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ホーナー電撃解任の背後にフェルスタッペン陣営の圧力。レッドブルはマックス引き留めのために動いたか

2025年7月9日

 クリスチャン・ホーナーがレッドブルから解任され、2005年以来務めてきたチーム代表の職を離れることが発表された。こういう事態が起きた背景には、ホーナーに反発するマックス・フェルスタッペンのマネジメント陣営からの圧力と、フェルスタッペンを残留させたいレッドブル社の強い意向が存在するとみられる。

 7月9日、レッドブル・レーシングのCEO兼チーム代表を務めたホーナーが離脱し、昨年初めからレーシングブルズを率いてきたローレン・メキースがCEOに就任することが発表された。


「レッドブルは本日(2025年7月9日水曜日)付けで、クリスチャン・ホーナーをオペレーション業務から解任し、ローレン・メキースをレッドブル・レーシングのCEOに任命した」と、レッドブルの広報担当者は述べた。


 企業プロジェクトおよび投資部門のCEOであるオリバー・ミンツラフは、過去20年にわたるホーナーの働きに感謝の意を表した。


「クリスチャン・ホーナーの過去20年間にわたる卓越した働きに感謝したい」


「彼の不断の献身、経験、専門知識、そして革新的な思考によって、レッドブル・レーシングはF1で最も成功し、魅力的なチームのひとつとして確立された」


「すべてに感謝する、クリスチャン。あなたはこれからも永遠に、私たちのチームの歴史における重要な一部であり続ける」

クリスチャン・ホーナー(レッドブル代表)
2025年F1第6戦マイアミGP クリスチャン・ホーナー(レッドブル代表)

■長く続いたレッドブルの内部抗争

 レッドブル創設者ディートリッヒ・マテシッツが2022年に死去した直後から社内抗争が始まったが、ホーナーの解任がそれに終止符を打つことになるだろう。ホーナーとモータースポーツコンサルタントであるヘルムート・マルコとの対立はそれより以前から深まっていたものの、事態を鎮めるマテシッツがいなくなったことで、レッドブルのふたつのF1チームの支配権を巡る全面戦争に発展した。


 レッドブルの筆頭株主であるチャルーム・ユーウィッタヤーの支持を受けて、ホーナーはその地位を維持し、マルコをチームのモータースポーツ部門から完全に追い出す寸前にまで至った。レッドブル株の49%を所有するマーク・マテシッツが、マルコの解任をかろうじて阻止したが、ホーナーはグランプリ・プログラム全体、さらには若手育成プログラムの運営も含めて完全な権限を手中に収めた。


 しかし、2024年F1シーズン開幕直前に、ホーナーの状況が悪化した。ホーナーと彼の元秘書フィオナ・ヒューイソンに関わるスキャンダルが浮上したのだ。セクシャルハラスメントおよび不当解雇の疑惑が持ち上がるなかで、ホーナーはバーレーンGPの開幕直前に解任されかけ、木曜の午後にイギリスからオーストリアへと飛び、ザルツブルクに駐機するプライベートジェット機内で、経営陣の口から自身の運命を聞かされることとなった。

クリスチャン・ホーナー(レッドブルF1代表)、レッドブル社株主チャルーム・ユーウィッタヤー、マックス・フェルスタッペン
2024年F1バーレーンGP クリスチャン・ホーナー(レッドブルF1代表)、レッドブル社株主チャルーム・ユーウィッタヤー、マックス・フェルスタッペン

 この時もユーウィッタヤー家がホーナーの職を救ったが、これがフェルスタッペン陣営の強い反発を招き、父でありマネージャーでもあるヨス・フェルスタッペンがホーナーの辞任を公然と要求する事態となった。


 フェルスタッペン側はホーナーの解任をレッドブルに対して引き続き強く要求し続けた。ただし、4度の世界王者マックス・フェルスタッペン本人は、自身のマネジメントとチーム代表との争いから素早く身を引き、「僕とクリスチャンとの関係は良好だ」と何度も公言していた。


 ヨス・フェルスタッペン陣営が長い間、ミンツラフにかけ続けていた圧力が、ホーナーの解任という結果をもたらしたようだ。ホーナーとともに、長年マーケティング部門を率いてきたオリー・ヒューズ、そして過去4年間広報責任者を務めたポール・スミスもチームを離脱した。

■ホーナー外しは、フェルスタッペンのメルセデス移籍を止めるための切り札か

 ホーナーが20年以上にわたって率いてきた体制から突然離脱したことと、マックス・フェルスタッペンの将来は、無関係であるとは思えない。


 現在マクラーレンが明確にレッドブルよりも速くなっている状況において、フェルスタッペンのマネジメントは、今年末でチームを離脱できるというドライバー契約上の条項を発動させようとしたとみられている。コンストラクターズ選手権でレッドブルがトップ3圏外に沈み、かつ年内に順位を改善できる見込みがないなか、フェルスタッペンは望めばフリーエージェントになることができる。そして、彼のマネジメントとホーナーの間にある対立からして、レッドブルは最大の資産である4度のワールドチャンピオンを失うという深刻なリスクに直面しているのである。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&ヨス・フェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と父のヨス・フェルスタッペン

 ホーナーを解任することは、ミンツラフにとって、フェルスタッペンのメルセデス移籍を防ぐための切り札のように思われる。また、新たなCEOメキースは、2015年と2016年シーズン序盤のトロロッソ時代にフェルスタッペンと共に仕事をした経験を持つ人物だ。


 もちろん、メキースがRB21のパフォーマンス向上に寄与できることはほとんど、あるいは全くなく、2026年にデビューする予定のチーム初のパワーユニットの開発を加速させることに関しては、さらに見込みが薄いと考えられる。


 ホーナーが去った今、主導権は完全にフェルスタッペン陣営に移った。もしフェルスタッペンのマネジメントが今回の変化に満足すれば、彼らはメルセデスとの交渉を減速させる可能性が高い。ちなみに、その交渉を始めたのは、トト・ウォルフではなく、フェルスタッペン側だ。


 しかし、これでもフェルスタッペン引き留めに不十分であるなら、彼の移籍により、F1ドライバー市場には大きな影響が出るだろう。現在のF1でトップと目されるフェルスタッペンがフリーであるなら、すでに契約を持つドライバーであっても、その契約が確実に尊重されるという保証は全くないのだ。



(Text : GrandPrix.com)


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