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プロ姿勢を貫いてフェラーリから離脱したサインツ。天使と悪魔が囁いたシビアな移籍胸中を明かす

2025年7月23日

 先週末に配信されたポッドキャスト『High Performance(ハイ・パフォーマンス)』のなかで、カルロス・サインツはフェラーリF1との歴史に終止符を打つ前に「チームに大混乱を招きたい」という衝動を抑えなければならなかったことを明かしつつ、最終的には「プロフェッショナルな姿勢を貫いた」と発言。フェラーリからの追放劇に厳しい反応を示した可能性を告白し、ドライバーの移籍事情のシビアさを伝えている。

 スクーデリア・フェラーリが2025年シーズンのドライバーとしてルイス・ハミルトンを起用することを決定し、新チームを探すよう求められたサインツだが、最後まで波風を立てることなく自らの役割を真摯に受け止め、ウイリアムズへの移籍を決断。現実には自身のプロ意識を示すことになった。


「エゴの強いドライバーなら、あの時点でチームを分裂させていたかもしれない。僕たちドライバーのなかには天使と悪魔がいる。僕の悪魔はこう言ったんだ。『君は多くのことを言ったり、行動したり、変えたりすることもできるんだ』とね」と語ったサインツ。


 しかし実際には自らの内にある破壊的な衝動を抑え、感情を爆発させることなく移籍市場での立場をまっとう。WRC世界ラリー選手権王者で、ラリーレイド界の“帝王”でもあるカルロス・サインツSr.を父に持つスペイン出身ドライバーは、2024年シーズンをオーストラリアとメキシコでの2勝を含む9回の表彰台獲得で終えると、ウイリアムズ移籍を決めて2027年までの契約を結んだ。


「もちろん厳しい時期だった。でも僕の天使が代わりにやってくれたんだ。プロフェッショナルな姿勢を保ち、チームのため、スクーデリアのために最後のレースまですべてを捧げたんだ。この決断に関係のないすべての人のためを思ってね」と続けたサインツ。


 その長期契約を結んでいるにも関わらず、本来なら穏やかなシリーシーズンを迎えるはずだった来季2026年向けのドライバー市場では、王者マックス・フェルスタッペンのレッドブル離脱の可能性により、その後任候補のひとりにも名前が挙がっている。


 そんなサインツの胸中を報じたフランス大手の『L’〓quipe(レキップ)』は、前戦シルバーストンの雨で苦戦したメルセデス、レッドブル、フェラーリの上位3チームに触れ「多くの希望が打ち砕かれた」とし、その戦略的判断の誤りを指摘した。

フェラーリからの追放劇に厳しい反応を示した可能性を告白したサインツ
2024年シーズンをオーストラリアとメキシコでの2勝を含む9回の表彰台獲得で終えていた

 土砂降りの雨のなかでミスを回避するためには強い意志が必要で、何よりも「いつミスをすべきかを知ることが不可欠だった」とした同紙は、シルバーアローがわずか1ポイントしか獲得できず、レッドブルとフェラーリはそれぞれワールドチャンピオンにポイント獲得を託すしかなかった状況を「土砂降りの雨のなか、そして仮想と現実の両方のセーフティカーが投入されたなかでも、水面に浮かんでいなければならなかった」と評した。


 なかでもフェラーリは、スタート前にも関わらずシャルル・ルクレールがピットインし、インターミディエイトを外してスリックタイヤに交換。路面が徐々に乾いていくことを期待したが、レース後には自ら「誤った判断だった」と認めた。最終的に14位でフィニッシュしたルクレールは、この選択でトップ10争いから脱落。代表のフレデリック・バスールも「彼としてはアグレッシブだった。しかし、うまくいった可能性もあった」と擁護するのみだった。


 相次ぐバーチャルセーフティカー(VSC)の導入により、ルクレールはタイヤを温めることができなかったが、それはメルセデスも同様だった。そしてドライバビリティに難を抱えるレッドブルRB21にも関わらず、奇跡的な土曜ポールポジション獲得を成し遂げたフェルスタッペンも、イギリスの土砂降りのなかでは極限までダウンフォースを削った軽いリヤウイングは役に立たず。その一方でハミルトンは、はるかに重いリヤウイングのおかげで、フェラーリ移籍後最高のレース結果(イモラとオーストリアと同じく4位)に並ぶことができた。


「このマシンを雨のなかでドライブするのはまだ2回目だ」と7度のワールドチャンピオン。「そして、このマシンはこういうコンディションでは力を発揮できない。グリップが少し良くなった終盤の方が調子は良かったが、それでも苦しい瞬間もあったからね」


 そんなハミルトンもレース終盤に(フェルナンド・アロンソ/アストンマーティンに次いで)ほぼ最初にスリックタイヤを使用したことで表彰台を逃した可能性が高く、最初のブレーキングポイントから、まだ非常に濡れていた路面でグリップを失い、忍耐強いニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)に貴重な4秒差をつけられた。


 スクーデリアにとって決して最良の日曜ではなかったにも関わらず、前出のバスール代表だけが楽観的な見方を崩さない。


「予選では良いパフォーマンスを見せ、とくにQ2ではトップと2番手を獲得した。レッドブルとメルセデスよりも多くのポイントを獲得したことは、プラスに捉えなければならない」


 そのフェラーリはコンストラクターズランキングで2位につけており、メルセデスとは12ポイント、レッドブルとは50ポイントの差をつけている。

「チームのため、スクーデリアのために最後のレースまですべてを捧げたんだ。この決断に関係のないすべての人のためを思ってね」とサインツ
雨のシルバーストンでは、レッドブルとフェラーリはそれぞれワールドチャンピオンにポイント獲得を託すしかなかった


(autosport web)


レース

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フリー走行2回目 結果 / レポート
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ドライバーズランキング

※イギリスGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ234
2位ランド・ノリス226
3位マックス・フェルスタッペン165
4位ジョージ・ラッセル147
5位シャルル・ルクレール119
6位ルイス・ハミルトン103
7位アンドレア・キミ・アントネッリ63
8位アレクサンダー・アルボン46
9位ニコ・ヒュルケンベルグ37
10位エステバン・オコン23

チームランキング

※イギリスGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム460
2位スクーデリア・フェラーリHP222
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム210
4位オラクル・レッドブル・レーシング172
5位ウイリアムズ・レーシング59
6位ステークF1チーム・キック・ザウバー41
7位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム36
8位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム36
9位マネーグラム・ハースF1チーム29
10位BWTアルピーヌF1チーム19

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
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