジャー38
10位ニコ・ヒュルケンベルグ37

チームランキング

※イタリアGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム617
2位スクーデリア・フェラーリHP280
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム260
4位オラクル・レッドブル・レーシング239
5位ウイリアムズ・レーシング86
6位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム62
7位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム61
8位ステークF1チーム・キック・ザウバー55
9位マネーグラム・ハースF1チーム44
10位BWTアルピーヌF1チーム20

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