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「PUを理解した人が車体開発側にいることはプラス」アストンから競争力向上に向けた要望も届く/ホンダHRC渡辺社長インタビュー

2025年7月16日

 シルバーストン・サーキットで開催された2025年F1第12戦イギリスGPを訪れたホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長。HRCとレッドブル、レーシングブルズの提携は今シーズン限りとなり、新しい技術規則が導入される2026年からは、アストンマーティンにパワーユニット(PU)を供給する。「総合力が問われる」と渡辺社長の見据える2026年シーズンに向けた進捗について訊いた。

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──第12戦イギリスGP直前にアストンマーティンのファクトリーへ取材に行ったら、アンディ・コーウェル代表が「2026年へ向けてホンダのパワーユニットに、我々のギヤボックスを合体させて、ベンチでテストしているよ」と言っていました。2026年に向けての進捗状況を教えてください。

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(2)
アストンマーティンのアンディ・コーウェル代表

渡辺康治HRC社長(以下、渡辺社長):「もちろん、それはテスト用のパワーユニットで最終仕様ではありません。テストを行う段階でそのときの最新のモノをお互いに組み合わせて、イギリス(アストンマーティン側)でもテストはやっていますし、日本(HRC Sakura)でも回しています。テストは同時に行うことはなくて、イギリスでやるときはイギリスだけ。日本でやるときは日本だけで行い、それはモノだけでなく、人間も同時に立ち会って、HRCのスタッフとアストンマーティンのスタッフが一緒になって、すでに複数回テストしています。アストンマーティンが製作しているギヤボックスも徐々に最終仕様に近づいていて、今後もテストは継続していきます」


──2021年までホンダのヨーロッパでの前線基地として稼働していたミルトン・キーンズのHRD UKはその後、いったんレッドブル・パワートレインズ(RBPT)に変わりましたが、イギリスGP前にうかがったら、再びホンダの看板に変わっていたとともに、新しく『HRC』の看板も加わっていました。

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(2)
新たに『HRC』の看板もつけられた

渡辺社長:「会社(ホンダ・レーシング/HRC)としての登記は2024年の2月に完了し、そこからスタッフの採用を開始して、昨年の9月にRBPTからの建屋の受け渡し作業を完了させ、第1陣が入りました」


──アストンマーティンは今回が初めてワークスエンジンを手にするわけですが、エイドリアン・ニューウェイはレッドブル時代にホンダと一緒に仕事をした経験があります。チーム側から2026年に向けて何かリクエストは来ていますか?

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(2)
アストンマーティンのマネージングテクニカルパートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイ

渡辺社長:「アストンマーティン側からは、すでに競争力を上げるためのさまざまな要望が届いています。それがニューウェイさんからなのかどうかは我々にはわからないですが、ニューウェイさん以外にもアンディもかつてメルセデスのパワーユニット部門を率いていた人なので、パワーユニットサイドのことをよく理解しています。そういう人が車体開発側にいて話し合いを進めていけることは我々にとってプラスになっています。すでに(パワーユニットの)レイアウトなどついてのリクエストは届いていて、それはHRCの角田(哲史/F1パワーユニット総責任者)を中心にしたグループがアストンマーティン側と調整しているところです」


──2026年のF1で重要になるポイントは何になると思いますか。


渡辺社長:「エンジンが重要なひとつになることは間違いないですが、車両、バッテリー、モーター、そして燃料も重要で、総合力が問われると思います。2026年から組むアラムコさんとは初めて仕事をするので、燃料開発を加速させていかないといけない。我々は燃料開発に関してはHRCの先進パワーユニットエネルギー研究所も大きく関わっていて、専務取締役の武石伊久雄がセンター長を務めています。エクソンモービルさんの知財もあるので、そのまま使うことはできませんが、我々が元々も持っていた知見をアラムコさんと共同で開発していくことになります。我々は燃料をつくることはできないので、あくまでエンジンにとってベストだと思われる燃料のレシピを提案するということです」


──車体にパワーユニットを組み合わせる作業はベンチでテストするわけですが、燃料の開発というのはどのように行うのですか。


渡辺社長:「基本的には、アラムコさんから数種類の開発された燃料がHRCに届いて、それをHRC Sakuraでシングルシリンダーでテストします。そのなかで一番良いいものを今度は単気筒ではなく、6気筒でテストするという感じです」


──今年の第4戦バーレーンGPの時に、パワーユニットに関する会議が開かれましたが、その後、どうなっていますか。


渡辺社長:「いったん、話はストップしている状態です。なので、我々パワーユニットメーカーはいまは2026年に向けて集中しています。ただ、将来的なパワーユニットの話し合いは終わったわけではないという状況だと、私は認識しています。現在の国際自動車連盟(FIA)が掲げている理想が変わらない限り、また議論が始まるんだろうなと想定しています」


──イギリスGPには本田技研工業の三部敏宏社長もいらっしゃっていました。三部社長はそれに関してどんな反応でしたか?

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(2)
2025年F1第12戦イギリスGP 左からHRCの渡辺康治社長、本田技研工業の三部敏宏社長、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表

渡辺社長:「特に現段階で公式に申し上げるものはないですが、バーレーンで行われた会議についての報告はしており、F1の現状は認識しています。ホンダとしては、F1がモータースポーツの頂点のレースであり続けてほしいと願う気持ちに変わりはありません。そして、それに相応しいパワーユニットは何かという議論していくだけです。現在のホンダの立場としては、サステナブルな未来に向けて、電動という技術はひとつの要素としてはとても重要だと思っているということです」


──レッドブル・パワートレインズが2026年用のパワーユニットが間に合わず、ホンダのパワーユニットをレッドブル・ファミリーが使用するのではないかという噂もありましたが。


渡辺社長:「それはまったくないです。いま、頼まれたとしても、もう2026年に間に合いません。(可能性は)ゼロです」



(Text : Masahiro Owari)


レース

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レースカレンダー

2025年F1カレンダー
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