パドック裏話:ローソン、ゴルフに大ハマり
2025年5月14日
F1ジャーナリストがお届けするF1の裏話。第6戦マイアミGP編です。
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F1ドライバーは極端なまでに競争好きな生き物であると聞かされても、誰も驚きはしないだろう。今回のこのコラムでは、彼らがレースカーに乗っているときの話ではなく(それはもう当然のこととして)、ドライバーたちのそんな性格は、人生の他のあらゆることにおいても変わらないという話をしたい。
競争好きな面が人格のなかで大きな割合を占めていると、そのスイッチをオフにするのはとても難しいようだ。それゆえに、ドライバーたちがあまり得意ではないことに取り組む場合には、強いフラストレーションを感じることにもなる。
ネットフリックスのドキュメンタリー「ドライブ・トゥ・サバイブ」の最新シリーズをご覧になっただろうか。すでに視聴された方は、リアム・ローソンが友人のひとりを相手に、シーズン中のどこかの時点でレースシートを獲得できるかどうかについて話すシーンを憶えておられるかもしれない。
「ドライブ・トゥ・サバイブ」では、しばしばグランプリの週末とは違うシチュエーションで、ドライバーたちの姿を追っている。彼らのパーソナルライフの一端を紹介するためだ。ローソンの場合、それは打ちっ放しのゴルフ練習場でボールを打とうと奮闘しているシーンだった。
ここで「奮闘」という表現を用いたのは、なんとか打つことができてはいたものの、それほど上手なわけではなく、当の本人もこのゲームはあまり好きになれないと言っていたからだ。
しかし、それからの12カ月間で、彼のゴルフに対する意見はすっかり変わったようだ。ネットフリックスがローソンを撮影したのは、昨年VCARBのレースドライバーに昇格する前のことだった。それからまもなく、彼は自分のゴルフスイングの改善に取り組み始めたのだ。グランプリドライバーのなかには優れたゴルファーが大勢いる。名前をあげるなら、ランス・ストロール、カルロス・サインツ、アレックス・アルボン、ランド・ノリス、ピエール・ガスリーといったあたりだ。ローソンはそうした面々と勝負をしたいと考えたのである。
ゴルフクラブの扱いがうまくなるにつれて、ローソンは余暇の時間を使って、ますますこのスポーツに打ち込み始めた。そして、マイアミに到着したときには、もはやゴルフが彼の人生を支配し始めていると、自ら認めるまでになっていた。
レース前の水曜の夕方、ローソンはVCARBのスペシャルリバリーの発表イベントに参加した。夕暮れ時のビーチで、ピンクをベースとした特別なカラーリングが公開されたのだ。そのイベントの質疑応答のコーナーで、ふたりのドライバーは「マイアミを訪れてみて、一番気に入ったことは何か」と質問された。ローソンも僚友のアイザック・ハジャーも、このフロリダではまだ一度もレースをしたことがなかったからだ。
ローソンは躊躇なく「ゴルフだね」と答えた。「すぐにプレイできるコースがいくつもあるし、天気の良い日が多いから」。そして、彼がこのレースの週末に自分のクラブセットを持参しており、すでにその日の早いうちに、難しいことで知られるドラルという名のコースを回ってきたことを明かした。おそらく、あのネットフリックスでのシーンは過去のもので、それからどれほど上達したかを示したいという気持ちもあったに違いない。
ステージでの役目を終えた彼らは、カバーを外してスペシャルリバリーを発表するのを待つ間、クルマのフロントタイヤに腰掛けていた。ステージではチームボスのローレン・メキースとピーター・バイエルにマイクが向けられており、ローソンは次の出番までのわずかな時間にも、ゴルフスイングの練習を繰り返していた。メキースが「マイアミではドライバーたちの気晴らしがいろいろとあるからね」と冗談めかして言うと、司会者はその意味を誤解して笑った。スラングで「ゴルフ」は、また別の種類のお楽しみに関わる用語なのだ。だが、ローソンのシャドウスイングは、それがまったくの見当違いであることを告げていた。
その後も彼は週末を通じて、パドックで自分のゴルフの腕前がいかに上がったかを話したがり、相手がゴルフ好きであれば、今季の他のレースの週末にプレイできるお勧めのコースをたずねたりしていた。そして、「ゴルフに適した柔軟性を獲得できるように、トレーニングメニューに手を加えたいのだが、そうするとドライビングにはあまり役立たないメニューになりそうだ」というジョークまでひねり出した。
だが、ローソンにひと言忠告をしておきたい。ドライバーがゴルフに凝りすぎて、ドライビングに支障が出そうになったという話は、すでに前例がある。ランド・ノリスは2021年の後半あたりからゴルフに夢中になり、あまりに頻繁にプレイしすぎて、いつも肋骨の痛みを訴えていた。そのためノリスのトレーナーは、レースの週末のルーティンの大部分をペインコントロールに費やしていた。彼がクルマに乗り込んで、ベルトを締め上げても痛みを感じないようするためだ。
これまでのところ、ローソンはいささか厳しいシーズンを送っていることもあり、ノリスと同じようなトラブルに陥るのは避けたいところだろう。しかし、新たに見出したゴルフへの愛が続くのであれば、それが彼にとって必要な良い気晴らしになり、コース上での状況の好転にもつながるかもしれない。
(Chris Medland/Translation:Kenji Mizugaki)
関連ニュース

1位 | オスカー・ピアストリ | 131 |
2位 | ランド・ノリス | 115 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 99 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 93 |
5位 | シャルル・ルクレール | 53 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 48 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 41 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 30 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 14 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 246 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 141 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 105 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 94 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 37 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 14 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 8 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 7 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

